全国の就労支援事業所のユニークな取り組み〜茨城県〜

全国の就労支援事業所のユニークな取り組み〜茨城県〜

茨城県では、障害のある方々の自立支援と社会参加促進に向けた多様な就労支援事業所が活動を展開しています。これらの事業所では、利用者一人ひとりの特性に応じた丁寧な支援を行いながら、地域社会の課題解決にも積極的に取り組んでいることが特徴です。
今回は、茨城県内で注目される4つの就労支援事業所をご紹介いたします。フードロス削減という社会課題への取り組みから、創作活動を通じた自己表現の支援、農業分野での専門技術習得まで、それぞれが独自の理念のもとで革新的なサービスを提供しています。どの事業所も利用者が生きがいを感じながら働ける環境づくりに注力しているので、ぜひ参考にしてください。

KANAME USHIKU:コストコパンのフードロス削減で社会貢献を実践するA型事業所


就労継続支援A型事業所「KANAME USHIKU」は牛久市を拠点に、環境問題への取り組みと就労支援を効果的に組み合わせた事業所として注目を集めています。

フードロス削減で社会貢献を実践するA型事業所

KANAME USHIKUは、牛久市を拠点に、環境問題への取り組みと就労支援を効果的に組み合わせたA型事業所として注目を集めています。
「フードロス×コストコパン」をコンセプトに掲げ、KUマーケットという名称で営業を行っています。コストコで販売期限が近づいた商品を適正価格で仕入れ、地域住民に提供することで食品廃棄の削減に貢献しています。この取り組みは、環境への配慮と社会貢献が同時に実現できる意義深い活動として評価されているようです。

地域密着型の店舗運営で培う実践的スキル

午前9時から17時までの営業時間において、利用者は実際の店舗運営に携わることで、接客スキルや販売技術、在庫管理など一般就労に直結する能力を身につけています。店舗での実務経験は、単なる作業訓練とは異なり、お客様との直接的なコミュニケーションを通じて社会性の向上も期待できるでしょう。

利用者の成長を支える充実したサポート体制

同事業所では、利用者一人ひとりの特性や希望に応じた個別支援を重視した取り組みを行っています。店舗運営という実践的な環境の中で、それぞれのペースに合わせながら段階的にスキルアップを図ることができる体制が整えられています。
一般就労への移行を目指す利用者に対しては、企業見学や職場実習の機会も提供しており、スムーズな社会復帰をサポートしています。定期的な面談や相談の機会を設けることで、利用者の悩みや希望を丁寧に聞き取りながら、個別の支援計画を策定・見直しする体制も構築されているようです。

夕なぎの空:プリザーブドフラワーと古着販売で創造性を育むA型事業所


就労継続支援A型事業所「夕なぎの空」はひたちなか市を拠点に、創作活動と環境配慮を兼ね備えた独特な事業モデルで利用者の創造性を引き出す支援を展開しています。

プリザーブドフラワーと古着販売で創造性を育むA型事業所

夕なぎの空は、茨城県ひたちなか市那珂湊に位置する就労継続支援A型事業所として、利用者との雇用契約を結びながら就労に必要な知識や技術の習得を支援しています。同事業所の特色は、プリザーブドフラワーの制作・販売と古着販売という、創作性と環境配慮を両立させた事業内容にあります。
プリザーブドフラワーは、特殊な技術により生花の美しさを長期間保持できる加工花で、製作過程では細かな手作業が要求されるため、集中力や丁寧さ、創造性を養うことができます。古着販売事業では、衣類のリユースを通じて持続可能な社会づくりに貢献しており、利用者が社会的意義のある仕事に従事できる環境を提供しているといえるでしょう。

地域に開かれた事業運営とSNS活用

同事業所では、地域の方々に気軽に立ち寄っていただける店舗づくりを心がけています。プリザーブドフラワーと古着という異なるジャンルの商品を扱うことで、多様なお客様のニーズに応えながら、利用者が様々な接客経験を積むことができる環境となっています。

最終目標は一般就労への移行支援

利用者が最終的に一般企業での就労を実現できるよう、段階的な支援プログラムを提供しています。プリザーブドフラワーの制作技術や接客スキル、古着の品質判定や商品管理能力など、様々なスキルを習得することで、将来の就職活動に活かせる実力を身につけることができるでしょう。

また、個別の支援計画に基づいて、利用者一人ひとりの適性や希望を考慮した進路指導を行っています。職場見学や企業実習の機会も積極的に設けることで、一般就労への橋渡し役として重要な機能を果たしているといえます。

OHANA:レジン制作に特化したクリエイティブなB型事業所


就労継続支援B型事業所「OHANA」は取手市を拠点に、レジン制作を中心としたクリエイティブな活動で利用者の芸術的才能を引き出す独創的な支援を提供しています。

クリエイティブに特化した革新的なB型事業所

OHANAは、茨城県取手市に拠点を構える就労継続支援B型事業所として、雇用契約を結ぶことなく、利用者が障害や体調に合わせて自分のペースで働ける環境を提供しています。同事業所の最大の特徴は、レジン制作を中心としたクリエイティブな作業に特化していることです。
レジン制作は、樹脂を使って様々なアクセサリーや装飾品を作る創作活動で、デザインセンスや細かな手作業技術が要求されます。利用者は自分の創造性を活かしながら市場価値のある商品を制作することで、働く喜びと達成感を味わうことができるでしょう。

共生社会を目指した複合施設での運営

OHANAは、通所介護「リハビリデイ取手東」やサービス付き高齢者向け住宅「ななつ星らいふ」との複合施設として運営されており、高齢者と障害者の共生社会の実現を目指しています。この環境により、利用者は多世代との交流機会を持ちながら、より豊かな社会経験を積むことができます。
1階には「Ohanaカフェ」が併設されており、利用者が制作した作品の展示・販売を行うとともに、地域住民との交流の場としても機能しています。カフェでの接客経験を通じて、コミュニケーションスキルの向上も図ることができる環境が整っているようです。

個性を大切にした柔軟な支援体制

月曜日から金曜日(祝日も営業)の9時から18時まで開所しており、利用者が通いやすい時間設定となっています。定員20名の小規模な事業所として、一人ひとりに目の届く丁寧な支援を心がけています。

つなぐ:菌床しいたけ栽培で農業分野に挑戦するB型事業所


就労継続支援B型事業所「つなぐ」は、北茨城市を拠点に、農業という身近な分野での専門技術習得を通じて、利用者の新たな可能性を引き出す取り組みを展開しています。

菌床しいたけ栽培で農業分野に挑戦するB型事業所

つなぐは、茨城県北茨城市中郷町に位置する就労継続支援B型事業所として、利用者が雇用契約を結ぶことなく、それぞれの障害や体調に配慮しながら働ける環境を提供しています。同事業所の特色は、菌床しいたけの栽培という農業分野での就労支援を行っていることです。
2023年11月に開業した比較的新しい事業所でありながら、定員20名という規模で本格的な菌床しいたけの栽培事業を展開しています。しいたけの栽培、収穫、袋詰めなどの一連の作業を通じて、利用者は農業の専門技術を身につけることができるでしょう。

個性と状態に応じた柔軟な作業配分

同事業所では、利用者一人ひとりの個性や体調に応じて、柔軟に作業内容を調整する方針を採用しています。しいたけの栽培から収穫、包装まで多岐にわたる工程があるため、それぞれの得意分野や体力に合わせた作業分担が可能です。この配慮により、さまざまな障害の特性を持つ方が安心して働くことができる環境を実現しています。
また、施設見学や椎茸栽培の体験も随時受け付けており、利用を検討されている方が事前に作業内容や環境を確認できる機会を積極的に提供しています。このような開かれた姿勢により、地域との連携も深めているといえます。

地域連携を重視した事業展開

「人と人、人と地域をつなぎ共生の輪を広げたい」という理念のもと、地域の障害福祉に関わるニーズに応えるための事業展開を行っています。グループホーム「熊猫村」の運営も併せて行うことで、就労支援から住まいの支援まで、包括的な福祉サービスを提供しています。

まとめ

茨城県の就労支援事業所は、それぞれが独自の特色を活かしながら、利用者の可能性を最大限に引き出す多様な支援を展開しています。フードロス削減という社会課題に取り組むKANAME USHIKUから、創作活動に特化したOHANA、農業分野で活躍するつなぐまで、幅広い選択肢が用意されています。
これらの事業所では、単なる作業訓練にとどまらず、実際の市場価値のある商品やサービスを提供することで、利用者が働く意義と誇りを感じながら社会参加を実現できる環境を整えています。
今後も茨城県の就労支援事業所が、利用者一人ひとりの個性と能力を大切にしながら、地域社会に根ざした支援を続けていくことで、真の共生社会の実現に向けた重要な役割を果たしていくことが期待されるでしょう。

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