障害を持つ方が就労したいけど一人で就職活動をするには不安がある時、就労移行支援という福祉サービスを利用することができます。
就労移行支援施設とは、自分に合った職場に就職するためにサポートをしてくれる場所で、施設に通うことで就労できたという人はたくさんいます。
就労支援サービスを最大限活用するためには、事前にどのような流れで支援が行われるのかを知っておくことが大切です。
この記事では、就労移行支援施設の利用料金と就職までの流れをご紹介します。
就労移行支援施設の利用料金について
就労移行支援施設はある程度の期間利用するものですから、利用料金を知っておくことは大切です。
まずは、就労移行支援施設の利用料金をご紹介しましょう。原則的として施設の利用料金は1割で、残りの9割は国や自治体が負担するという仕組みになっています。
ただし、就労移行支援施設の利用料金は、前年度の世帯所得によって変わります。世帯所得とは、支援を受ける本人と配偶者の所得の合計のことを指し、同居していても親の分は含みません。
詳しい負担上限月額は、次のようになっています。
・市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)・・・9300円
・上記以外・・・37200円
ただし、市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)については、20歳以上の入所施設利用者やグループホームの利用者は除きます。
就職へのSTEP①働く準備をする
就労移行支援施設に通い始め、就職するまでには大きく分けて「働くための準備をする」「企業研究をする」「就職活動をする」という3つのステップがあります。まずはこのうちの「働くための準備をする」について、詳しい内容をご紹介します。
生活と体調を安定させる
企業に就職すると始業時間までに出社し、終業時間まで仕事をするという生活を長期間続けなければなりません。
こうした生活に対応できるよう、まずは睡眠や食事といった生活面と体調面を安定させることを目指します。
地域の支援機関や病院と連携し、さらに常勤の看護師による健康チェックやカウンセリングを受けたりしながら、改善に向けて取り組みます。
生活面と体調面は企業が重視するポイントですから、安定すれば就職活動の際に大きなアピールポイントになります。
働くためのスキルをつける
企業で働くためにはスキルも必要です。就労移行支援施設では、就職に役立つ知識や技術を身につけるための研修をしており、WordやExcelといったパソコンの使い方やビジネスマナー、一緒に働く人とのコミュニケーションなどを学ぶことができます。
さらに、ある程度スキルが身につけば、企業に行って実習を行うこともあります。
就職へのSTEP②企業研究をする
就職後にやりがいを持ちながら働くためには企業について知り、自分に合った職場を見つけることが欠かせません。続いて2つ目のステップとなる企業研究についてまとめました。
職種や業界を研究する
世の中には様々な職業があるため、まずはどのような職種や業界があるのかを知ることが大切です。
ただ種類を把握するだけではなく、具体的にどんな業務をするのか、どんな人に向いているのか、メリットデメリットは何かといった具体的なところまで理解しましょう。
企業研究をする
職種や業界について詳しくなったら、いよいよ具体的に企業について調べる段階です。
同じ職種や業種でも、企業によって細かい仕事内容や社風が異なるため、出来るだけ多くの会社を調べることがポイントです。
障害者の採用実績は障害者に理解があり、さらに働きやすい会社であるかどうかの判断材料になりますから、ぜひ確認しましょう。
就職へのSTEP③就職活動をする
働くための準備ができ、さらに企業についても詳しくなったら、いよいよ就職に向けて動くときです。
就労移行支援施設では、もちろん就職活動も全面的にサポートしてもらえます。最後に、就職活動の具体的な流れをお伝えします。
職場に求める条件を考える
選考を受ける企業を選ぶために、まずは職場に求める条件を挙げていきましょう。それには、給料や勤務時間、休日など様々な条件があると思います。
自分が求める条件を事前にはっきりとさせておくことで、就職してから「思っていた仕事と違う」と感じてしまうミスマッチを防ぐことができます。
ただし、完璧に条件に合う企業を見つけることは難しいため、これらの条件が全て叶う訳ではないことは理解しておきましょう。
応募書類の作成
就職活動ではほとんどの場合、応募書類の提出を求められます。履歴書や職務経歴書はもちろん、自己アピールを書くことが求められるなど、企業によって書類に書く内容は様々です。
就労移行支援施設では、応募書類の作成を手伝ってもらえるため、各企業の特徴や求めている人材像を考慮しながら、自分の魅力が伝わる応募書類を作成します。
面接の練習
就職活動では、書類選考だけではなく面接も行われます。就労移行支援施設では、スタッフと面接練習をすることができます。
「相手から質問されたことに、その場で答えられるか不安」「当日緊張したらどうしよう」と心配になる方もいるでしょう。
しかし、何度も面接練習をすれば、段々と上手く答えられるようになっていくのはもちろんのこと、自信がついて堂々と本番に臨めるようになります。
面接では、受け答えだけでなく身なりも見られるので、練習の段階で姿勢や身だしなみにも気をつけておくことが重要です。
【出典】障害者の利用者負担 厚生労働省
執筆者プロフィール
精神保健福祉士、社会福祉士、認定心理士、心理カウンセラー
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者やその家族に対するカウンセリング・相談や支援を経て、現在はメンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。