男性と女性の発達障害の違いとは?

男性と女性の発達障害の違いとは?

発達障害を持つ人の行動には特徴がありますが、男性と女性でそれぞれ違いがあることを知っていますか?この違いが分かっていないと、発達障害を持つ人がいても「一般的に言われている症状とは違うから・・・」と見逃してしまうかもしれません。

発達障害に対して適切なサポートをしなければ、失敗体験を繰り返して自己肯定感が低くなることにより、二次障害が発症してしまうこともあります。そのため、発達障害を見逃さないことはとても大切なのです。

この記事では、男性と女性の発達障害の違いについて、解説します。

発達障害の男女の人口比率は?

  
男性と女性の発達障害は、人口比率においても違いがあります。2012年の文部科学省の調査によると、発達障害を持つ方は約6.5%。一方、男女の人口比率はASD(アスペルガー障害)では男性:女性が4:1、ADHD(注意欠陥多動性障害)では2.5:1でした。

発達障害の男性の比率は、女性の倍以上であることが分かりますね。男女の人口比率に関するデータは色々なものがありますが、どのデータでも男性の割合が多いです。実際に発達障害の方が利用する施設では、男性の方が多いことも珍しくありません。

ただ、後からも詳しく説明しますが、女性の発達障害は男性に比べて判明しにくいという特徴があるため、実際はもう少し女性の割合が多い可能性もあります。また、発達障害は大人になっても続く人が多いため、子どもでも大人でもこの人口比率はあまり変わらないと考えられています。

子どもの男女の発達障害の違いとは?

同じ発達障害でも、男性と女性では特徴に違いが見られます。まずは子どもの男女の発達障害についてまとめました。

男の子の発達障害の特徴

ADHDの主な特徴といえば不注意、多動性、衝動性です。男の子は授業中にじっとしていられなかったり、頻繁にケンカをしたりといった行動がよく見られます。男の子は体が大きく力も強いために行動が目立ちやすく、ケンカになると大きな騒動になりやすいです。一方、ASDはコミュニケーションが上手くとれなかったり、こだわりが強いという特徴があります。

そのため、グループ活動ができなかったり、自己流で物事を進めたがるといった行動が見られます。このように、男の子の場合ははっきりと発達障害の症状が現れます。そのため周りが発達障害に気付きやすいのです。

女の子の発達障害の特徴

ADHDの女の子は不注意特性が現れやすく、多動性や衝動性が男の子ほど目立ちません。男の子に比べると筋力がないので暴力を振るっても、大きなトラブルになりにくいのです。また、ASDも症状が軽度で周りと上手く馴染めなくても、単に「大人しい子」と扱われることが多いです。

このように、女の子の発達障害は気づかれにくいという特徴があります。発達障害に気づかれないと適切なサポートが受けられない状態が続き、自己肯定感が下がることで、主症状とは違う症状が現れるいわゆる二次障害が生じることもあります。

大人の男女の発達障害の違いとは?

大人になると発達障害の特徴が、子どものときとは少し変わってきます。続いて、大人の男女の発達障害の違いをご紹介します。

男性の発達障害の特徴

大人になると男性は、仕事をする中で困難に直面し始めます。発達障害の人は、得意なことと不得意なことが顕著に分かれていることが多いです。そのため、配属先の仕事が合わないと上手く作業ができず、その結果自信を失ってしまう人もいます。

また、恋愛でつまずく人もいます。例えば、卑屈になって女性と上手く接することができなかったり、相手の気持ちを考えずに一方的に距離を近づけようとしたりといった行動が見られます。さらに、身だしなみに気を使わないため、最低限必要な清潔感がないという人もいます。

女性の発達障害の特徴

女性の場合は1人での生活が始まると、周りのことを管理する難しさに直面します。例えば、片付けが出来ない、お金の管理が苦手、家事の段取りが難しいといった問題に苦労するケースが多くなります。

また、女性は人付き合いが上手くいかないことに悩む人が多いと言われています。恋人や職場の同僚、ママ友と社会には多くの付き合いがありますが、上手く関係が築けずに悩んでしまうようです。このように、女性はライフステージを重ねるごとに、新しい問題に直面するようになるのが特徴です。

男女別の発達障害の対処法とは?

発達障害に何も対処しなければ、生活が大変な状況が続いてしまいます。そこで少しでも生きやすくなるように適切に対処することが大切です。最後に、男女別の発達障害の対処法をお伝えします。

男性の発達障害の対処法

まずは、学校の先生や職場の同僚など周りの人に障害について理解してもらい、協力を求めることが大切です。何が得意か、何が苦手なのかといった特性を理解してもらえれば、得意な部署に配属されたりと快適に過ごせる環境を用意してもらえます。

また、身だしなみを清潔にするためには、お風呂に入る、服を洗うなど最低限すべきことをリストアップし、それを見ながら毎日手入れをすると清潔感が保てます。男性は仕事で成功するべきだ、女性をリードするべきだという固定観念が強いですが、そうした考えは持たないようにして柔軟に生きることがポイントです。

女性の発達障害の対処法

女性は発達障害に気づかれにくいという特徴があるので、少しでもサインが現れたら周りが気にかけることが大切です。また、女性は学校の友達やママ友など女性同士の輪の中に入る機会が多く、それだけに人間関係に悩むことが増えますが、全ての人と上手く付き合おうとせず、苦手な人とは距離をとるなど完璧を目指さず、自分に合った人間関係を築くことが大切となります。

【出典】通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について – 2012年 文部科学省

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