近年、従来のうつ病に加えて「新型うつ病」(非定型うつ病)が注目されてきています。新型うつ病は、「うつ」と名前はついていますが、その特徴や対処法は異なります。うつ病と同じく、原因や症状に合った対処をしないと、よけいに症状を悪化させてしまう可能性があるため、見極めることが大切なのです。
この記事では、「新型うつ病」の特徴や対処法について詳しく解説します。
新型うつ病(非定型うつ病)の特徴
新型うつ病(非定型うつ病)は、一見すると「うつ病」だと分からないような特徴が多く、発見が遅れると症状を悪化させてしまうケースが多いと言われています。
そのため、新型うつ病は従来のうつ病とは異なる点を理解することが重要です。以下にお伝えする特徴に当てはまる場合は、新型うつ病の可能性を疑ってみましょう。
1.気分反応性である
まず1つ目は、気分反応性であることが挙げられます。気分反応性とは、自分が楽しかったり興味が湧いたりする事柄、仲のいい人と会ったり映画や趣味を楽しむためにどこかへ出かけたりするというシチュエーションに関して、非常に気分が良くなる現象を指します。
自分が好きだと感じる物事と向き合っているときは、元気に楽しむことができるため、まわりから見るととても「うつ病」とは見えません。
2.若い世代に多く「過眠」と「過食」が特徴的
2つ目は、若い世代(特に女性)に多く、過眠や過食の症状が出るのが特徴的だと言えます。
新型うつ病の発症は、20代〜30代の女性に多く、全体の約7割を占めているとされています。また、1日に10時間以上眠る人も少なくありません。身体的にも、身体がいつも鉛のように重く、社会生活を送る上で支障をきたします。
3.感情の起伏が激しい
3つ目は、感情の起伏が激しい点が挙げられます。新型うつ病は、突然イライラしたかと思うと、次の瞬間にはクヨクヨと落ち込むなど、1日の中で感情のアップダウンが非常に激しいのが特徴です。
ちょっとした注意を受けるだけでも、一気に気分が下がってしまい、その後は相手に激しく当たることもあります。
4.昼夜逆転しやすい
4つ目は、昼夜逆転しやすい点です。新型うつ病は、従来のうつ病とは異なり過眠になるケースが非常に多く、人によって10時間以上眠り続けるケースもあります。
その結果、日常生活のサイクルが乱れやすく、昼間に起きることが難しくなる傾向があるのです。
「うつ病」と「新型うつ病」の違い
従来のうつ病は、発症の男女比が同じぐらいだったのに対し、新型うつ病(非定型うつ病)は若い世代の女性が7割を占めています。また、症状に関してもうつ病は、
- ・常にマイナス思考で落ち込んでいる
- ・集中力が続かない
- ・常に自分を責める
などのような状態であるのに対し、新型うつ病は
- ・好きなことや興味のあることに対しては元気で活動的
- ・趣味などには集中力を発揮する
- ・責任転嫁する
- ・気分のアップダウンが激しい
などのような特徴が見られます。
さらに、うつ病の人は落ち込んだり悩んだりし過ぎて、眠れなくなるのに対し、新型うつ病は寝すぎてしまうくらい睡眠時間が長い傾向があります。
このように、名前が似ている2つの病気でも、症状の出方や発症年代など異なる部分が多い点が分かるでしょう。
「新型うつ病」と上手く付き合っていくための対処法
新型うつ病(非定型うつ病)は、従来のうつ病とはイメージが異なるため、まわりからの理解が得られない場合があります。新型うつ病と上手に付き合っていくためには、しっかりと対処法を身につけて、実践していくことが大切です。
1.毎日の目標を作る
まず1つ目は、毎日の目標を作るという点です。新型うつ病は、従来のうつ病とは異なり、好きなことや興味のあることに対しては活動的で、それを達成し満足感を得られると、やる気が出て気力を奮い立たせることができます。
しかし、最初から高い目標を設定してしまうと途中で挫折し、逆効果になる場合があるので、小さな目標をクリアしながら進めていくといいでしょう。
2.可能な限り決められたルーティンをこなす
2つ目は、可能な限り決められたルーティンをこなすということです。新型うつ病の人は、何気なく過ごしているとどうしても過眠傾向が強いため、生活のリズムが乱れてしまいます。そのため、同じ時間に起きて会社や学校へ行き、昼間に覚醒している時間を強制的に作るようにします。
体内のリズムを正常な状態に保てれば、精神の覚醒を促すことができ、仕事や学業にもしっかりと取り組めるようになるでしょう。
3.褒めて伸ばしてもらえるようにする
3つ目は、褒めて伸ばしてもらえるようにすることです。新型うつ病の人は、失敗やミスを頭ごなしに責められると、根底に他者からの評価が気になるという感情が隠れているため、人のせいにしたり突然やる気をなくして自分勝手な行動を取ったりする場合があります。
そのため、やるべきことを目の前にしたときには励ましてもらったり、達成できたときには褒めてもらったりする環境を整えれば、やる気を保つことができます。
4.好きなことだけに没頭しないようにする
4つ目は、好きなことだけに没頭しないようにしましょう。新型うつ病は、好きなことだけに没頭してしまうと、あっという間に生活のリズムが乱れてしまいます。
それを防ぐためには多少つらいと感じても、仕事や学校など取り組むべきことを行う時間をしっかり確保してください。睡眠と覚醒のリズムが暴走しないように気をつけることが大切です。
5.できる限り太陽の光を浴びるようにする
5つ目は、できる限り太陽の光を浴びるようにしてください。私たちの身体は、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、生活のリズムを保てるようになっています。
しかし、新型うつ病の人は、知らず知らずのうちに過眠などで昼夜逆転しやすい傾向があり、太陽の光を浴びる機会が減ってしまうことが多いのです。そのため、朝起きて太陽の光を浴びるように心がけましょう。
6.早い段階で適切な治療をする
そして6つ目は、早い段階で適切な治療をすることです。ここまで紹介した対処法に加えて、心身の異常を感じたら早い段階で治療につなげることが大切になります。
新型うつ病の治療は、主に「薬物療法」と「認知行動療法」(カウンセリング)を組み合わせて行われます。
薬物療法では、従来のうつ病の治療に使われる「抗うつ薬」はあまり効果が期待できないため、「リーマス」を始めとする気分安定薬や「レスリン」などのSARI(セロトニン遮断再取り込み阻害薬)などを用いて長期的に行われます。
認知行動療法では、物の感じ方や捉え方(認知)の歪みを修正し、自分の気持ちをうまくコントロールしながら円滑な人間関係を築いていけるようにサポートします。
まとめ
新型うつ病(非定型うつ病)は、従来のうつ病とは異なり、一見するとまわりからは「うつ病」であること自体を理解されにくい特徴を持っています。
そのため、なかなかつらさが理解されずに社会から孤立してしまったり、引きこもったりすることで治療に結びつかないケースがあるのです。
今回は、新型うつ病のさまざまな特徴を紹介しました。自分に当てはまると感じる場合は、早めに対処することをおすすめします。
参考URL
https://osakamental.com/symptoms/depression/page-21.html
https://www.mentalclinic.com/new-type-depression/
執筆者プロフィール

精神保健福祉士、社会福祉士、認定心理士、心理カウンセラー
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者やその家族に対するカウンセリング・相談や支援を経て、現在はメンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。