精神障害のある方は医療機関で治療を受ける際、「自立支援医療制度」により医療費を軽減できます。
自立支援医療制度を利用するためには、必要書類を揃えた上で申請手続きと自立支援医療受給者証の発行が必要です。
ただ、自立支援医療受給者証の発行にはかなり時間がかかり、手続きで不備等があるとなかなか利用できない可能性もあります。
この記事では、自立支援医療受給者証をご利用を検討中の方向けに、取得方法と手続きの流れ、注意点を簡潔に解説いたします。
「自立支援医療」の概要
自立支援医療は、精神・身体障害の治療において発生する医療費負担を軽減してもらえる制度です。
通常、働く世代の医療費自己負担は3割ですが、自立支援医療制度が適用されると自己負担が1割に軽減されます。
なお、軽減された分の負担割合は、国が1/2、都道府県や市区町村が1/2となっています。自立支援医療は障害の種類により以下の3つに分かれます。
- 【精神通院医療】
- 精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)第5条で定義された知的障害者や精神障害者の医療費を軽減
- 【更生医療】
- 身体障害者福祉法の第4条で定められている身体障害者の医療費を軽減
- 【育成医療】
- 児童福祉法の第4条第2項に定められた身体・知的・精神障害がある児童の医療費を軽減
ただし世帯の所得によっては、自立支援医療受給者証を交付されていても医療費負担の軽減は適用されません。軽減されるか適用外かは世帯の所得に応じて分かれています。
自立支援医療受給者証の取得方法と申請場所
自立支援医療(精神通院医療)を利用するには、自治体に申請して「自立支援医療受給者証」の発行が必要です。
制度の実施主体が都道府県と市区町村に分かれていますが、多くの自治体が申請場所を市区町村としています。
ただし、申請から受給者証発行までの手続きの流れが各自治体により異なるケースもあるため、必ず住んでいる地域の市区町村へ申請方法を確認した方が良いでしょう。
自立支援医療受給者証の申請に必要な書類は、どの自治体でも以下の書類で概ね共通しています。
2. 医師の診断書
3. 世帯の所得が分かる書類(課税、非課税証明)
4. 健康保険証
5. マイナンバーが分かるもの
6. その他市区町村指定の書類
1~3.は市区町村の役所で入手できますが、注意しなければいけないのは医師の診断書です。
精神通院医療で必要になる診断書を作成できるのは法で定められた指定医療機関のみとなるため、申請前に各都道府県のサイトや担当課へ問い合わせて指定医療機関への確認が必要になります。
いつ届く?自立支援医療受給者証の交付までの期間と流れ
自立支援医療受給者証は申請から交付されるまでかなりの時間を要します。概ね1~2か月が目安と言われていますが、場合によっては3か月以上待たされるケースも少なくありません。
自立支援医療受給者証届かんのやけど…申請してから2ヶ月くらい経つのに…
— おしず◎12/30 こたとま満月キャラバンSP (@oh42_721) July 24, 2019
自立支援もう2ヶ月半待ってるけど届かぬい〜〜というわけでお役所にお電話したら今日送ってくれたとのこと。明日病院だからもう1日早かったらめちゃくちゃ助かったんだけど人生そんなにうまくいかないよね??今月も3割負担だ仕方ぬい
— ONO?はっぴーBL♡人生 (@onochan1031) August 24, 2018
1月に自立支援の更新したんだけどまだ書類届かない(;´・ω・)今日病院なんだけど・・・この場合1度3割で払わないとダメなのか??年々自立支援の更新に時間かかるようになったなぁ。患者さん増えてるんだろうなぁ。
— あい? (@kodomo0305) April 14, 2019
自立支援の申請してからもうすぐ3ヶ月経つのにまだ証明書(?)届かない
— むぎ子 (@w_pm1h) January 8, 2018
自立支援医療受給者証の発行に時間がかかるのは各自治体によって手続きの流れが異なるためですが、基本的に以下のような流れになっています。
2. 市区町村から都道府県や政令市、精神保健福祉センターなどに申請書が送られる
3. 受給者証が市区町村に送付される
4. 本人に受給者証が送付される
自治体によっては2.の都道府県と精神保健福祉センターで手続きが分かれているケースもあるため、発行に時間を要する場合もあります。
自立支援医療受給者証の発行までの期間を提示している自治体もありますので、参考までにいくつかご紹介します。
【参考】北海道室蘭市 / 宮城県仙台市 / 東京都葛飾区 / 東京都板橋区 / 鹿児島県鹿児島市
自立支援医療制度の注意点
自立支援医療受給者証を利用すれば医療費負担の上限は1割となります。当然、受給者証を医療機関や利用する薬局に提示しないと制度は適用されませんが、その他にも覚えておきたい注意点が2つほどあります。
自立支援医療受給者証が届くまでの扱い
自立支援医療受給者証が届くまでの期間、医療費負担が軽減されないわけではありません。自立支援医療受給者証が届くまでの間は、以下の方法で医療費を軽減することが可能です。
・医療機関で発行された領収書を基に後日払い戻してもらう
どちらが可能かは、やはり自治体や医療機関の決まりによって異なります。自立支援医療の申請や利用を検討する際は、自立支援医療受給者証が届くまでの扱いについても市区町村に確認した方が良いでしょう。
また、医療機関で発行される領収書を紛失してしまった場合、医療費負担が軽減されなくなる可能性もあるため、払い戻しされるまでは必ず手元に残しておくようにしましょう。
自立支援医療受給者証は更新が必要
自立支援医療受給者証の有効期限は1年間となりますので、有効期限が切れる前に必要書類を市区町村に提出して更新手続きをする必要があります。必要書類は市区町村により異なりますが、主に以下の書類が必要です。
・自立支援医療受給者証
・医療機関の診断書(2年に1度)
・世帯の所得が分かる書類(課税、非課税証明)
・世帯の保険加入状況が確認できる書類
・マイナンバーが分かるもの
・その他市区町村で指定された書類
更新手続きは有効期限の3か月前から可能です。更新しないと自立医療支援制度が利用できない場合もありますので、有効期限や必要書類を確認して更新を忘れないよう注意しましょう。
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