障害者が実際に使っている優遇制度・割引サービスの人気ランキング10選

障害者が実際に使っている優遇制度・割引サービスの人気ランキング10選


障害者の支援サービスと言えば、生活介護や車いす・補聴器を始めとした補装具の購入費など、いわゆる「障害福祉サービス」を真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

実は障害者手帳を持っていれば、もっと身近なサービスの優遇や割引サービスを受けられるのです。今回は障害の当事者である筆者の経験も踏まえ、障害者が実際に使っている障害者手帳での優遇制度・割引サービスの人気ランキングをご紹介します。

※紹介する各種制度は手帳種別や等級、自治体、サービスの実施事業者により内容が異なります。詳細はお近くの福祉窓口や各事業者へご確認ください。

【1位】電車・バス・飛行機・タクシー等の運賃割引

精神障害者に関しては対象外のケースが多いですが、日常生活の中で一番有用なのは「交通機関の割引制度」です。例えば、JR各社では障害者手帳に記載された「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の種別によって、運賃を割引しています。各種別と割引内容は以下の通りです。

第1種(介助者が同乗) 全区間で5割引
第1種・第2種(介助者なし) 片道100km以上の区間で5割引

【参考】JR東日本「お身体の不自由なお客さまへ」

また、バス会社によっては、路線バスの乗車料金を支払う時に手帳を提示すれば5割引で乗車できます。更に高速バスでも割引を利用できる会社がありますので、かなりお得に移動できます。

【参考】西武バス「各種割引運賃について」

自治体の制度により更にお得に交通機関を利用できるケースもあります。例えば、東京都在住で障害者手帳の所持者なら、都営線・都営バスの全線が無料で利用できる「都営交通無料乗車券」が発行されます。

【参考】東京都交通局「都営交通無料乗車券」/ 東京都福祉保健局「精神障害者都営交通乗車証」

その他、タクシーや飛行機などの交通機関でも所定の割引制度が利用できます。

交通機関の割引サービスだけでもかなりの種類。外出を控えがちな障害者の方でも、割引が利くと分かれば外出の機会が増える可能性もあります。障害者手帳による交通機関の運賃割引を活用しない手はないでしょう。

【2位】スマホ・携帯電話料金の割引

通信キャリア大手3社(docomo、au、ソフトバンク)では、「スマホ・携帯電話料金の割引制度」があります。身体障害者・知的障害者・精神障害者いずれも対象です。各社共に対象プランの基本使用料が毎月1,700円割引されるほか、「通話料の割引」「契約事務手数料が無料」「各種サービスの使用料が割引」など、お得な制度があります。

残念なのは、割引率の大きい「定期割(2年割)」との併用ができないこと。それでも障害者割引を使った方がお得ですし、期間に縛られずに利用できるメリットは大きいです。

【参考】docomo「ハーティ割引」 / au「スマイルハート割引」 / ソフトバンク「ハートフレンド割引」

【3位】医療費を軽減する自立支援医療制度

障害の種類によるものの、障害者は医療費の負担が大きくなりがち。そこで役立つのが、障害の軽減や精神疾患の治療に必要な治療費の負担を軽くするための「自立支援医療制度」です。「更生医療(身体障害者)」「精神通院医療」「育成医療(18歳未満の児童対象)」の3種類があり、更生医療以外は手帳の有無を問わず利用できます。

具体的には、通常3割の自己負担である医療費が、自立支援医療制度を利用すれば1割負担にまで軽減可能です。さらに所得に応じて月額上限自己負担額が設定され、一定額を超えた医療費は払い戻されます。定期的な通院や服薬する方にとって、出費の心配が軽減される非常にありがたい制度です。

【参考】厚生労働省「自立支援医療」

【4位】美術館・博物館等の入館料割引

意外と人気なのが「美術館・博物館の割引制度」。国立美術館や県立博物館など、障害者手帳の提示により無料で入館できる公営の文化施設が多くあります。さらに同伴者も無料になる施設も多いです。また、施設により異なりますが、行列になりがちな特別展示などは障害者手帳があれば並ばずに入館できる場合もあります。

【参考】国立科学博物館「入館料」

【5位】テーマパーク・レジャー施設の割引・優遇制度

テーマパークと言えば、ディズニーランドを思い浮かべる方は多いでしょう。東京ディズニーリゾート(TDR)では、2020年4月1日からついにパスポートの障害者割引が導入されました。※2020年7月より新型コロナウイルス拡大のため発売中止となり、現在も再開の目途が立っていません。

ただ、ディスアビリティアクセスサービス(DAS:通常の乗り物の列に並べない障害者で、来園当日に障害者手帳もしくは障害福祉受給者証を対象施設で係員に提示すると利用できる制度。DAS利用時でも通常通り待ち時間は発生する)に関しては、継続して行っているようです。

※DASやパスポートの障害者割引について、TDR公式サイトのバリアフリーの項目で確認するか、直接インフォメーションセンター(0570-008-632 9:00~19:00)までお電話にてお問い合わせください。

【参考】東京ディズニーリゾート「パークでの負担を軽減するためのサポートツール」

東がディズニーなら西の「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」もディズニーリゾートと同様に、列に並ばずに乗れる優遇制度に加えてパークチケットが半額になる障害者割引制度があります。

【参考】USJ WEBチケットストア / USJバリアフリーサービス

【6位】割引で映画鑑賞、同伴者も1,000円

大手シネコンで値上げが相次ぎ話題になった「映画館の料金」。一般料金1,900円のところ、障害者割引でほとんどの映画館が1,000円で利用できます。さらに同伴者一人まで同じ1,000円で鑑賞できますので、2人分の料金で考えれば1回あたり1,800円もお得です。

また、障害種別や等級に関係なく割引が受けられるのも大きなメリットです。最近は字幕付き・音声ガイド付きのバリアフリー上映も増えてきているので、障害者の娯楽として映画がますます身近になってきたように感じられます。

【参考】TOHOシネマズ新宿「料金・割引サービス表」

【7位】スポーツ施設の割引、無料利用

体育館やプール等の公営スポーツ施設なら、ほとんどの施設で障害者割引料金での利用が可能です。自治体によりますが、無料で利用できたり同伴者も割引になったりします。

「公営体育館」と言うと、設備に乏しいイメージがあるかも知れませんが、最近はトレーニング機器や体力測定器具、プールなど充実している施設も増えていますので、ぜひお住まいの地域のスポーツ施設をチェックしてみてください。

【参考】港区スポーツセンター「個人利用案内」

【8位】有料道路料金の割引

都市部から離れた場所にお住まいなら生活の足は自動車という方も多いでしょう。自動車関連の優遇措置で嬉しいのが「有料道路料金の割引制度」です。

対象は「身体障害者本人が運転する場合」または「介護者が運転し、重度身体障害者または重度知的障害者が同情する場合」のいずれかで、適用されれば、50%割引で有料道路が利用できます。事前登録と個人所有の車という制限がありますが、割引を受けられる機会があれば是非活用しましょう。

【参考】NEXCO西日本「有料道路における障がい者割引制度についてのご案内」

【9位】所得税・住民税の控除と自動車税の減免

働いている方ならほとんどの方が恩恵を受けられる「所得税・住民税の控除制度」。所得税は重度障害に当たる「特別障害者」で40万円、「その他の障害者」なら27万円が所得から控除可能です。住民税は、自治体ごとに定められた金額が所得から控除されます。

例えば、東京都杉並区なら「特別障害者」は30万円、「その他の障害者」は26万円が所得から控除可能です。控除に当たっては申告が必要になりますので、年末調整・確定申告の際には忘れずに申告しましょう。

【参考】国税庁「No.1160 障害者控除」 / 杉並区「個人住民税の障害者控除」

また、自治体によっては自動車税・自動車取得税の減免制度もあります。詳しくは東京都主税局のサイトをご覧ください。

【参考】東京都主税局「自動車税・自動車取得税の減免制度のご案内」

【10位】NHK放送受信料の減免

NHK電波の受信機(テレビ、ワンセグ対応スマホ)を所有している世帯にはNHK放送の受信料を支払う義務が発生します。そんなNHK受信料には障害者向けの減免措置があります。手帳の種類や等級によるものの、障害者手帳をお持ちで世帯主かつ契約者なら半額か免除になる制度です。

【参考】NHK「障害者の方に対する受信料の免除について知りたい」

まとめ

今回ご紹介した割引サービス以外にも様々な障害者優遇措置があります。意外と外出した先で「障害者手帳持ってくればよかった…」なんて思う場面があるかもしれません。

国や民間企業がせっかく用意している制度なのですから、活用しない手はありません。何らかのサービスや施設を利用する際は、真っ先に障害者手帳を思い出してみてください。意外な場面で優遇や割引が受けられるかもしれません。

執筆者プロフィール

TOPへ