発達障害の聴覚過敏にはイヤーマフ(耳当て型の防音保護具)が有効|効果や選び方を解説

発達障害の聴覚過敏にはイヤーマフ(耳当て型の防音保護具)が有効|効果や選び方を解説

イヤーマフとは、大きな音から耳を守るために使用するヘッドホンのような形をした防音保護具です。

発達障害がある子どものなかには、聴覚過敏の特徴を持っている場合があります。イヤーマフは苦手な音を遮断できるため、上手に利用することで困りごとを軽減させることができます。

この記事では、イヤーマフの種類や効果、注意点について解説しています。イヤーマフの選び方や入手方法についても紹介していますので、イヤーマフの使用を検討している方は、参考にしてみてください。

発達障害の小学生によくみられる特徴は?適切な対処法についても解説

ADHD、ASD、SLDの違いと特徴を分かりやすく解説

イヤーマフとは

イヤーマフとは、ヘッドホンのような形をした耳全体を覆うタイプの防音保護具です。

もともとは、道路工事の現場や飛行場など爆音が響く場所で働く人の耳を守るための道具として使用されてきました。

近年では、防音効果の高さから一般の方の使用も広まってきています。特に、発達障害がある子どものなかには聴覚過敏の特徴を持つ場合もあります。自分の苦手な音を遮断するために、イヤーマフを使用しているケースも多いです。

発達障害のある子どもに多い聴覚過敏とは

聴覚過敏とは、多くの人が気にならないような音が大きく聞こえ、日常生活を送るのが難しい状態のことです。聴覚過敏は、一般の方よりも五感などの感覚が敏感である「感覚過敏」の1つとされています。

なかでも、自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性症(ADHD)などの発達障害をもつ子どもに多く見られる特徴の1つです。

聴覚過敏の子どもが抱えやすい困りごとには以下のような症状があります。

こまりごと 具体的な内容
特定の音が苦手 子どもの泣き声、電子音、掃除機の音などが苦手

レジのバーコードリーダーの音のなどの電子音が突き刺さる

ざわざわとした音環境が苦手 フードコートなどに行くと、音が全部耳に入ってきてしまう

生活音全てが耳に入ってくる感じがする

大きな音が苦手 大きな音や騒音がある環境下にいると疲れてしまう

自分と関係ない話でもある一定の大きさになると頭が疲れてくる

聞き取りが難しい 雑音の音量が下がらず、必要な音が聞き取れなくなる

人の声が複数あると、聞きたい音に集中できず聞き取れなくなる

引用:発達障害ナビポータル

聴覚過敏があると音に対して過剰に反応し、日常生活にさまざまな支障が出てしまいます。

イヤーマフは、苦手な音を遮断してくれるため、聴覚過敏を持つ子どもが安心して日常生活を送るためのアイテムとして取り入れられています。

イヤーマフの種類

イヤーマフの種類は2つあります。

  • パッシブ型
  • アクティブ型

それぞれの特徴を解説していきます。

パッシブ型

パッシブ型のイヤーマフは、イヤースポンジやクッションなどの吸音材により物理的に音を遮断するしくみになっています。大人数の足音や会話、咀嚼音といった周囲の雑音や小さな音を遮断するのに向いています。

メリット デメリット
・アクティブ型と比べて軽量

・リーズナブル

・電子部品がないため電池が不要

・形状が硬いものが多く、着脱しにくい

アクティブ型

アクティブ型は、ノイズキャンセリング機能や電子制御機能がついているタイプのイヤーマフです。電気的な処理によって特定の周波数をシャットアウトしたり、外部の騒音レベルに応じて制御したりします。

自動車のクラクション、風船が割れる音など突発的な大きな音や電子音・超音波のような高い音の遮断に優れています。

メリット デメリット
・予測不能な音を遮断してくれる

・必要な音(人の声など)は聞きとれる

・電子回路が内蔵されているため、パッシブ型より重い

・価格が高い傾向にある

それぞれ異なる特徴がありますので、メリット・デメリットを比較したうえで、子どもの苦手な音に合わせて選ぶとよいでしょう。

イヤーマフの効果

イヤーマフは、遮音性があり特定の音の音量を下げられます。不快な音の刺激が軽減されるため、日常生活で行ける場所や参加できる授業や行事が増え、学習や生活の幅が広がります。

また、イヤーマフが手元にあることで、「困ったときにはいつでも使える」という安心感が生まれ、音に対する不安や過敏さが和らぐこともあります。

イヤーマフを使用する際の注意点

イヤーマフを使用する際は、常時つけっぱなしにするのは避けましょう。

イヤーマフを長時間にわたって使用していると、静かな環境に慣れすぎてしまい、かえって音への過敏さを助長する可能性があるといわれています。

音が気にならない場所では外したり、1~2時間に1回はイヤーマフを外したりするなど、適宜休憩をとりながら使用するのがおすすめです。

イヤーマフの選び方

イヤーマフの選び方は以下の通りです。

  1. 遮音性で選ぶ
  2. つけ心地と重さを確かめる
  3. デザインや見た目はどうか

1.遮音性で選ぶ

まずは、自分の苦手な音の種類に合わせて性能を選びます。遮音値(NRR)は、その製品が何dB下げることができるかを表した値です。数値が高いほど防音性能が優れていることがわかります。

周囲の騒音レベルからNRR値を差し引くと、実際に聞こえる音量となります。
例えば、100dBの騒音環境で、NRR25dBのイヤーマフを使用した場合、耳に届く音量は75dB程度(100 - 25 = 75)にまで軽減されます。

一般的に、NRR26以上であれば、音に対する負担を大きく軽減できるといわれています。

2.つけ心地と重さを確かめる

イヤーマフを日常的に使用するうえで、つけ心地や重さも重要なポイントです。

イヤーマフの側圧(締め付け)が強すぎると頭痛の原因になる場合があります。10N(ニュートン)未満のものだと側圧が弱く、長時間装着しやすい傾向にあります。メガネをかけている場合は、側圧が低いものを選ばないとフレームが押し付けられて痛みが生じる場合があります。

また、イヤーマフの重さは200〜300gが一般的です。200gを超えると重さによる不快感や疲労を感じやすくなりますので、可能な限り軽量なものを選ぶのがおすすめです。

3.デザインや見た目はどうか

デザインは、黒や白などのシンプルな色や、ヘッドホンのようなデザインのものを選ぶと外出時も目立ちにくいです。

イヤーマフをつけていると、「ヘッドホンで音楽を聴きながら食事や会話をするのはお行儀が悪い」と誤解されてしまうケースもあるようです。周囲に配慮を求めたい場合には、聴覚過敏への理解を促すためのシンボルマークを活用する方法があります。

シンボルマークは、極端なデザイン変更がなく、聴覚過敏対策の器具、症状の有無を示せれば、ある程度自由に使用が認められています。画像データは下記サイトからダウンロード可能です。

参考:「聴覚過敏保護用シンボルマーク」 無償公開データ

イヤーマフの入手方法

イヤーマフは、一般的に3,000円〜5,000円程度で購入できます。イヤーマフの入手方法には、ネット通販を利用する方法と実店舗で購入する方法があります。

Amazonや楽天市場などの大手ネット通販でも販売されており購入可能です。

ネット通販を利用すると自宅で簡単に購入可能です。手にとって確認することは難しいですが、サイトには形状や性能など詳しく書かれているので、子どもに合ったイヤーマフを選べます。

イヤーマフは実店舗でも購入できます。例えば、ヨドバシカメラやヤマダ電機などの家電量販店やカインズホームやコーナンなどのホームセンターで販売しています。

実店舗だと実際に手に取って商品を選べます。ただし、場合によっては在庫がない場合もあります。事前に問い合わせしておくと、効率よく手に入れられるでしょう。

イヤーマフを利用して快適な生活に

イヤーマフは、聴覚過敏を持つ発達障害の子どもなどが、苦手な騒音を軽減し日常生活を送りやすくするための防音保護具です。
イヤーマフを選ぶ際には、遮音性能にくわえ、重さや側圧などつけ心地を確認しながら選ぶと失敗が少ないです。
子どもに合ったイヤーマフを見つけて、日常生活での困りごとの解消に役立ててください。

【参考】発達障害ナビポータル聴覚過敏・ミソフォニアの当事者が書くイヤーマフの選びかたと注意点発達障がいのある子にあわせた 暮らしやすい工夫|福岡市立発達障がい者支援センター

執筆者プロフィール

TOPへ