就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の違い

就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の違い

現在では、障害者が快適に社会生活を送るために、様々な福祉サービスが用意されています。こうしたサービスを最大限に活用するためには、それぞれのサービスの内容を知ることが大切です。そのうえで、自分に合ったものを利用することによって、理想に近い日常生活を送ることができるでしょう。

この記事では、数ある障害者のための福祉サービスのうち、就労移行支援と自立訓練(生活訓練)を取り上げ、目的や支援内容など様々な視点からそれぞれの違いについて、ご説明します。

就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の目的の違い

就労移行支援の目的

就労移行支援の目的は、障害者が一般企業へ就職することです。障害者が就労するとき、仕事中に上手く体調管理ができるか、知識や能力は十分かといった心配を抱えることがよくあります。そんな方のために、必要な機会や訓練を提供するのが就労移行支援です。

全国に3300箇所ほどあると言われており、数が多いため、就労移行支援を必要としている方がサービスを利用しやすくなっています。

自立訓練(生活訓練)の目的

自立訓練の目的は、障害者が地域社会において自立した生活を送ることです。長い期間、病院や施設で過ごしていると、どうしても生活を送るための能力が落ちてしまうことがあります。日常生活を送るためには買い物をしたり、近隣の方とコミュニケーションを取ったりと多種多様なスキルが必要なため、そうしたスキルを身につけ、さらにそれを維持するための訓練を提供しています。

訓練を受けることで障害者の生活のしづらさを改善し、日常生活をおくるうえで支障を少なくすることが可能となります。
つまり、就労移行支援は障害者の就労のため、自立訓練は自立した生活を送るためという違いがあるのです。

就労移行支援と自立訓練(生活訓練)のサービス内容の違い

就労移行支援のサービス内容

就労移行支援では、障害者が入所してから就労した後まで就職全体をトータルにサポートをします。具体的には、就職や将来についてスタッフと話し合い、研修を受けたり企業で仕事を体験したりしながら、就職に必要な知識や能力をつけていきます。

また、仕事を探す際にはスタッフが利用者に合った職場を探し、場合によっては職場見学に行くこともあります。さらに、求人に応募する際には書類作成や面接の練習も手伝ってもらえます。就職が決まってもそれで終わりではなく、職場に定着できるように、入社後も定期的に面談が行われます。

自立訓練(生活訓練)のサービス内容

日常生活でするべきことはたくさんあり、また、利用者によって利用計画が異なるため、自立訓練のサービス内容は人によって異なります。

例えば、食事や入浴、洗濯といった毎日行う基本的な能力、お金の管理や生活のリズムといった自己管理に関わる能力、地域生活におけるマナーや他者とのコミュニケーションといった社会生活に必要な能力など、あらゆるスキルを訓練や支援を通して身につけていきます。

サービス内容は事業所によって異なるため、自分に合ったサービスを提供しているところを選ぶのがおすすめです。

就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の対象者の違い

就労移行支援の対象者

就労移行支援の対象者は、65歳未満の障害者です。また、他の条件は以下のとおりです。

1. 一般企業への就職を希望していて、働くために必要な知識や技術の習得や就職先の紹介などの支援を必要としている人
2. あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を取得して就労したいと考えている人

ただし、65歳以上であっても、65歳に達する5年間に引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていて、65歳になる前日に就労移行支援に係る支給決定を受けていた人は対象となります。この5年間については、入院などのやむを得ない事情によって障害福祉サービスに関する支給決定を受けていなかった期間は除きます。

自立訓練(生活訓練)の対象者

自立訓練の対象者は、地域で生活するために一定の支援が必要な人が対象で、その他の条件は、以下のとおりとなります。

1. 施設を退所、もしくは病院から退院して地域生活を送ろうとしている人
2. 特別支援学校を卒業した人
3. 通院していて、病状が安定している人

就労移行支援と自立訓練(生活訓練)の期間と料金の違い

就労移行支援の期間と料金

就労移行支援を利用できる期間は、原則として2年間と定められています。もちろん、2年間ずっと通わなければいけないということではなく、あくまで最長で2年間という意味で、早く就職が決まれば半年や1年で支援を終えるという方もいます。また、特例として市町村への届けによって必要があると認められれば、1年延長して3年間利用できるケースもあるので、覚えておきましょう。

料金(利用料)については前年度の世帯所得によって変わり、細かい条件はありますが、基本的な月額は生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯なら無料、市町村民税課税世帯で所得割16万円未満なら9,300円、それ以外なら37,200円と定められています。

自立訓練(生活訓練)の期間と料金

自立訓練は生活訓練の場合、最長2年間利用でき、長い期間入院したり施設に入ったりしていた方は、3年間まで利用可能です。この期間を過ぎても自立訓練の利用を希望する場合は、市町村に届ける必要があり、認められれば期間が1年間延長されます。

利用料金は、就労移行支援と同様です。また、事業所でご飯を食べたり、宿泊したりした際には、食費や光熱費が別途必要になります。

【出典】
障害者の就労支援対策の状況 厚生労働省
自立訓練 厚生労働省

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