旅行は新しい文化や場所を体験したり、非日常感を味わえる素敵なイベントです。しかし、性的マイノリティの方にとっては、行く先の国によって危険な場面がたくさんあります。
日本とは違って、性的マイノリティに対する厳しい法律や差別のある国が実は数多く存在するのをご存じでしょうか?
この記事では性的マイノリティの方が旅行をする際、特に注意してほしい5つの国の現状を取り上げ、それぞれの国の現状を解説し、危険性を詳しく説明していきます。
安全で楽しい旅行を計画するために、旅行先を選ぶ時の参考になると幸いです。
なぜ性的マイノリティ旅行者が特定の国で危険にさらされるのか
性的マイノリティの旅行者が危険にさらされる理由は、国の法律と国民の考え方によるものが多い傾向にあります。
残念なことに、世界には性的マイノリティに対して偏見や差別が根強く残っている国がまだまだ多く、一部の国では同性愛行為が法律で禁止されており、重い刑罰が科せられることもあります。
また、文化的・宗教的な理由から社会全体が性的マイノリティに対して差別的な態度を取る場合もあり、こういった状況の国では、性的マイノリティの旅行者が差別や暴力の対象となってしまう可能性があるのです。
性的マイノリティが行ったら危険な5つの国!
性的マイノリティの方に特に警戒していただきたい国を5つピックアップしました。
国名 | 差別内容 | 罰則 |
---|---|---|
サウジアラビア | 同性愛は違法 | 罰金、鞭打ち、投獄、死刑 |
イラン | 同性愛は違法 | 鞭打ち、投獄、死刑 |
ロシア | 同性愛の「宣伝」を禁止する法律 | 警告、罰金、追放 |
ナイジェリア | 同性愛は違法 | 投獄、鞭打ち |
インドネシア | 地域によっては同性愛が禁止 | 差別や嫌がらせの可能性(一部地域) |
1.各国の詳細
サウジアラビア
- イスラム法の影響が大きく、同性愛が全面的に禁止されています。
- 性的マイノリティは社会から孤立してしまったり迫害にさらされ、非常に危険な立場に立たされています。
- 現地の法律や文化をよく確認し、同性愛や性的マイノリティについて公然と議論したり行動することは避けた方がいいでしょう。
イラン
- イスラム法の影響が大きく、同性愛が全面的に禁止されています。
- 特に男性同士の同性愛行為は死刑の対象になり、女性同士もむち打ちや懲役の刑を科される場合があります。
- 政府が性転換手術を奨励しており性別変更が法律で認められているので、外見の性別が一致している場合は差別や刑罰を免れる可能性があります。
ロシア
- 「同性愛の宣伝禁止法」という法律により、性的マイノリティの権利を守る活動や表現することが制限されています。
- 性的マイノリティは警察の取り締まりや民衆の差別にさらされる危険があるので、安全を確保するために慎重に行動する必要があります。
- 政府自体が性的マイノリティの権利に対して否定的なため、政治家までもが差別的な意見を公で行うことも偏見を広げています。
同性愛の宣伝禁止法とは? |
同性愛や性的マイノリティの権利を制限する法律です。未成年者に対して同性愛の情報提供を制限しています。具体的には、同性愛を描写した書籍、映画や宣伝、同性愛に関するイベントやパレードの開催が規制されています。 |
ナイジェリア
- 同性愛行為は厳しく禁止されています。北部にある12の州ではシャリア法が適用され、同性間の性行為が死刑になったパターンもあります。
- 2014年に同性婚禁止法が制定された影響で、同性婚やパートナーシップが厳しく取り締まられるようになりました。また、性的マイノリティの権利活動や団体も行動を制限されています。
- 差別文化が強く根付いているため、カミングアウトや公での性的マイノリティに関する発言は避けた方がいいでしょう。
インドネシア
- 同性愛そのものは違法ではありませんが、一部地域(アチェ州など)でシャリア法が適用され、同性愛行為が違法になります。場合によっては鞭打ちなどの厳しい処罰が科せられる可能性もあります。
- 性的マイノリティに対する差別や偏見が強く、暴力や嫌がらせに合っても警察が適切に対応しない事が多いです。
- 性的マイノリティのコミュニティも地下での活動が主になっており、安全な支援を受けることが難しい状況です。
【参考】ロシアの同性愛宣伝禁止法
代わりに訪れるべきフレンドリーな国
「じゃあどの国が安全なの?」と不安になりますよね。
続いて性的マイノリティの方が旅行先に安心して選ぶことのできる国をご紹介します。
多様性を尊重し、性的マイノリティの権利をしっかりと守る文化と法律がある国を5つピックアップしました。
カナダ
- 同性婚が2005年から認められており、性的指向や性自認に関わる差別を厳しく取り締まっています。
- トロントやバンクーバーは特に性的マイノリティに優しい都市として有名で、性的マイノリティに寛容なバーやクラブも多く立ち並んでいます。
- 毎年6月に「トロント・プライド」や「バンクーバー・プライド」など性的マイノリティの権利と文化を祝う有名なイベントがあるので観光の際はぜひ見に行くことをおすすめします。
オランダ
- 2001年に世界で初めて同性婚を合法化した国で、性的マイノリティはパートナーシップを公式に認められています。
- 性的マイノリティの人々が自由に表現できる文化が根付いており、アムステルダムなどは性的マイノリティの権利を強く支持している影響からコミュニティも活発です。
- 「アムステルダム・プライド」などのカラフルなパレードやイベントが多くの都市で開催され、性的マイノリティに関わらず誰でも自分らしく個性を尊重して楽しむことができます。
スウェーデン
- 2009年から同性婚が合法になり、同性カップルも養子を取ることができる国です。
- 法律で性的指向や性自認に基づく差別が禁止されており、積極的に性的マイノリティの権利を支援しています。
- ストックホルムやイェーテボリなどの都市では、性的マイノリティに優しい都市として知られており、カラフルで楽しいイベントが定期的に開催されています。
スウェーデンの差別禁止法とは? |
2009年から性的指向や性自認に基づく差別を厳しく禁止しています。この法律は、雇用や教育、住居、サービスの提供などの様々な分野で性的マイノリティに対する差別を違法と規定しています。 |
アルゼンチン
- 2010年にラテンアメリカで初めて同性婚を合法化した国で、性的マイノリティの権利が法律で保護されています。
- アルゼンチンの文化は温かく、性的マイノリティの権利が強く支持されており、多くの性的マイノリティに寛容な施設があります。
- ブエノスアイレスでは性的マイノリティが楽しめるクラブやバーがあり、多くの参加者を集めるイベントなども積極的に開催されています。
ニュージーランド
- 2013年に同性婚が合法化されており、スウェーデンと同じく同性カップルも養子を取ることができる国です。
- ニュージーランドは自然豊かでリラックスした国で、特にオークランドとウェリントンは性的マイノリティに優しい都市として知られています。
- ニュージーランド最大の「オークランド・プライド」という性的マイノリティの権利と文化を祝う有名なイベントが2月に開催されます。パレードはもちろん、映画上映会やアート展示、ワークショップなどのイベントが行われます。
【参考】スウェーデンの差別禁止法
性的マイノリティ旅行者へのアドバイス
法律や差別によってせっかくの旅行が楽しめなかったら、後悔しか残りません。
安全で快適な旅行を楽しむために、気を付けてほしい点を5つまとめました。
嫌な思い出を残さないよう、ぜひこちらのアドバイスを参考にしてみてください。
旅行先の法律や規制に従う
まずは旅行先の性的マイノリティに関する法律や文化を念入りにきちんと調べておくことが最も大切になります。
同性婚が合法であるか、差別禁止法があるのか、公共の場での性的マイノリティに関わる発言や表現がどの程度受けられているのかを知っておきましょう。
もちろん、法律に違反する行為は避けて、現地の規則に絶対に従ってください。
現地の文化や習慣を理解する
現地の文化や習慣を事前にリサーチして、どのような行動が適切・不適切かをしっかり理解しましょう。
一部の国では、公の場での同性愛の表現がタブー視されていることがあります。
現地の性的マイノリティコミュニティにつながる
旅行先に性的マイノリティコミュニティの団体・施設がある場合は積極的に訪れてみてください。
また、支援グループに参加することで現地の情報や安全な場所を知ることができます。
安全な宿泊先を選ぶ
予約する時は、性的マイノリティの方に寛容なホテルやゲストハウスを選ぶと安心です。
ただし、口コミや旅行サイトで宿泊予定の施設を絶対に調べておきましょう。
一部のホテルや宿泊施設は、性的マイノリティ旅行者向けに特別な配慮をしています。
旅行保険を検討する
旅行保険には、緊急時のサポートや医療費の補償が含まれることがあります。
安心して旅行するために、適切な旅行保険に加入することを検討しましょう。
まとめ
性的マイノリティの旅行者は、旅行前は特に危険な国をリサーチすることが重要になります。
今回は厳しい法律や社会的差別がある5つの国をご紹介しましたが、まだまだ性的マイノリティにとって危険な国は数多く存在します。
訪問予定の国の法律や文化については十分にリサーチを行い、安全な旅行計画を立てましょう。
旅行前には旅行保険に加入することも忘れずに!
性的マイノリティの方が安全で楽しい旅行を楽しめるよう、この記事が役立つことを願っています。
執筆者プロフィール
障害を持った家族との実生活を踏まえて、福祉を身近に頼りながら日々勉強しております。