ギフテッドとは? 「特徴」「発達障害との違い」「親ができる支援」を解説

ギフテッドとは? 「特徴」「発達障害との違い」「親ができる支援」を解説

ギフテッドとは、生まれつき高い知的能力や特定の分野で突出した才能を持つ人を指す言葉です。
ギフテッドの子どもは、その高い能力を持つがゆえに、学校の授業が退屈である、友人関係がうまく作れないなどの特有の悩みを抱えてしまう場合があります。
この記事では、ギフテッドの子どもが持つ特徴や特有の困難さ、親にできる支援について解説しています。ぜひ参考にしてください。

ギフテッドとは?

ギフテッドとは、生まれつき高い知的能力や、特定の分野で突出した才能を持つ人を指す言葉です。ギフテッド(gifted)の由来は、英語で「神様からの贈り物」という意味の言葉です。先天的に与えられたものであり、教育や本人の努力によって後天的に得られるものではありません。
ギフテッドの子どもは、高い知能や才能を持っていますが、その特異な才能があるがゆえに、学習や生活上で困難を抱えてしまう場合があります。

ギフテッドの特徴

ギフテッドの子どもの特徴は多岐にわたりますが、中でもよく見られる特徴について解説します。ギフテッドの子どもによく見られる特徴は以下の4つです。

  • 知的能力が高い
  • 強い好奇心と高い集中力を持っている
  • 繊細で高い感受性を持っている
  • 自立心が高く完璧主義である

1つずつ見ていきましょう。

知的能力が高い

ギフテッドの子どもは、高い知能指数(IQ)を持っています。IQが130以上、少なくともIQ120を下回らない場合は、ギフテッドの可能性が高いです。
言葉の習得も早く、時には大人と同等の会話が成り立ちます。また、情報を素早く処理し新しい概念もすぐに理解したり、既成概念にこだわらず新しいアイデアを生み出すなど卓越した理解力や思考力を持っています。

強い好奇心と集中力を持っている

幼いころから強い知的好奇心を持っており、興味のある分野を深く掘り下げ探究していく能力が高いです。
また、集中力も高く、興味のある分野については長時間にわたって没頭することがあります。

繊細で高い感受性を持っている

繊細で高い感受性を持ち、感情が豊かな傾向があります。他人の感情の動きに敏感であるだけでなく、自分の感情を激しく感じてしまったりする場合もあります。
その他にも、光の眩しさに目の痛みを訴えるなど音や光に人一倍敏感な子どもも多いです。

自立心があり完璧主義である

高い理想を掲げ、自主的に学びを深めていけます。しかし、完璧主義な傾向も見られ、失敗や間違いが見つかると自分に対して厳しい評価を向けることがあります。

ギフテッドが抱える特有の困難

ギフテッドの子どもは、高い知能や才能をもっていますが、周囲とさまざまな面でレベルが合わずに友人関係がうまく作れないなどの困難を抱えてしまう場合があります。
ギフテッドの子どもが抱えやすい困難は以下の4つです。

  • 学習内容に不満を抱えやすい
  • 認知的な偏りから学習につまずきが見られる
  • 友人関係をうまく作れない
  • 高い感受性から刺激を受けやすい

ひとつずつ解説していきます。

学習内容に不満を抱えやすい

ギフテッドの子どもは、高い知的能力をもっているため、学校の学習内容が簡単すぎて面白くないと感じてしまいがちです。
学校の学習内容が自分の興味関心や学習ペースと合わないため、授業の間に自分の好きな本を読んだり、離席して歩き回ったりするケースも見られます。
学習内容に不満を持ち、不登校になってしまうケースも少なくありません。

認知的な偏りから学習につまずきが見られる

ギフテッドの子どもは、言語理解や目で見た情報を処理する能力は高い傾向にありますが、ワーキングメモリ(情報を一時的に保存する能力)や処理速度が相対的に低いといった認知機能の偏りが見られる場合があります。
そのため、先生が言っていることは簡単に理解できるのに、ノートにうまく書き写せないなどの事態に直面する場合があります。本人は、頭ではわかっているのに身体が思うように動かず、いら立ちやストレスを感じてしまうでしょう。

友人関係をうまく作れない

ギフテッドの子どもは高い知的能力があるがゆえに、同年齢の子どもとレベルが合わずに友人関係がうまく作れない場合があります。
同年齢の子どもの話が幼稚だと感じたり、興味関心があるものが異なったりするため話が合わないと感じてしまいます。また、勉強や運動が突出してできるがゆえに近づきがたい雰囲気になってしまい、周囲から孤立してしまうこともあるでしょう。

高い感受性から刺激を受けやすい

ギフテッドの子どもには、5つの領域で過度激動と呼ばれる特徴が見られます。

知的過度激動 強い知的好奇心や探究心を持っている
情動的過度激動 感情の起伏が激しい・自分や他人の感情に敏感である
感覚的過度激動 音や光、手触りなど特定の感覚に過敏である
創造的過度激動 想像力が豊かで、空想に耽ってぼーっとしてしまうこともある
精神的過度激動 思ったことは即行動に移すなど積極的に行動する

このような特徴が見られるため、日常生活を送るだけでも過度な刺激を受けてしまい、疲れやすい傾向があります。

ギフテッドと発達障害との違い

ギフテッドと発達障害は全く異なる概念です。しかし、ギフテッドの特徴が発達障害の特性と共通する部分があるため、発達障害と誤診されてしまうケースもあります。また、実際にギフテッドと発達障害を併せ持つ場合もあります。
それぞれ解説していきますので参考にしてください。

発達障害の特性を持っているため誤診されてしまうケース

ギフテッドの子どもがもつ特徴は、発達障害の特性と非常に似ている部分があると言われています。
例えば、以下のような特徴が判別がつきにくい部分です。

  • ギフテッドの高い集中力で没頭できる特徴が、注意欠陥多動性症(ADHD)の過集中と区別がつきにくい
  • ギフテッドの特定の感覚に過敏である特徴が、自閉症スペクトラム症(ASD)の感覚過敏とよく似ている

このように、発達障害と類似した特性を持っているため、見分けるのが非常に難しく、発達障害と誤診されてしまうケースも少なくないようです。

ギフテッドと発達障害を併せ持つケース

ギフテッドの子どもの中には、発達障害を併せ持っている場合もあります。
ギフテッドと発達障害を併せ持つ場合は、2E(Twice Exceptional:二重に特別な支援を必要とする)と呼ばれています。特定の分野では高い能力を発揮するものの、苦手な分野は非常に苦手であるなど、能力の差が大きいのが特徴です。
発達障害により苦手な部分が目につきやすいため、ギフテッドとは気づかれずに発達障害だと思われている場合が多いでしょう。

ギフテッドの子どもには適切な支援が必要

ギフテッドの子どもは、高い知的能力や才能をもっているため、周囲から過度な期待をかけられたり、抱えている悩みを理解してもらえなかったりすることも多いでしょう。
しかし、得意なことは問題なくこなせても苦手なものはとことん苦手であるなど、それぞれ子どもによって特性が異なります。子どもの特性に合わせて本人に合った環境を用意してあげることが必要です。
例えば、ギフテッドの子どもは高い好奇心を持っています。興味のあることを制限されるとストレスを感じやすいです。例えば、土日や夏休みなどには好きなことに没頭する時間を作るなど、可能な限り子どもがやりたいことは自由にやらせてあげるのがよいでしょう。
また、過度激動と呼ばれる特性により、音や光などに敏感な感覚を持っている場合もあります。なるべく苦手な刺激を排除できるようにメガネやイヤーマフを使用するなど環境を調整するようにしましょう。
ギフテッドの子どもは、一般的な子どもと異なる特性が多く、育てにくいと感じる場合もあるかもしれません。しかし、本人に合った環境を整えるなどの適切なサポートを行うと、持っている能力や才能を開花させてくれるでしょう。

【参考】
知的ギフテッド児の発達特徴と学校適応に関する研究
知的ギフテッドの子どもの持つ特別な教育的ニーズの理解
ギフテッドと発達障害

執筆者プロフィール

TOPへ