全国の就労支援事業所では、障害のある方々の能力を最大限に引き出し、地域社会で活躍できるよう様々な取り組みが行われています。本記事では、鳥取県内の就労支援事業所における特徴的な取り組みを紹介していきます。
“多機能型事業所あいおい”の多角的な就労支援
多機能型事業所 あいおいでは、農業と食品加工を組み合わせた多角的な就労支援が行われています。
参照:多機能型事業所 あいおい
農業と食品加工の融合による就労機会の創出
東伯郡北栄町にある多機能型事業所あいおいでは、就労継続支援A型とB型のサービスを提供しており、農業と食品加工を組み合わせた多角的な就労支援に取り組んでいます。利用者は農作物の栽培から加工、販売までの一連の過程に携わることで、様々な就労スキルを身につけることができます。
地元食材を活用したキムチとチャンジャの製造
あいおいでは、地元の食材を使ったキムチやチャンジャの製造に力を入れており、これらの商品は地域の特産品としても注目されています。利用者にとっては、自分たちが手がけた商品が評価されることで就労意欲の向上にもつながっているようです。また、他の事業所からも関心が寄せられ、事業所間の協力関係構築にも一役買っています。
A型事業における特徴的な取り組み
2024年3月に開催された鳥取県A型事業所協議会の事例・実践報告会では、あいおいのA型事業における取り組みや特徴が発表されました。利用者数は少ないものの、多様な取り組みを行っていることが他の事業所からも高く評価されたとのことです。
“ウイズユー 千代工場”の農福連携モデル
ウイズユー千代工場では、きのこ栽培を通じた就労支援が展開されています。
参考:ウイズユー千代工場
きのこ栽培を通じた一貫した就労支援
鳥取市のウイズユー千代工場は、就労継続支援A型事業所として、きのこ栽培を中心とした就労支援を展開しています。下段きのこセンターA型と連携し、きのこの菌床製造から栽培、販売までの一貫した作業を行うことで、利用者の適性に合わせた多様な作業を提供しています。
農業と福祉の融合による就労機会の創出と地域農業の活性化
ウイズユー千代工場では、農業と福祉の融合を図ることで、障害者の就労機会を創出するとともに、地域農業の活性化にも貢献しています。きのこ栽培という地域の特性を活かした事業展開により、利用者の就労意欲の向上と地域経済の発展を同時に実現する先進的なモデルとなっています。
地域の農業関係者や販売先との連携強化
同事業所では、地域の農業関係者や販売先との連携を重視し、安定した就労環境の提供に努めています。また、地元の農産物を活用した6次産業化にも取り組んでおり、障害者の就労支援と地域経済の発展を両立させる先駆的な事例となっています。
“Nextep”の段階的な職業訓練プログラム
就労継続支援B型事業所 Nextepでは、約23か月にわたる段階的な就労支援プログラムが提供されています。
参考:就労継続支援B型事業所 Nextep
約23か月にわたる段階的な就労支援
鳥取市内のNextepは、就労移行支援事業所として、身体・知的・精神障害や難病のある方々を対象に、多様な職業訓練プログラムを提供しています。同事業所の特徴は、約23か月にわたる段階的な就労支援プログラムにあります。
事務作業やSNS運用代行、飲食店の接客など豊富な企業実習の機会
Nextepでは、事務作業やSNS運用代行、飲食店の接客など、様々な分野の企業実習を用意しています。これらの実習を通じて、利用者は実際の職場環境に近い形で就労経験を積むことができ、一般就労への移行をスムーズに進められるようサポートしています。
利用者一人ひとりに合わせた個別支援計画の作成ときめ細かな指導
同事業所では、利用者一人ひとりの特性や希望に応じた個別支援計画を作成し、丁寧なサポートを行っています。基本準備から発展学習、実習・就労までの各段階で、専門スタッフによる手厚い指導が行われ、利用者の自信と能力の向上につなげています。
“就労支援センター和貴の郷”の雇用型施設モデル
和貴の郷では、企業や公共団体からの仕事を受注する雇用型施設モデルが採用されています。
参考:就労支援センター和貴の郷
企業や公共団体、個人事業者からの仕事の受注
鳥取市の就労支援センター和貴の郷は、NPO法人が運営する雇用型施設として、企業や公共団体、個人事業者から仕事を受注し、障害者が主体となって作業を行う独自のモデルを展開しています。
農業関連の作業や食品加工、組立作業など多岐にわたる作業内容
和貴の郷では、農業関連の作業や食品加工、組立作業など、多様な作業内容を用意しています。利用者の適性や興味に合わせた就労機会を提供することで、働く意欲と能力の向上を図っています。
障害者も健常者も共に生きる社会の実現に向けた活動
同センターでは、障害者の働く能力や勤務態度を把握・管理し、支援方法などの知識・経験を発信することで、「ノーマライゼーション」の実現に向けた活動を展開しています。鳥取県内の施設の先駆けとして、障害者の社会参加と自立を促進する取り組みを行っています。
“特定非営利活動法人あおぞら”の地域密着型就労支援
あおぞらでは、米子市を拠点に地域密着型の就労支援サービスが提供されています。
参考:特定非営利活動法人あおぞら
米子市を拠点とした多様な就労支援サービス
特定非営利活動法人あおぞらは、米子市を中心に、就労継続支援B型事業所として様々な就労支援サービスを提供しています。地域に根ざした活動を通じて、障害者の就労と社会参加を促進しています。
地域の特性を活かした作業プログラム
あおぞらでは、地域の特性を活かした作業プログラムを展開しています。例えば、地元の農産物を使った加工品の製造や、地域の企業と連携した軽作業など、地域資源を最大限に活用した就労支援に取り組んでいます。これにより、利用者の就労意欲の向上と地域経済への貢献を同時に実現しています。
地域イベントへの参加や交流会の開催による地域社会との交流促進
同法人では、地域イベントへの参加や地域住民との交流会の開催など、積極的に地域社会とのつながりを持つ取り組みを行っています。これらの活動を通じて、障害者に対する地域の理解を深め、共生社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
まとめ
鳥取県内の就労支援事業所では、地域の特性を活かした多様な取り組みが展開されています。農業と福祉の連携、多角的な就労支援プログラム、雇用型施設モデル、地域密着型の支援など、各事業所が独自の強みを活かして障害者の就労支援に取り組んでいます。今後も、鳥取県内の就労支援事業所が、障害者の就労支援と地域社会の発展を両立させる新たな取り組みを生み出していくことが期待されるでしょう。
執筆者プロフィール

ウェブ・コピーライターとしてクライアントワークを中心に活動中。