沖縄県では、障害のある方が自分らしく働ける環境を提供する就労支援事業所が、それぞれ独自の特色を活かした活動を展開しています。SNSやITといった最新技術を活用する事業所、世界193カ国と連携して障害者アートを発信する国際的なプロジェクト、コーヒーやハンドメイド作品を通じて創造性を育む場所、トレーディングカードやNFTといった時代の最先端を取り入れた事業所など、一人ひとりの特性や興味に合わせた多様な支援が行われているのが特徴です。
本記事では、沖縄県で活動する4つの就労支援事業所の取り組みをわかりやすく解説します。
ONE STEP:SNS × ITに特化したA型事業所

那覇市首里に位置する就労継続支援A型事業所として、雇用契約を結んで働くことができる職場環境を提供しています。ONE STEPが目指すのは、特性が「制限」ではなく「可能性」として受け入れられる社会です。一人ひとりが自分らしく輝き、得意分野を活かして働ける未来を目指して挑戦を続けているのが特徴といえます。
IT&SNS運用を中心とした多様な業務
ONE STEPの大きな特徴は、IT&SNS運用、動画編集、データ入力、記事作成、小物制作など、いろいろな業務に挑戦できる環境が整っている点です。特にインスタグラムを中心とした自社や企業様のSNS運用サポートは主力業務の一つとなっており、日常的なSNS利用経験を仕事に活かせる点が魅力となっています。
動画制作・編集では、SNS用のショートムービーやYoutubeコンテンツ等を制作し、ゲーム実況ではゲームをプレイしながらゲームの楽しさを伝える活動も行っているようです。経験豊富なスタッフが丁寧にサポートするため、未経験の方も安心して始められます。
ITスキルを得意とするスタッフが多数在籍しており、PC操作が苦手な方でも基本的なスキルから実践的な技術まで丁寧に指導を受けることができるのが特徴です。最新のIT技術やAIを活用した業務も取り入れており、時代のニーズに合わせた活動に取り組める環境が整っています。
通所と在宅を組み合わせた柔軟な働き方
ONE STEPのもう一つの大きな特徴が、「通所」と「在宅」を自由に組み合わせることができる柔軟な働き方です。仕事の種類や体調に合わせて、ライフスタイルに合った無理のない働き方を選択できるため、一人ひとりの状況に応じた支援が可能となっています。モノレール儀保駅から徒歩3~5分という好立地にあり、広々とした開放的な空間で作業に取り組めます。
リユース事業と小物制作で広がる活動
ONE STEPでは、デジタル系の業務だけでなく、リユース事業やEC販売、フリマサイトを使ったネット販売も行っています。メルカリやジモティーを活用したリユース事業では、商品の写真撮影、説明文の作成、お客様とのやり取りなど、実践的なビジネススキルを学ぶことができるのが強みです。
小物制作では、コルク粘土を使用し、沖縄をモチーフにした小物を制作しています。デジタル作業が中心の中で、手を動かす作業も取り入れることで、多くのニーズに応えている点が注目されます。記事制作では、ご依頼があったテーマに沿って記事を作成する業務もあり、文章を書くことが得意な方にとって活躍の場となっているようです。
一般社団法人みらい:世界193カ国と連携したアートプロジェクトを展開する事業所

中城村に位置する就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所を運営する福祉事業所として、国際的なアートプロジェクトを中心とした独自の活動を展開しています。
世界193カ国が参加する巨大アートプロジェクト
みらいの最も特徴的な取り組みが、「みらい世界アート展 ちむぐくる~思いやり~」という、世界193の国と地域から障害のあるアーティストたちが参加する国際的アートプロジェクトです。このプロジェクトは、一枚の巨大な絵を193等分し、それぞれの国の障害のある方々に一片ずつ描いてもらうという構想のもと、完成すると28メートル四方の巨大アート作品が現れるという壮大な試みとなっています。
国境を越え、言語を超え、障害を越えて、アートの力で”ひとつの世界”を描き出すというコンセプトが、多くの共感を呼んでいるようです。2026年6月6日には沖縄コンベンションセンター展示棟で「みらい世界アート展 ちむぐくる」の開催が予定されており、世界193カ国(国連加盟国数が目標)と日本の障害者の方々が描いた作品が一堂に会する歴史的なイベントとなる見込みです。
「ちむぐくる」とは沖縄の言葉で「思いやる心」を意味し、沖縄の「ゆいまーる精神(助け合いの心)」を大切にする姿勢が表れています。
平和への祈りと障害者の自立を目指して
みらいが掲げる理念は、「健常者も障害者も壁もなく、弱者に寄り添い平和な社会を目指し世界へ発信する」というものです。障害のある人もない人も、互いに支え合いながら共に生きる社会を目指しており、苦難の歴史を持つ沖縄だからこそ、人の痛みに寄り添い、豊かな自然と文化の中で温かい福祉活動を続けていけると確信しているといいます。
アジア・太平洋戦争で戦争の惨禍に苦しんだ沖縄県民が抱く平和への願いも、このアート展を通じて世界へ広げたいという想いが込められています。障害者の皆さんの祈りを一つにまとめて世界に発信すること、将来的に障害者の皆さんが経済的に自立できるような仕組み作りにつなげたいという目標も掲げられているのが特徴です。
NGOや実行委員会との連携による実現
アート展「ちむぐくる」はNGOや実行委員会により広く呼びかけ、世界各国の障害者施設や児童保護施設等に絵画の提供をお願いしています。193カ国すべての国から絵を集めることは難しいため、国連の団体やNGO団体の協力を得ながら進めているようです。
一つの絵画作品を世界の国数と同じ193ピースに分割し、それぞれの参加者が193の中から1ピースを完成させるという形式で、世界中の心が沖縄に集まります。日本の沖縄に集まる193の国の「ちむぐくる」(思いやる心)が沖縄県民の優しさ・平和への祈りと重なりながら、世界の皆さんに届くことを祈ってこのイベントを開催しているとのことです。
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りあむ:多彩なハンドメイド作品で創造性を育むB型事業所

八重瀬町に位置する就労継続支援B型事業所として、コーヒー、アーティフィシャルフラワー、クラフト、アロマキャンドル/サシェ、マクラメなど、多彩なハンドメイド作品を制作しています。心を込めて一つひとつ丁寧に制作しており、手仕事の温かみを大切にした活動が特徴となっています。
YELLコーヒーとオリジナルラベルの制作
りあむのコーヒー事業では、「日頃の感謝の気持ち」と「社会に対する企業姿勢」を伝える贈り物として「YELLコーヒー」を提供しています。パッケージ化されたコーヒーを計量し、袋に詰めていく作業を通じて、実践的なスキルを身につけることができます。
また、オリジナルラベルのコーヒーも制作可能で、お誕生日やご入学などの特別な機会に合わせたオーダーにも対応しているのが特徴です。アーティフィシャルフラワーの制作では、ショップの店内やインテリアにも使える、室内の壁に飾るだけでお洒落な空間へとチェンジすることのできるリースを制作しています。
クラフトバンドからマクラメまで幅広い制作活動
クラフトバンドを使った作品制作も、りあむの代表的な活動の一つです。クラフトバンドとは、紙から作られているハンドメイド用の紐のことで、インテリアやお出かけに使えるかごやバッグ、コースターや小物入れまで、異なるカラーを組み合わせたり、大きさ違いで作って揃えたりと、楽しみ方も幅広いのが特徴となっています。
アロマキャンドルやサシェの制作では、天然のアロマオイルを使用し、優しい香りと美しいデザインにこだわったハンドメイドのアイテムを提供しています。リラックスや癒しの時間にぴったりで、サシェはクローゼットやお部屋に飾るだけで、ほのかに香るアロマを楽しめるのが魅力です。
マクラメ編みの作品も、ひとつひとつ手作業で丁寧に制作されています。結び目を丁寧に編み込むことで、温かみのあるデザインに仕上げており、プラントハンガー、キーリング、コースター、タペストリーなど、インテリアや日常使いにぴったりのアイテムを取り揃えています。
地域との交流を大切にしたイベント参加
りあむは地域との交流も大切にしており、八重瀬役場本庁舎や沖縄北部の名護市なごアグリパークなど、いろいろな場所でのイベント出店にも積極的に参加しています。北部への初出店など、活動の幅を広げることで、より多くの方にりあむの活動を知っていただく機会を創出しているのが特徴です。
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みらコラボ:NFTとAI技術を取り入れた最先端のB型事業所

那覇市に位置する就労継続支援B型事業所として、未来が素敵なものであるように、その「未来」のために自分達にできることを全力でサポートしたいという想いから誕生しました。「未来」とコラボレーションしたいという願いが、「みらコラボ」という名前に込められています。
NFTデジタルアートとAI技術の活用
みらコラボは、NFTデジタルアートやAI技術を活用した最先端の取り組みを行っています。沖縄県内のIT企業と提携し、ブロックチェーンという技術を使った「NFTデジタルアート(絶対に真似されない絵)」の制作に取り組んでおり、日本国内のNFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」にて、みらコラボのメンバーさんが制作したNFTを実際に出品しています。
また、「ChatGPT」などのAIツールを活用したお仕事体験も提供しています。イラスト制作用のAIツールを準備しており、実際にAIを活用してお仕事をしていくための準備として、最新技術に触れる機会を提供しているのが特徴です。
トレーディングカード販売で学ぶ実践的スキル
みらコラボのもう一つの特徴的な取り組みが、トレーディングカードの販売業務です。今話題沸騰のポケモンカード、遊戯王カードやワンピースなど人気アニメのカードを実際にメルカリなどに出品しており、高く売るための写真撮影や文章の作成などを学ぶことができます。普段パソコンやスマホで仕事をしない方にも丁寧に対応しているため、安心して取り組める環境が整っているようです。
データ入力、ブログ記事の作成、SNSの更新(写真のアップ等)といった業務も行っており、地元企業様や他の施設様・作業所様からいろいろなお仕事を頂いています。マウス操作が中心になり、タイピングが苦手な方でも安心して行えるよう配慮されているのが特徴です。
IT資格取得のサポートと地域交流
みらコラボでは、IT系資格の習得をしたいという方向けに資格勉強もできる環境を用意しています。ITパスポートやパソコン検定などの資格習得はもちろん、PC作業を通じてパソコンスキルを身に付けるのをサポートしているのが特徴です。
沖縄県内のマルシェへも出店し、実際に自分たちで作った作品をマルシェで販売する活動も行っています。地域との交流を通じて、社会とつながる機会を創出しており、NFTやAIといった最先端技術とマルシェでの販売活動を組み合わせることで、多様な働き方を実現している点が注目されます。
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まとめ
沖縄県の就労支援事業所は、それぞれ独自の特色を活かした活動を展開しています。ONE STEPではSNSやIT技術を活用したデジタル業務とリユース事業、一般社団法人みらいでは世界193カ国と連携した障害者アートプロジェクト、りあむではコーヒーや多彩なハンドメイド作品の制作、みらコラボではNFTデジタルアートやAI技術、トレーディングカード販売という、それぞれ異なるアプローチで支援を行っています。
これらの事業所に共通しているのは、一人ひとりの個性や特性を大切にし、得意なことを活かせる環境づくりに力を入れている点です。IT、アート、手仕事、最先端技術など、いろいろな分野で活躍の場を提供することで、やりがいを感じながら日々の活動に取り組める環境が整っているといえるでしょう。
執筆者プロフィール

ウェブ・コピーライターとしてクライアントワークを中心に活動中。