【2025年版最新】「障害者雇用率が高い会社」ランキング

【2025年版最新】「障害者雇用率が高い会社」ランキング

障害者雇用の推進は、企業の社会的責任として重要性を増しています。2024年4月には法定雇用率が2.3%から2.5%へと引き上げられ、企業には一層の取り組みが求められるようになりました。本記事では、『東洋経済CSR企業総覧』2025年版のデータをもとに、障害者雇用率が特に高い企業をランキング形式でご紹介します。

どんな企業が対象なのか

『東洋経済CSR企業総覧』2025年版に掲載された企業を対象に、2023年度(2023年6月1日~2024年5月31日)の障害者雇用状況を調査しました。掲載対象は1,715社、うち2023年度に3人以上の障害者を雇用した1,137社をランキング対象としています。
障害者雇用促進法により、従業員40人以上の企業には障害者を雇用する義務があり、2024年4月には法定雇用率が2.3%から2.5%へ引き上げられました。さらに2026年7月には2.7%への段階的な引き上げが予定されています。法定雇用率を達成できない企業には、障害者雇用納付金の支払いが求められるため、企業は計画的な対応を迫られています。

2025年版 障害者雇用率の高い企業TOP10

ここからは、2025年版のランキングで上位にランクインした企業を詳しく見ていきます。雇用率の高さはもちろん、雇用人数の規模や業種による取り組みの違いにも注目です。

順位 会社名 雇用率(%) 雇用人数(人) 業種
1 フレアス 15.13 59 サービス業
2 ゼネラルパートナーズ 14.65 43 サービス業
3 エフピコ 12.60 393 化学
4 MRKホールディングス 10.81 4 小売業
5 デコボコベース 8.30 9 サービス業
6 キトー 7.82 39 機械
7 JSP 5.75 48 化学
8 ファーストリテイリング 4.89 1,194 小売業
9 横浜魚類 4.85 5 卸売業
10 NTTドコモビジネス 4.65 41 情報・通信業

1位 フレアス

訪問介護・看護サービスを全国展開するフレアスが、雇用率15.13%で首位を獲得しました。従業員390人に対して59人の障害者を雇用しており、介護業界における多様性推進のモデルケースとして注目を集めています。サービス提供の現場でも障害特性に応じた業務配置を工夫し、利用者との信頼関係構築に貢献する事例が報告されています。訪問介護という事業特性上、地域に根ざした雇用創出が可能であり、障害者にとっても通勤の負担が少ない働き方を実現しやすい環境が整っています。同社の取り組みは、人材不足が深刻な介護業界において、多様な人材の活用が事業継続の鍵となることを示す好例と言えるでしょう。

2位 ゼネラルパートナーズ

障害者の就職支援・雇用創出を事業の核とする同社は、自社でも14.65%の雇用率を達成し、「支援者であり実践者である」という独自の立ち位置を確立しています。従業員293人のうち43人が障害者であり、支援事業で培ったノウハウを自社の組織運営に還元する循環が機能しています。クライアント企業への提案力も、この実践経験に裏打ちされています。就職支援サービスを提供する企業が高い雇用率を実現することで、支援の説得力が増すだけでなく、障害者本人にとっても「実際に働ける場所がある」という安心感につながります。

3位 エフピコ

食品容器製造大手の同社は、雇用率12.6%、雇用人数393人という量・質ともに圧倒的な実績を誇ります。特例子会社を含めた体制整備により、製造ラインでの戦力化を実現しています。容器の選別・検品・梱包といった工程で、障害特性に応じた作業標準化を進め、品質管理体制の一翼を担う存在となっています。製造業における障害者雇用の成功事例として、他社からの視察や問い合わせも多く、業界全体への波及効果も期待されています。

4位 MRKホールディングス

雇用率10.81%で4位にランクイン。従業員規模は比較的小さいものの、高い雇用率を実現している点が特徴です。少人数の組織だからこそ実現できるきめ細かな配慮と、一人ひとりの特性に合わせた業務設計が高雇用率につながっていると考えられます。中小企業においても、適切な環境整備と業務の切り出しによって、高い雇用率を達成できることを示す事例と言えるでしょう。

5位 デコボコベース

雇用率8.30%で9人を雇用する同社は、発達障害を含む多様な障害特性に対応した雇用環境の構築に取り組んでいます。社名からも多様性を重視する姿勢がうかがえ、個々の特性を活かした業務配置を重視していることが推測されます。比較的新しい企業でありながら高い雇用率を実現している点は、創業時から多様性を組織文化の中心に据えることの重要性を示しています。

6位 キトー

搬送機器メーカーのキトーは、7.82%(39人)の雇用率で6位となりました。産業用チェーンやホイストといった製造設備を扱う同社ですが、製造現場での工程設計の見直しや、一人ひとりの特性を見極めた配置を行うことで、着実に雇用を拡大しています。製造業という業種柄、物理的な作業が伴う場面も多いですが、適切な環境を整えれば活躍の場は十分に広がるといえるでしょう。

7位 JSP

樹脂発泡製品を手がけるJSPは、5.75%(48人)で7位にランクインしました。この数値は特例子会社との合算によるもので、グループとして障害者雇用に本腰を入れている様子がうかがえます。製造拠点での直接雇用に加え、特例子会社を通じて多様な業務を用意することで、さまざまな障害特性に対応した受け入れ体制を構築しています。
適性に応じてリーダーを任命し、就労を通じた成長機会を提供することで、社員のモチベーション向上にもつながっているようです。

8位 ファーストリテイリング

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、4.89%(1,194人)で8位にランクインしました。雇用率そのものは他社より控えめですが、雇用人数はTOP100の中で最多を記録しています。全国各地の店舗や物流センター、本社部門など、事業拠点の広がりを活かして多様な職種で雇用を進めているのが特徴です。接客や在庫管理、データ入力といった幅広い業務で障害者が活躍しており、大手企業ならではのスケールメリットを雇用促進に結びつけている好例といえます。

9位 横浜魚類

水産卸売業を営む横浜魚類は、4.85%(5人)で9位となりました。卸売市場という業態は早朝勤務や体力を要する作業が多く、一般的には雇用のハードルが高いと思われがちです。しかし、業務内容や勤務時間帯を個々の状況に合わせて調整するなど、きめ細かな配慮によって高い雇用率を実現しています。業種の特殊性を理由にせず、工夫次第で道は開けることを示す事例です。

10位 NTTドコモビジネス

通信事業を展開するNTTドコモビジネスは、4.65%(41人)で10位にランクインしました。ICT技術を本業とする同社ならではの強みを活かし、デジタルツールを駆使した業務環境の整備が進んでいるものと見られます。通信業界における障害者雇用のモデルケースとして、テクノロジーを活用した働きやすさの追求は、今後の雇用促進において一つの指針となるでしょう。

雇用率向上がもたらす企業価値の変化

障害者雇用率を高めることは、法令を守るという意味合いだけでなく、企業価値そのものを押し上げる要素として注目されるようになりました。DEI(多様性・公平性・包摂性)を重視する姿勢が、投資家や消費者からの信頼獲得につながるケースが増えています。
ESG投資の観点でいえば、障害者雇用は「S(社会)」を測る重要な尺度です。高い雇用率を達成している企業は、社会的責任を果たすだけでなく、持続可能な経営を実践していると評価されやすいでしょう。こうした評価は株価や企業イメージにも影響を及ぼし、優秀な人材を惹きつけたり、取引先との関係を深めたりする効果も期待できます。
多様な人材が活躍できる職場をつくることは、障害の有無を問わず全従業員にとって働きやすい環境の実現につながります。障害者への合理的配慮として導入した柔軟な勤務制度や業務の標準化は、育児や介護と仕事を両立する社員にも役立ちますし、組織全体の生産性を高める可能性があります。

今後の展望と企業に求められる対応

2026年7月には法定雇用率が2.7%へと引き上げられる予定で、企業には計画的な採用と職場環境の整備が求められます。今回のランキング上位企業を見ると、高い雇用率を実現するための共通点がいくつか浮かび上がってきます。
一つは、特例子会社の設立や業務の切り出しなど、組織として受け入れる体制を整えていることです。エフピコやJSPは特例子会社を通じて大規模な雇用を実現しており、障害特性に応じた専門的な支援を提供しています。
もう一つは、自社の事業特性を活かした雇用の創出です。フレアスのような訪問介護事業であれば地域に根ざした雇用が可能ですし、ファーストリテイリングのように全国展開している企業なら多様な職種での受け入れが実現できます。自社の事業モデルに適した形を探ることが、持続可能な雇用につながるでしょう。
さらに、ゼネラルパートナーズのように、障害者雇用そのものを事業機会として捉える視点も興味深いものがあります。自社で蓄積した支援ノウハウを他社へ提案するという循環は、障害者雇用を「コスト」ではなく「投資」として位置づける考え方を体現しています。
これから企業に求められるのは、数値目標を達成するだけでなく、障害者が実際に能力を発揮できる環境を整えることです。合理的配慮の提供やバリアフリー化、業務内容の見直しなど、ハード・ソフトの両面で取り組む必要があります。障害者雇用を通じて培われる組織の多様性は、すべての従業員が働きやすい環境づくりにつながり、企業が持続的に成長するための基盤となるはずです。

【参考】
東洋経済ONLINE 「「障害者雇用率」が高い企業ランキング!」

執筆者プロフィール

TOPへ