温暖な気候と豊かな自然に恵まれた愛媛県では、障害者の方々が自分らしく働ける環境を目指す就労支援事業所が多彩な活動を展開しています。各事業所が独自の特色を活かしながら、利用者の個性や能力を最大限に引き出す支援を提供していることが特徴的です。
本記事では、愛媛県内で特に注目される4つの就労支援事業所をご紹介いたします。専門技術の習得を重視するA型事業所から、創作活動を通じた自己表現を大切にするB型事業所まで、多様な働き方を支援する革新的な取り組みをわかりやすく解説していきます。
zi-lab:オートバイ関連業務に特化したA型事業所
松山市和泉北地域を拠点とするzi-labは、オートバイ関連業務に特化した専門性の高いA型事業所として、2022年夏にオープンした比較的新しい事業所です。
二輪車業務に特化した専門的な技術習得支援
zi-labの最大の特徴は、オートバイ二輪車関連業務に特化した専門的な作業環境を提供していることにあります。利用者の方々は、オートバイ部品の磨き作業や車両の清掃・メンテナンス、梱包作業といった実践的な技術を習得することが可能です。さらに、オークション出品用の撮影業務や写真整理、出品サポート業務なども担当しており、デジタル技術と専門知識を組み合わせた幅広いスキルの習得が期待できます。
合同会社zi-lab.による運営のもと、利用者の意思と人格を尊重し、常に利用者の立場に立った適切な福祉サービスの提供を基本方針として掲げています。一人ひとりの特性に合わせた働き方を検討し、アットホームな雰囲気の中で全員が楽しみながら業務に取り組めるよう配慮されており、最終的には一般就労への移行を目指した支援が行われています。
幅広い支援体制と利用環境
同事業所では身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、様々な障害を持つ方々の利用が可能となっています。利用者が経済的な自立に向けた着実な歩みを進められるよう、適切な賃金体系のもとで支援が行われています。
営業時間は平日10時から19時までとなっており、土曜日・日曜日・祝日は定休日です。サービス提供地域は松山市、東温市、伊予郡松前町、伊予郡砥部町、伊予市と広範囲に設定されており、多くの利用者が通いやすい環境が整備されています。
SNSを通じた地域との積極的な連携
zi-labでは、Instagram(@zi_lab.2022)を活用した情報発信に力を入れており、「見学・体験大歓迎」というメッセージとともに、バイク関連作業の様子や事業所の日常風景を積極的に発信しています。このようなSNSを通じた取り組みにより、就労支援事業所への理解促進と、利用者の社会参加への意識向上に貢献しています。地域の方々に事業所の活動を知ってもらうことで、障害者就労に対する理解を深める重要な役割を果たしています。
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フェローLabo:IT技術と福祉を融合した先進的なA型事業所
松山市西一万町地域に位置するフェローLaboは、IT技術と福祉を融合させた先進的なA型事業所として、現代社会のニーズに対応した革新的な就労支援を提供しています。
現代社会に対応したIT技術習得プログラム
「IT×福祉の多機能型A型施設」として位置づけられるフェローLaboでは、障害を持つ方々が現代社会で求められるITスキルを習得し、やりがいを感じながら働ける環境を整備しています。18歳から65歳未満の方を対象とし、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害など、多様な障害を持つ方々が共に活躍できる働き方を一緒に考えるアプローチを採用しています。
具体的な業務内容として、webアクセシビリティ検査業務などのwebサイト関連業務、illustratorやPhotoshopを使用したチラシ・カタログ制作、YouTube動画制作などのデザイン・動画制作業務が挙げられます。また、ガーメントプリンターを使用した自社ブランド「Poche」のTシャツやトートバッグへの印刷業務、お弁当作りやランチ提供などの飲食業務も行われており、利用者の興味や適性に応じて多様な選択肢が用意されています。
個別ニーズに応じた丁寧な支援体制
フェローLaboでは、「企業に就職したいけれど、すぐに一般企業で働くには不安がある」「働きたい気持ちはあるものの、何から始めればよいかわからない」「障害があることで職場に馴染めるか心配」といった様々な悩みを抱える利用者に対し、個別の支援プログラムを提供しています。
営業時間は平日9時から18時までで、大晦日、正月、日曜日が定休日となっています。サービス提供地域は松山市周辺(松山市、伊予市、松前町、東温市、内子町、砥部町)と広範囲に設定されており、多くの利用者が通いやすい環境が整えられています。
多機能型事業所としての包括的サービス
フェローLaboの特徴的な取り組みとして、就労継続支援A型事業に加えて放課後等デイサービスも併設している点が挙げられます。これにより、学齢期の障害児から成人まで、一貫した支援を提供する体制が構築されています。Instagram(@fellowlabo1015)を通じて利用者の活動状況や事業所の取り組みを発信し、地域との連携を深める努力も継続されています。
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フォーチュン:6次産業による農業とIT業務を融合したB型事業所
松山市桑原地域に所在するフォーチュンは、6次産業(生産・加工・販売を一体で行う産業)を中心とした農業とIT業務を組み合わせた独特な事業モデルで注目を集めるB型事業所です。
6次産業による持続可能な農業への取り組み
フォーチュンの最大の特徴は、6次産業を展開する障害者の働く場として機能していることです。農場では無肥料・無農薬の自然栽培にこだわり、米、麦、小豆、原木しいたけ、野菜、果樹などの身体に優しい農作物の栽培に取り組んでいます。この取り組みにより、利用者は健康的な食材の生産に携わることで、社会貢献への実感を得られる環境が整えられています。
「フォーチュン軍団」として親しまれる利用者の皆さんは、日々農業に従事しながら、新鮮な無肥料無農薬野菜を地域の皆様にお届けするべく活動しています。ジャガイモ収穫をはじめとした農作業を通じて、利用者が農業の専門知識と実践技術を習得できる貴重な機会が提供されています。
IT業務との効果的な組み合わせ
農業作業と並行して、データ入力や電話調査、ネット調査などのIT関連業務も行われています。自社ECサイトの商品登録や売上データの管理、発送作業などのパソコン業務を通じて、利用者は農業とIT業務の両方を経験し、現代社会に対応した幅広いスキルを習得することが可能です。この多様な業務経験により、利用者一人ひとりの適性や興味に応じた働き方を見つけることができます。
地域貢献を重視した開かれた活動
フォーチュンでは、キッチンカーでの商品販売やPR活動を通じて、消費者の声を直接聞き、ニーズや改善点を把握する取り組みも積極的に行われています。また、フォーチュン村で月1回のキッチンカーによる子供食堂の開催を計画しており、末永く地域貢献を続けていきたいという思いを持って活動しています。Instagram(@fortune_mura)を通じて、農業の取り組みや無肥料無農薬栽培の様子を発信し、地域の皆様に事業所の活動を広く知ってもらう努力も続けられています。
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さんぽみち:手芸・多肉植物を用いた創作活動を重視したB型事業所
松山市余戸東地域に所在するさんぽみちは、令和5年10月に開所した新しいB型事業所として、手芸や多肉植物を用いた創作活動を中心とした支援サービスを提供しています。
創作活動を通じた個性の発見と発達支援
さんぽみちの特徴は、多肉植物の栽培・管理や手芸作業を中心とした創作活動に重点を置いていることです。「自分の得意や好きなことを仕事にできる」というコンセプトのもと、利用者一人ひとりの個性や興味を最大限に活かした作業環境が整備されています。
多肉植物の作業では、植物の特性を理解し、適切な管理方法を学びながら、植物の成長を見守る過程で癒しの効果も得られる環境で作業を行っています。手芸作業では、様々な技法を用いた作品作りを通じて、創造性と集中力を養うとともに、作品完成時の達成感を味わうことができます。また、アメニティ関連の作業も行われており、日常生活に役立つ製品の製作にも取り組んでいます。
利用者の生活リズムを重視した柔軟な運営
さんぽみちの定員は20名で、知的障害、精神障害、発達障害を持つ方々が利用対象となっています。営業時間は平日9時から18時まで、土曜日・祝日は9時から13時までとなっており、利用者の生活リズムに配慮した柔軟な対応が行われています。
株式会社247による運営のもと、送迎サービスや昼食の提供も行われており、利用者が安心して通所できる環境を整えることで、家族の負担軽減にも貢献しています。このような細やかな配慮により、利用者が自分らしく活動できる環境が維持されています。
地域とのつながりを大切にした情報発信
さんぽみちでは、Instagram(@sanpomichi247)を活用した積極的な情報発信を行っています。多肉植物の成長過程や手芸作品の制作風景、利用者の活動の様子などを発信し、地域の皆様に事業所の取り組みを広く知ってもらう活動を展開しています。このようなSNSを通じた取り組みにより、就労支援事業所への理解促進と、利用者の社会参加意識の向上に貢献しています。
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まとめ
愛媛県の就労支援事業所は、それぞれが独自の特色を活かしながら、障害者の自立支援と社会参加促進に向けた多様な取り組みを展開しています。zi-labではオートバイ関連業務の専門性を活かした技術習得支援を提供し、フェローLaboではIT技術と福祉を融合させた現代社会に対応した先進的なアプローチを実践しています。
フォーチュンでは6次産業による農業とIT業務の組み合わせにより持続可能な働き方を実現し、さんぽみちでは創作活動を重視した温かみのある環境づくりを通じて、利用者一人ひとりの個性を大切にした支援を行っています。これらの事業所は共通して、利用者の意思と人格を尊重し、それぞれのペースに合わせた丁寧な支援を提供していることが特徴的です。
また、各事業所がSNSを活用した情報発信に積極的に取り組んでいることも注目すべき点です。Instagramなどを通じた発信により、地域社会との連携が深まり、障害者就労への理解促進と社会参加の機会拡大に大きく貢献しています。
愛媛県のこれらの就労支援事業所は、障害者の働く権利を守りながら、一人ひとりが自分らしく活躍できる社会の実現に向けて重要な役割を担っていくでしょう。
執筆者プロフィール

ウェブ・コピーライターとしてクライアントワークを中心に活動中。