
マイナンバーカードと障害者手帳の連携が進み、情報の確認が便利になった一方で「実際にどのような手続きができるのか」「セキュリティは大丈夫なのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、マイナポータルを活用した障害福祉手続きの具体例と、昨今増加している詐欺サイトへの対策について、2部構成で解説します。
自宅で完結!マイナポータルでできる障害福祉手続き一覧
「市役所の窓口に行くのが大変」「手続きのために仕事を休まなければならない」といった悩みをお持ちではありませんか?マイナポータルを活用することで、自宅にいながら障害福祉に関する手続きや情報の確認が可能です。ここでは、特に利用頻度の高い機能や手続きについて解説します。
自立支援医療(精神通院)などのオンライン申請
これまで窓口で行っていた「自立支援医療受給者証(精神通院)」の更新や変更申請の一部が、マイナポータルを通じてオンラインで行えるようになっています(※対応状況は自治体によります)。
マイナポータル内の検索機能「ぴったりサービス」を利用すれば、お住まいの地域で申請可能な手続きを探すことができます。
オンライン申請の主なメリット
- 24時間365日申請可能:窓口の開庁時間を気にする必要がありません。
- 移動負担の軽減:体調が優れない時でも自宅から手続きが可能です。
- 入力の簡素化:マイナンバーカードを読み取ることで、氏名や住所などの基本情報が自動入力されます。
必要なもの
- マイナンバーカード(署名用電子証明書暗証番号が必要)
- スマートフォン(マイナポータルアプリ)またはPCとカードリーダー
- 医師の診断書(画像データとしてアップロード、または別途郵送)
- 健康保険証の情報
すべての自治体がオンライン申請に対応しているわけではありません。まずはマイナポータルのトップページから「自治体を設定」し、「ぴったりサービス」で「障害福祉」のカテゴリを検索してみてください。
参照:マイナポータル(ぴったりサービス)
「わたしの情報」で確認できる医療・福祉情報
マイナポータルには、行政機関が保有しているあなたの情報を確認できる「わたしの情報」という機能があります。障害者手帳の情報だけでなく、以下のような情報も閲覧可能です。
| 福祉・介護 | 障害者手帳情報(身体・精神・療育)、自立支援給付情報 |
| 健康・医療 | 医療費通知情報(確定申告の医療費控除に利用可能)、薬剤情報、特定健診情報 |
| 税・所得 | 所得・個人住民税情報 |
特に「薬剤情報」や「医療費通知情報」は、通院が多い方にとって自身の健康管理や確定申告の手間を減らすために非常に有用です。
「やりとり履歴」で情報の使われ方を確認する
「自分の情報が勝手に使われていないか心配」という方におすすめなのが、「やりとり履歴」の確認機能です。
これは、行政機関同士であなたの情報(マイナンバーに紐づく情報)をやりとりした記録を確認できる機能です。例えば「市役所が税務署に対して所得情報を照会した」といった記録が残ります。
「いつ」「誰が」「何の目的で」自分の情報を照会したのかを自ら監視できるため、透明性が担保され、安心感につながります。
自分の情報を守れ!マイナポータル詐欺・偽サイトに注意

マイナンバーカードの普及に伴い、行政機関やマイナポータルを装った詐欺メールや偽サイトへの誘導事案が増加しています。特に、障害年金や給付金の手続きを装う手口には十分な注意が必要です。
1.実際に確認されている詐欺の手口
デジタル庁や国民生活センター等から、以下のような事例が報告されています。
①年金事務所等を騙る電話誘導
「年金の手続き期限が迫っている」「未払いの年金がある」などと言って不安を煽り、電話口で「マイナポータルへアクセスしてください」と指示します。しかし、案内されるのは公式ではない偽サイトです。
②LINEやSMSによる偽サイト誘導
「給付金の申請はこちら」といったメッセージと共にURLが送られてきます。リンク先はマイナポータルに酷似した偽サイト(フィッシングサイト)で、個人情報や口座情報の入力を求められます。
③偽アプリのインストール誘導
正規のアプリストア(AppStoreやGooglePlay)以外から、不正なアプリをダウンロードさせようとする手口です。「セキュリティ強化のため」などと称して誘導するケースがあります。
2.安全なサイト・アプリの見分け方
詐欺被害に遭わないために、以下のポイントを必ず確認しましょう。
正しいURLを確認する
マイナポータルの公式URLの末尾は必ず「.go.jp」です。
○ 正しいURL:https://myna.go.jp/
× 怪しいURLの例:myna-portal.com,myna.org,myna-support.xyzなど
アプリは公式ストアからのみ入手する
Androidなら「GooglePlay」、iPhoneなら「AppStore」からのみダウンロードしてください。メールやSMSに記載されたリンクから直接アプリをインストールしようとしてはいけません。
3.支援員やご家族ができる予防策
障害のある方や高齢者が一人で判断するのは難しい場合があります。周囲の支援員やご家族は、以下の点に気をつけてサポートしましょう。
「ブックマーク」を活用する:
検索エンジンを使わずに、事前に確認した公式サイトをブックマーク(お気に入り)登録し、そこからアクセスする習慣をつけるように支援してください。
急かされる連絡は疑う:
「今日中に手続きが必要」など、急かすような電話やメールは詐欺の可能性が高いことを共有しておきましょう。
画面を一緒に確認する:
初めてオンライン申請を行う際は、できるだけ支援者が同席し、アクセスしているサイトが正しいか一緒に確認してください。
4.もし不審に思ったら
「おかしいな」と思ったら、個人情報を入力せず、すぐに操作を中断してください。以下の公的な窓口で相談が可能です。
マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178(音声ガイダンスに従ってメニューを選択)
警察相談専用電話:#9110
消費者ホットライン:188(いやや)
便利なデジタルサービスを安全に利用するためには、正しい知識と「ちょっとした警戒心」が最大の防御になります。
個人情報を入力してしまった場合の対処法
万が一、偽サイトに個人情報やマイナンバーカードの暗証番号を入力してしまった場合は、迅速な対応が必要です。
マイナンバーカードの機能停止:
マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に電話し、カードの機能を一時停止してもらいます。24時間365日対応しています。
暗証番号の変更:
住民登録のある市区町村窓口で暗証番号を変更します。オンラインでは変更できないため、必ず窓口に行く必要があります。
警察に相談:
詐欺被害として警察相談専用電話(#9110)または最寄りの警察署に相談します。被害届を出すことで、今後の捜査に役立ちます。
金融機関に連絡:
口座情報を入力した場合は、該当する銀行やクレジットカード会社にすぐに連絡し、不正利用の監視や口座の一時停止を依頼します。
マイナンバーカードの暗証番号(特に署名用電子証明書の6~16桁のパスワード)は、絶対に他人に教えてはいけません。行政機関が電話やメールで暗証番号を聞くことは一切ありません。
まとめ:正しい知識で安全にマイナポータルを活用しよう
マイナポータルは、障害福祉をはじめとする行政手続きを便利にする強力なツールです。しかし、その利便性を狙った詐欺も増えています。
大切なポイントをおさらい
- 正しいURL(https://myna.go.jp/)をブックマークして使う
- アプリは必ず公式ストア(GooglePlay、AppStore)からダウンロード
- 電話やメールで暗証番号を聞かれたら詐欺を疑う
- 急かされる連絡には応じず、冷静に確認する
- 不安な時は、公式窓口(0120-95-0178)に相談する
支援員の方やご家族は、利用者が一人で判断せず、必要に応じて一緒に確認できる体制を整えることが大切です。デジタル化が進む中で、正しい知識と適切な警戒心を持つことが、安全な福祉サービス利用のポイントとなります。
参考:総務省厚生労働省デジタル庁|マイナンバー制度に関するお問合せ独立行政法人国民生活センター|マイナンバー制度に便乗した不審な電話等にご注意ください!警察庁|偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策台東区|マイナポイント事業をかたる詐欺にご注意ください横浜市|オンライン申請についてー自立支援医療(精神通院医療)―八王子市|自立支援医療(精神通院)のオンライン申請東京都|保険証廃止に伴う「自立支援医療(精神通院医療)」の申請等の変更についてマイナポータル|マイナポータル上でどんな情報を確認できるようになりますか?内閣府大臣官房番号制度担当室|マイナポータル(ぴったりサービス)の取組について
執筆者プロフィール

「情報は人を助ける力になる」をモットーに執筆活動を行うライター。
社会経験を活かし、消費者保護や労働法規の分野で独自調査を重ねている。得意分野は法制度や行政手続きのほか、キャリア形成論、ビジネススキル開発など。