補装具の「基準額」が数千円変わるとき──車いすユーザーの外出半径はどれだけ動くのか
「あと5,000円あれば、あの車いすが選べたのに」 補装具を選ぶとき、当事者が最後に直面するのは「基準額の壁」だ。身体に合う車いすが見つかっても、公費で支給される上限額──いわゆる基準額──を超えた分は自己負担になる。その差額が5,000円なのか、3万円なのかで、選べる製品が変わり、座り心地が変わり、外出できる距離が変わる。補装具とは、身体の一部であると同時に、生活圏の輪郭を決めるものでもある。 […]
「あと5,000円あれば、あの車いすが選べたのに」 補装具を選ぶとき、当事者が最後に直面するのは「基準額の壁」だ。身体に合う車いすが見つかっても、公費で支給される上限額──いわゆる基準額──を超えた分は自己負担になる。その差額が5,000円なのか、3万円なのかで、選べる製品が変わり、座り心地が変わり、外出できる距離が変わる。補装具とは、身体の一部であると同時に、生活圏の輪郭を決めるものでもある。 […]
「障害のある人」の権利を守る国際条約は、2006年にできた。では「年を取った人」の権利を守る条約は? 世界の60歳以上の人口は約11億人。2050年には21億人に達すると国連は推計している。地球上の4人に1人が「高齢者」になる時代が、あと25年で来る。それなのに、高齢者の人権を包括的に保障する国際条約は、いまだ草案すらまとまっていない。障害者権利条約(CRPD)の採択から数えれば、すでに約20年。 […]
ある入所者の問いから始まった議論 「ここを出て暮らしたいんです。でも、いくらかかるんですか」 障害者支援施設で暮らすある方が、支援員にそう尋ねたとき、即答できる人はいなかったという。家賃、光熱費、ヘルパー代、日中活動の交通費——ひとつひとつは調べればわかる。でも、それを「あなたの場合はこうなります」と具体的に示せる仕組みが、この国にはまだ整っていない。 2024年度に入り回を重ねてきた「障害者の地 […]
たん吸引のチューブを確認しながら、保育園の送迎バスを見送る朝がある。人工呼吸器のアラーム音で夜中に何度も目が覚める夜がある。医療的ケア児とその家族の日常は、制度の文書には載らない細部でできている。いま、その「載らない声」を拾い上げようとする動きが、いくつかの場所で同時に起きている。NHKによる当事者の悩み募集、こども家庭審議会・成育医療等分科会での議論、デジタル庁による市町村こども家庭相談の支援体 […]
ある相談員が語った「たらい回し」の風景 精神保健福祉士として働く知人が、こんなことを言っていた。 「うつで休職した方が、復職できずに障害者手帳を取得したとき、相談先がガラッと変わるんです。昨日まで産業保健の窓口にいた人が、今日から障害福祉の窓口に行かなきゃいけない。でも本人の苦しさは、昨日と今日で何も変わっていないのに」 この言葉が、ずっと頭に残っている。 NHKハートネットが「働く人のメンタルヘ […]