「キレやすい、人付き合いを避ける」は障害?グレーゾーンや性格との違い

「キレやすい、人付き合いを避ける」は障害?グレーゾーンや性格との違い


あなたの周りに、キレやすい人や明らかに人付き合いを避けている人はいないでしょうか。人付き合いを避けるだけならまだしも、些細なことですぐ激高されてしまうと仕事や友人、パートナーとしての関係でも良いことはありません。一体何が原因でキレやすかったり人付き合いを避けたりするのでしょうか。

実はキレやすい人や人付き合いを避ける人は単なる性格ではなく、何らかの障害を抱えている可能性があります。キレやすさの原因となる障害とは何か、キレやすかったり人付き合いを避ける人への具体的な対応方法を解説します。もし身近な人にキレやすかったり人付き合いを避けたりする人がいる場合はぜひ参考にしてみてください。

キレやすいのはなぜ?怒りのメカニズムと脳の働き


もしあなたの周りにキレやすかったり人付き合いを避けたりする人がいる、もしくはあなた自身がそうである場合、まず「生活習慣・脳機能の低下」の可能性が考えられます。

特に生活習慣の悪さを放置しておくと、ホルモンバランスが崩れてキレやすくなります。キレやすい人の身体の中では以下のような変化が起こっています。

・高齢化などにより、感情を制御する脳の前頭前野が委縮している
・運動不足や疲労などにより、精神を安定させるセロトニンという神経伝達物質が不足している
・血糖値が低く脳を活性化するために、興奮ホルモンであるアドレナリンが分泌されている

キレやすい人は生活習慣等による体内のホルモンバランスの崩れが一つの要因と言われています。特に近年はIT化が進み、パソコンやスマートフォンの操作がとても多い時代。結果、運動不足や脳の疲労、そしてストレスや睡眠不足などが重なって体内のホルモンバランスが崩れるのです。

もちろんホルモンバランスだけでなく、単に生まれつきの性格や育った家庭環境などが要因の場合もあり、医師でも明確に判断できないケースも少なくありません。さらに生活習慣や性格とは別に、キレやすいのにはもう一つ考えられる要因があります。

キレやすい原因となり得る3つの障害


キレやすさは何らかの「障害」の可能性もあります。例えば、以下の3つは怒りっぽくなる症状が見られる障害です。

・間欠性爆発性障害
・ADHD
・新型うつ病

間欠性爆発性障害(かんけつせいばくはつせいしょうがい)

間欠性爆発性障害は、怒りを爆発させて罵声を浴びせたり暴力を振るったりすることが頻繁に起こる障害です。基本的に20~30分で怒りは収まります。「3か月で平均週2回、または12か月間で3回以上起きる」のが診断基準です。養育環境や心の問題、遺伝などが原因とされています。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)

ADHDは、「注意力が乏しくミスが多い」「衝動的な行動を取る」のが特徴の発達障害です。多動性が優位な人の場合、イライラしがちだったり些細なことでカッとなったりする傾向があります。脳の発達バランスが人と違うのが発達障害のため、養育環境を始めとした外部要因が原因ではありません。

新型うつ病

「新型うつ病」は以下のような症状が見られる、うつ病の一種です。よく知られている定型のうつ病とは違うため「非定型うつ病」とも言われており、原因ははっきりしていません。

・ストレスを感じて寝すぎたり食べすぎたりする(過眠過食)
・ひどいだるさを感じる疲労感(鉛様疲労感)
・他人の言動を過度に否定的な捉え方をして怒ったり落ち込んだりする(拒絶過敏性)
・出来事に対する気分のアップダウンが激しい(気分反応)

キレやすい人を落ち着かせる7つの手段


原因が生活習慣であろうが障害であろうが、キレやすかったり人付き合いを避けたりする人の原因は即座に改善できるものではありません。そのため、キレやすい人を落ち着かせる手段を知っておく必要があります。

1. 言い返したりせず聞きに徹する
2. 冷静な態度を崩さない
3. 感情的になられても受け流す
4. 話は遮らずに聞いてあげる
5. 相手の主張を否定しない
6. 基本的には距離を置く関係でいる
7. 適度に褒める

基本的には冷静な態度でいることが大事ですが、あまりにも冷静だと「見下してるのか」「バカにしてるのか」と捉えられかねません。そのため、どの手段も「適度に」が重要であり、あまりに言動がひどい場合は周りの人や上司に相談したり、時には警察などへの相談も検討する必要があります。

キレやすい性格を治すには一人で抱え込まないこと


では最後に、これまでに解説したキレやすかったり人付き合いを避けたりする原因をまとめてみましょう。

・ホルモンバランスの乱れ
・脳機能の低下
・生まれつきの性格や養育環境
・精神障害や発達障害

キレやすかったり人付き合いを避けたりする人も自身での対処が求められます。前述の通り、キレやすい傾向を放置すると事態が大事になりかねないからです。もし先にご紹介した障害がキレやすかったり人付き合いを避けたりする原因だとしたら、概ね共通した治療方法が取られます。

間欠性爆発性障害 薬物療法、精神療法
ADHD 薬物療法、環境調整、行動療法
新型うつ病 薬物療法、心理療法

どの障害でも薬物療法が共通していますが、発達障害の薬物療法はあくまで症状を緩和させる治療法です。脳発達のバランスが発達障害の原因であるため、薬物を使用しても完全に障害が消えるわけではありません。

ただ、キレやすかったり人付き合いを避けたりする原因は一般の人では分かりません。特に発達障害の場合、医師から「その傾向がある」を意味する「グレーゾーン」と診断されるケースもあります。

そのため、「キレやすい、人付き合いを避ける」といった症状がある場合は、まず精神科などを受診して原因を探ることが先決です。キレやすい性格を治すには、一人で抱え込まずに第三者を頼ること。自分と周りとの円滑なコミュニケーションを取るため、早めに原因を知って治療を進めていくことが求められます。

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