就労継続支援B型事業所とは?作業内容や選び方までわかりやすく解説

就労継続支援B型事業所とは?作業内容や選び方までわかりやすく解説

 B型事業所は、障害者が安心して働ける環境を提供する施設です。しかし、その詳しい内容や選び方は一般的にあまり知られていないのが現状です。この記事では、B型事業所の役割、利用方法、作業内容や選び方をわかりやすく解説します。

B型事業所とは?

B型事業所とは、企業などに就職が困難な人に対して、雇用契約を結ばずに働く環境を提供する施設です。雇用契約を結ぶA型事業所と比べると、自由な働き方が可能です。例えば、体調に不安のある人が、半日や週に1,2回だけ作業するといった働き方ができるため、徐々に準備しながら将来の目標に近づくことができます。令和2年3月のデータでは、26.9万人がB型事業所を利用しています。また、令和元年に障害福祉サービスから一般就労へ移行した21,919人の内、13.2%がB型事業所から一般就労しています。

参考URL:就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ

1.利用対象者

障害者総合支援法に定められているB型事業所の利用対象者は、以下の通りです。

  • 1. 就労経験があり、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難となった人
  • 2. 50歳に達している人又は障害基礎年金1級を受給されている人
  • 3. 就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている人

ただし、B型事業所の利用に関しては、臨機応変に対応されることがあるため、自治体によっても要件などが大きく異なります。必ずしも上記の条件に当てはまらなくても利用できる場合があります。利用を考えている場合は、住んでいる自治体の福祉課に相談してみましょう。

参照URL:障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス

2.利用料

B型事業所の利用料は、通所日数によって変わります。ただし、世帯収入によって月額の負担上限額が決まっているため、一定以上の負担額はかかりません。
自己負担額の限度額は以下の通りです。

所得区分 負担上限額(月額)
生活保護世帯の人 0円(利用負担なし)
市町村民税非課税世帯の人 0円(利用負担なし)
市町村民税課税世帯で所得割※16万円未満の人 9,300円
上記に当てはまらない人 37,200円

※所得割とは「(総所得‐所得控除)×税率‐税額控除」で算出します。「課税・非課税証明書」「特別徴収税の通知書」「納税通知書」などの書類で確認できます。

この他に、食事費が別途かかります。事業所によっては、まかない無料であったり、安い値段で食事提供している事業所もあるため、確認してみましょう。

また、自宅から事業所までの移動費も考慮しましょう。電車やバスなどの交通機関を使う場合は、移動費がかかる場合があります。
送迎支援をしている事業所や交通費が支給される事業所もあるため、必要な場合には事業所を選ぶ際に相談してみましょう。

参照URL:障害者の利用者負担

B型事業所で実際に働くとどうなる?

B型事業所で働いた場合は、工賃として報酬をもらうことができます。作業内容は事業所によってさまざまです。ここでは、工賃と具体的な作業内容の例を紹介します。

1.工賃

「厚生労働省:令和3年度工賃(賃金)の実績について」によれば、B型事業所の令和3年度の平均工賃は、月額16,507円です。時給換算で233円となっています。ただし、これはあくまでも平均値であり、事業所によって実態は大きく異なります。

例えば、出張清掃作業を請け負っている事業所Aは、1日の作業時間が4時間で1カ月の平均工賃は35,000円ほど、最高工賃は月に94,000円です。一方、店舗併設の事業所Bはカフェを経営しており、仕事内容はコーヒー豆の選別や計量、抽出などです。店舗の売上によって工賃が異なるため、月によってもらえる金額が変わります。少ないときには月の工賃が10,000円に満たない場合もあります。

さまざまな働き方ができるB型事業所だからこそ、工賃も事業所によって大きく変わると言えるでしょう。

参照URL:厚生労働省:令和3年度工賃(賃金)の実績について

2.具体的な作業内容

B型事業所の作業内容はさまざまですが、具体的な作業内容の一例は以下の通りです。

  • 清掃作業
  • パンやお菓子の製造
  • 除草作業
  • 雑貨商品の組み立て作業
  • 新聞の折り込み、ポスティング作業
  • 喫茶サービス
  • パソコン作業
  • 中古自動車の再生販売

B型事業所での目的は、工賃をもらうことだけでなく、サポートを受けながら、仕事で必要な能力やスキルを身につける就労訓練の側面もあります。

B型事業所の利用方法は?

B型事業所を利用するための一般的な流れは以下の通りです。

  • 受給者証をもらう
  • 市町村の福祉窓口で事業所を使いたい旨を相談する
  • 事業所と契約し、通所する

詳しく内容を解説します。

1.受給者証をもらう

B型事業所だけでなく、自立訓練や就労定着支援など障害福祉サービスを利用する際にも必ず必要となるのが「受給者証」です。

「受給者証」とは「障害福祉サービス利用受給者証」のことで、障害者手帳とは別物です。
障害者手帳を持っている場合でも福祉サービスを利用する場合は、受給者証が必要ですので注意しましょう。

受給者証をもらうには、まず主治医に相談する必要があります。障害や疾患の状態などを診てもらい、診断書を書いてもらいましょう。

書いてもらった診断書と必要書類を、自治体の役所に提出し、認定を受ければ受給者証をもらうことができます。

2.市町村の福祉窓口で事業所を使いたい旨を相談する

受給者証をもらったら、市町村の福祉窓口で事業所を使いたい旨を相談しましょう。直接、事業所を紹介してもらえる場合もあれば、相談支援事業所を紹介してもらえる場合もあります。

また、「サービス等利用計画書」の作成が必要な場合があります。「サービス等利用計画書」とは、障害福祉サービスを利用するための援助方針などの計画書です。相談支援事業者に作成してもらう方法と、家族や支援者が作成する「セルフプラン」と呼ばれる方法があり、各市町村によって異なるためしっかり確認しておきましょう。

3.事業所と契約し、通所する

事業所を紹介してもらい、見学や体験などをして、通う事業所を決めたら契約手続きに進みましょう。通所し始めて悩みや困ったことがあれば、相談支援事業者などに相談し、自分が働きやすい環境を目指すことが大切です。

B型事業所の選ぶポイントは?

B型事業所を選ぶときには、できるだけ自分に合った事業所を選ぶことが大切です。
見学や体験をさせてもらえる事業所も多いため、選ぶポイントをしっかり確認しておきましょう。
ここでは、B型事業所を選ぶときのポイントを3つ紹介します。

1.自分に合った作業ができるか

自分がしたくないと思う作業は、継続的な通所が難しい場合があります。自分に合った作業内容であるか確認しましょう。また、障害の状態、自分の体調も考慮した作業内容を選ぶことも大切です。見学だけでなく、実際に作業を体験させてもらうことがおすすめです。見学する際に体験もできるか確認してみましょう。多くの事業所が体験を許可しています。

自分の気持ちと体調などを考えながら、作業内容が合っているのか考えて事業所を選びましょう。

2.過ごしやすい雰囲気か

事業所の過ごしやすさも事業所を選ぶ大切なポイントです。どんなによい作業内容でも、他の利用者との関係が悪かったり、サポートする職員が少なかったりすれば通所しにくくなる可能性があります。

事業所の中には、季節に合わせて花見やレクレーション、慰安旅行などを計画している事業所があります。よい職場環境のためには、そのような点も見ておくとよいでしょう。

3.移動手段や昼食の方法などに問題はないか

移動手段や昼食の方法も、事業所によって大きく異なります。送迎可能な事業所もあれば、通所できない利用できない事業所もあります。職場までの移動は、利用する際の大きな負担になる場合もあるため、確認しておきましょう。また、お弁当持参が必要な事業所であれば、準備が必要です。食事提供が可能な所もあるため、昼食方法を確認しておくことも大切です。

ここまで、B型事業所の役割、利用方法、作業内容や選び方を解説しました。この記事を参考に、あなたに合った職場環境を見つけてくださいね。

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