発達障害や精神障害があって働きづらさを感じている人には、就労移行支援の利用がおすすめです。就労移行支援は障害者の就職をサポートします。障害があることによる苦手や不安を解決して、長く働き続けることを目指してみませんか?
就労移行支援を利用して就職するためには、どの施設を選ぶかが重要です。この記事では、失敗しない就労移行支援施設の選び方、探し方のポイントを解説します。就労移行支援で確実に就職したい人は、施設探しの参考にしてみてください。
就労移行支援は障害者の就労をサポートする
就労移行支援は、障害者の就職をサポートする通所型サービスです。就労移行支援事業所に通い、長く働き続けるために必要なスキルや知識の習得を目指しましょう。就労移行支援では、就職活動はもちろん、就職後もトータル的にサポートを受けられます。
【対象となる障害】
・身体障害
・知的障害
・発達障害
・精神障害
・難病
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す65歳未満の人が2年間利用できます。場合によっては、利用期間を1年間延長できるケースもあります。
就労移行支援の利用料は1カ月0円~37,200円です。金額は前年所得によって決まります。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(※3) |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(※1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(※2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。
(※3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
【引用】障害者の利用者負担|厚生労働省
就労移行支援においての世帯は、障害のある本人とその配偶者です。親の所得を含まないこともあり、多くの人は無料で就労移行支援を利用できています。
就労移行支援の「利用対象者」「利用期間」「利用料金」は、基本的にどの事業所も共通です。
この事業所だから利用料金が安い、利用期間が長いといったことはありません。ただし、事業所によっては、特定の障害のみを対象としているケースがあります。
就労移行支援事業所の探し方
続いて、事業所の探し方を紹介します。探し方は、大きく分けるとWeb検索と自治体に相談の2種類です。
Webで検索する
住んでいる地域にどれくらい事業所があるかを調べたいなら、障害福祉サービス事業所を検索できるサイトをおすすめします。
「障害福祉サービス等情報検索」なら、地域や住所で通える範囲を絞り込むと、地図上に障害福祉サービス事業所が表示されます。サービスで「就労移行支援」を選択すると、就労移行支援事業所だけを表示可能です。
そのほか、事業所が作成したサイトもありますので、「就労移行支援 地域名」でも検索してみましょう。
【参考】障害福祉サービス等情報検索|独立行政法人 福祉医療機構
自治体に相談する
自治体の担当窓口に相談するのも一つの方法です。自治体の公式サイトに地域の事業所一覧が掲載されることもありますので、サイトもチェックしてみましょう。
また、就労移行支援を利用するには障害福祉サービス受給者証が必要です。受給者証は申請から発行まで1カ月ほどかかります。就労移行支援の利用を決めたのなら、受給者証の申請について合わせて相談してみるのもおすすめです。
そのほか、ハローワークや生活支援センターで就労移行支援事業所の紹介を受けられることもあります。障害があることと就職についての悩みは、広い範囲で相談しておきましょう。
就労移行支援事業所を選ぶ3つのポイント
就労移行支援事業所を選ぶ際に、押さえておきたい3つのポイントがあります。気になる事業所が見つかったら、まずはこの3点をチェックしましょう。
自宅からの通いやすさ
就労移行支援は通所型サービスですので、自宅から通いやすいかは大切なポイントです。しかし、単純に自宅からの距離が近ければいいわけではありません。
公共交通機関を利用して通う場合は、乗り換え回数や所要時間も重要です。何度も乗り換えることを負担に感じる人がいれば、本数の少ない電車に合わせるのが苦手な人もいます。自分の状況に合わせて、負担のない経路を選びましょう。
また、事業所や自治体によっては交通費の補助がありますが、交通費は基本的には自己負担です。遠くの事業所だと交通費の負担が大きくなることも考えておきましょう。
事業所の特徴が自分に合うかどうか
事業所の特徴が自分に合うかどうかも事業所選びの重要なポイントです。
先ほどもお伝えしましたが、事業所によっては対象障害を限定しているケースがあります。同じ障害を持つ仲間に出会いたい人や障害特有の悩みを解決したい人には、障害特化型の事業所がおすすめです。
また、IT特化型といった訓練内容に特徴がある事業所もあります。プログラミングやWeb制作などの専門スキルを身に付けたい場合は、IT特化型の事業所を探してみましょう。
そのほか、事業所の就労実績もチェックしておきたいポイントです。就職後に継続して働いている人の割合を示す定着率や、どういったところに就職したかの実績も重要です。就職に結び付く事業所かどうかを判断するには、就労実績が参考になります。
必要なことが身に付く訓練プログラムがあるか
やりたいことや就きたい職業が明確なら、それにつながるプログラムを探してみましょう。ビジネスマナーやパソコンスキルなどの基礎的なことをきちんと学びたいなら、IT特化型の事業所だと専門的すぎるかもしれません。
資格取得を目指すプログラムやメンタルケア主体のプログラムなど、事業所によって提供する訓練プログラムはさまざまです。生活リズムを整えたり障害特性の理解を深めたりすることを重視する事業所もあります。
働く上で役立つビジネススキルや社会生活を送る上で重要なコミュニケーションスキルなど、どういったことが今の自分に必要なのかを考えてみましょう。
就職というゴールを目指せる事業所なら失敗しない
就労移行支援の目的は企業に就職することです。事業所は長く働き続けるための訓練を行う場所であって、事業所に通うことや訓練することが目的ではありません。就労移行支援で失敗しないためには、そのことを忘れないようにしましょう。
資格取得できるプログラムの場合、その資格が就職に結び付くのかを考える必要があります。事業所の特徴や提供プログラムが、就職というゴールに向かっているかを重視して事業所を選びましょう。
今の自分と事業所での訓練、そして企業への就職が一直線になっていれば、失敗せずに就職できる可能性が高まります。就労移行支援で失敗しないためには、ゴールは就職だと意識することが何より大切です。
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