障害がある方が取得できる障害者手帳ですが、様々な種類があります。
「発達障害って障害者手帳を申請できるの?」と思われている方も多いはず。
今回は発達障害の方が障害者手帳を取得できるのか、またメリット・デメリットなどについてそれぞれ解説していきます。
障害者手帳の申請を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
障害者手帳は、何のために必要?
障害者手帳とは「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3つの手帳を総称したものです。
手帳の種類 | 対象者 | 対象の等級 |
---|---|---|
身体障害者手帳 | 視覚・聴覚・平行機能・音声・言語・そしゃく機能・肢体不自由・心臓・腎臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・免疫機能に障害がある方に交付 | 手帳の等級は1~6級(7級は手帳は交付されない) |
療育手帳 | 生後から18歳までに知的障害(知能指数75以下)が現れ、日常生活に支障が生じている方に交付。 | 手帳の等級は重度「A」と、重度以外の中軽度「B」の2つの区分に分けられる(自治体によって、細かく区分が設定されている場合がある) |
精神障害者保健福祉手帳 | 一定程度の精神障害の状態にあり、長期にわたり日常生活または社会への制約があり、その精神疾患の初診から6ヶ月以上経過し通院している方。 | 手帳の等級は1~3級 |
【参考】みんなのメンタルヘルス- 厚生労働省 / 障害者手帳について – 厚生労働省
障害者手帳は、一体何のために必要なのでしょうか。
まず障害者手帳は、自分の障害程度を表すものになり、周りの人が自分の障害について理解してくれる証明になります。
また障害者手帳を申請すると、障害福祉サービスを受けることができるようになります。
サービスの利用にあたっては、障害程度区分の手続きが必要ですが、訪問や通所などの在宅サービスや、施設などの入居サービスを利用できます。
障害者手帳の取得は任意です。診断書の料金や役所への申請など、費用と時間がかかりますが、取得をした方がメリットがあると言えます。
メリット・デメリットについては、後ほど解説していきます。
発達障害が取得できるのは「療育手帳」か「精神障害者保健福祉手帳」
そもそも発達障害とは、どのような障害なのでしょうか。
発達障害とは、生まれつき脳の発達が通常と異なっており、日常生活やコミュニケーションに支障が生じている状態です。
元々あまり知られておらず、平成17年に「発達障害者支援法」が制定された障害でもあります。最近は「大人の発達障害」という言葉もよく聞かれます。
発達障害と診断された場合、障害者手帳の申請ができるのでしょうか。
発達障害は歴史が浅いため、元々あった3種類の障害者手帳に組み込まれる形になりました。そのため、発達障害専用の障害者手帳はありません。
原則、知的が認められる発達障害者には療育手帳、知的に遅れがなく成人後に判明した発達障害者には精神障害者保健福祉手帳が適用されます。
申請は各自治体での手続きが必要
療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の両方とも、申請書を提出する先はお住まいの自治体になります。手帳によって申請方法が若干異なるため、事前に確認しておきましょう。
療育手帳の場合
①申請者が18歳未満の場合「児童相談所」、18歳以上の場合「知的障害者更生相談所」で判定を受ける
②お住まいの市町村の障害福祉窓口で申請
精神障害者保健福祉手帳の場合
①精神科受診(初診から6ヶ月以上経過しても、症状が現れて、現在も通院していることが条件)
②お住まいの市町村の障害福祉窓口で書類を受け取る
③かかりつけの精神科で診断書を記載してもらう
④再度②へ行き、書類・診断書を提出
※精神障害者保健福祉手帳は、2年ごとに更新が必要となります。
手帳交付まで数週間~2ヶ月以上かかる場合があります。
また申請方法や申請に必要な書類は自治体で異なる可能性があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
取得するメリットは税金の控除や医療費の助成など
障害者手帳を取得することは、様々なメリットがあります。今回はその中でも大きなメリットを3つ紹介します。
下記以外にも、自治体によって様々な制度が設けられているため、確認しておくことをおすすめします。
税金の控除
本人や扶養家族が障害者手帳を交付されていると、所得控除が受けられ、所得税や住民税が軽減できます。
また自治体によっても異なりますが、自動車税の免除や控除なども受けれる場合があります。
医療費の助成
療育手帳「A」または「重度」、精神障害者保健福祉手帳1級を取得すると、医療費の助成が受けられます。
住民税課税世帯・非課税世帯によって助成額が異なる場合があります。
また自治体によっても制度内容が異なるため、手続き前に自治体へ確認することをおすすめします。
公共料金の割引
JRやバスなど公共交通機関の割引、NHK受信料や公共施設の割引が受けられます。
手帳の種別によって、割引が異なるため、各公共機関のホームページなどを確認しておくことをおすすめします。
取得するデメリットは障害者として認定される
障害者手帳を取得することは様々なメリットがありますが、デメリットは何でしょうか。
障害者手帳=「障害者」として認定されるため、自分は障害者だと受け入れる必要があります。
中には受け入れることが難しく、抵抗感が生まれてしまう方もいます。
そのため申請にあたり、事前に本人の気持ちを確認しておくことが大切です。
それ以外に制度などでの「デメリットは無い」と言えるでしょう。
執筆者プロフィール
医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)
医療ソーシャルワーカーを経験後、社会保険労務士の事務員として勤務。女性に役立つ美容系の記事や、経験を活かした医療・障害などの福祉分野の記事を作成。現在は再び医療ソーシャルワーカーとして勤務しながら、ライター業務を行っている。