持続可能な社会へ|アップサイクルに取り組む企業・団体7選

持続可能な社会へ|アップサイクルに取り組む企業・団体7選


アップサイクルとは、本来であれば廃棄されるはずのものにデザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせ、別の新しい製品に生まれ変わらせることをいいます。ただ単純に資源を再利用するのではなく、そのものが持つ本来の特徴を生かし、より良いものを生み出すという概念です。日本では「再利用」「リサイクル」という言葉の方がまだ馴染み深くはありますが、循環型社会を目指していく上で、今後注目すべき取り組みであることは言うまでもありません。これまで実施されてきた3R運動(リユース、リデュース、リサイクルの頭文字をとった、ごみを減らすための取り組みのこと)からさらに発展したこの新しい概念で、持続可能な社会を目指すムーヴメントが日本でも広がっています。
アップサイクルと一口に言っても、その形は取り組む企業・団体によって様々です。今回は日本でアップサイクルに取り組む7つの企業・団体をピックアップし、その事例を紹介します。

Cargo Ship

2014年に香川県高松市で創業した、帆布を用いたバッグを製作・販売する企業です。帆布はその名の通り帆船で用いられる素材で、耐久性が高いことが特徴です。帆布バッグ以外では、什器のデザインやリノベーションを行うCargo Ship DOCKも手掛けています。この企業が実施している「高松アップサイクル」では、地元で開催される競輪で出た廃タイヤを使用したバッグを製作・販売しています。廃タイヤの裁断を就労支援施設へ委託、売上を新型コロナの影響で収入減となった施設へ寄付しており、社会貢献の意味が強い事業です。

アップサイクルラボ

「廃棄物の有効利用」、「独自性の高い商品開発」をコンセプトに掲げる奈良県の企業です。廃材となった消防ホースを原材料としたバッグなどの製品開発・販売を行っています。消防ホースだけでなく、屋外展示の横断幕などの素材ターポリンを用いた製品も取り扱っています。また、増え続ける廃材を活用するため、代表作のバッグだけでなくランドリーバッグなどの生活雑貨品の開発も実施しています。

ユニファースト株式会社

企業のグッズ制作について企画から納品までワンストップで請け負うサービスなどを提供する企業です。SDGs事業も『スタートSDGsプロジェクト』など積極的に取り組んでいます。『いきかえるプロジェクト』です。事業過程で出た廃棄物などを原料に作るリサイクル製品のアイデア提案から生産までを実施します。展示会への出展実績として、「海洋ゴミから作られたエコバッグ」などがあります。

中特グループ

1966年に一般廃棄物の収集運搬業者として創業した山口県の企業です。時代の変遷に沿って事業を拡大し、1980年には建設業登録に至りました。現在は個人向けの遺品整理・片付け・解体事業から、企業・行政向けの産業廃棄物処理事業や水道の維持管理事業などを幅広く手掛けています。また全国から「本来は捨てられるはずだった物を活用し、アートとして付加価値をつけた作品」のプランを募集し、書類選考と製作期間を経て成果発表をするという「COIL Upcycle Art Contest」という取り組みも行っています。

株式会社おとうふ工房いしかわ

豆腐をはじめとする大豆加工品の製造販売や飲食店を経営する愛知県の企業です。企業理念の一つに「地球の環境を守りたい」を掲げて環境に配慮した取り組みを積極的に行い、2023年には容器工場で廃棄される減プラスチック豆腐容器から「まあるい定規」を製作。この丸い形には、みんなが力を合わせれば価値のないと思っていたものが宝物に変えられる、発想次第で SDGs の前文にある「誰一人取り残さない社会」を実現できることに気づいてほしいという想いがこめられています。なお外装のデザインは愛知県立安城特別支援学校の生徒から募集したイラストを使用し、封入作業は地元の授産所高浜安立へ委託。今後は、この製品を用いて環境と福祉を掛け合わせた環福教育活動を高浜市内の小学校にて行っていくと同時に各小売流通業の協力のもと、家庭や学校給食から使用済み豆腐容器を回収する回収形態を整備し、循環型社会の実現を目指しています。

ラヴィストトーキョー株式会社

非動物性素材の服飾雑貨の企画、開発、販売及び資源の再利用事業に取り組む東京都の企業です。「アップサイクルから始まる、巡りのよい暮らし」をコンセプトに、廃棄リンゴから生まれた「アップルレザー」をはじめ、植物由来のヴィ―ガンレザーアイテムを展開しています。「LOVST TOKYO」というブランド名には、愛を持ってヴィーガン、多様性といった個性を一番に尊重できる文化を東京から発信していくという想いが込められており、オシャレのために動物や環境を犠牲にしたくないという理由から植物由来のヴィ―ガンアイテムを届けています。

株式会社BAGASSE UPCYCLE

アパレル業界が抱える地球環境への課題を、バガス(さとうきびの搾りがす)への置換やシェアリングエコノミーの活用により解決することを目指す沖縄県の企業です。さとうきびから砂糖を製造する際に出る茎や葉などの大量の搾りかす「バガス」の可能性に着目し、環境負荷が高い素材をバガス由来の環境に優しい素材に置き換えシェアリングを活用することで、無駄になる衣類を減らし持続可能な優しさの実現を目指しています。そのビジネスモデルは非常にユニークで、沖縄県内の製糖工場から出るバガスを県内で粉砕加工し、岐阜県の美濃和紙の製造技術を活用して和紙に加工。そのバガス和紙を撚り合わせて糸にし、日本一のデニム産地となる広島県福山市の工場にて生地に織り上げます。循環経済に日本が誇る技術の総力で取り組んでいます。

新たな価値を見出すということ

これまで捨てていたものに付加価値をつけて再利用するアップサイクル。今回はご紹介しきれませんでしたが、他にもたくさんの企業や団体が魅力的な取り組みをしています。人の想いひとつで再び命が吹き込まれるものがこの世界にはまだまだあふれていることに気付かされます。これを機に、持続可能な社会を実現するために一人一人が出来ることについて一度考えてみるのもいいのではないでしょうか。

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