障害者雇用率の高い企業はどんな仕事をさせている?業種別まとめ

障害者雇用率の高い企業はどんな仕事をさせている?業種別まとめ


2017年に東洋経済社が発表した障害者雇用率ランキングによると、国内の企業で最も高かった障害者雇用率は14.56%でした。

2018年に法定雇用率が2.2%にアップしたことは各メディアでも話題になりましたが、既に10%を超える雇用率を達成している企業があるというのは少々驚きです。

しかし、「数字だけが高くて中身が伴っていないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、東洋経済が2017年に公表した障害者雇用率ランキングを基に、高い障害者雇用率を達成している企業では障害者にどんな仕事を任せているのかを調査しましたので業種別にご紹介します。

【製造業】超高雇用率企業「エフピコ」の例

最初にご紹介するのが、製造業として障害者を多く雇用する株式会社エフピコ。冒頭でお伝えした「14.56%」はこのエフピコが達成した雇用率です。

エフピコは食品トレーや弁当用の容器などを製造する会社で、グループ全体で4500人を超える従業員が働いています。

そんなエフピコで雇用されている障害者の方は、どのような仕事をしているのでしょうか。会社情報などで調べてみたところ、主に以下のような作業を行っていることが分かりました。

  • 食品トレー容器の整形・組み立て加工・検品
  • 使用済みトレーやペットボトルの選別作業

エフピコは北海道から九州まで、全国に工場やトレーの選別センターなどを構えています。

そこまで大きな会社なら全てを機械で行えそうですが、障害者を雇用して上記の事業を行っているのは「小ロット(生産数が少ない)の発注に対応する」「人の手で選別することで作業精度を上げる」ことを目的としているためです。

現場で働く障害者の方の声として、「毎日みんなに会うのが楽しい」「楽しく働く職場環境を作りたい」「仕事のために健康管理に気をつけている」といったものもあり、仕事に対する意欲の高さが窺えます。

また、エフピコでは全国の工場にフロアホッケーチームもあり、世代や性別、障害の垣根を越えて定期的に大会も開催されているようです。

【参考】続ける力2018-2019 – 株式会社エフピコ

【小売業】全国チェーンの小売店「良品計画」の例

「無印良品」と言えば、質の高い生活用品や家電までを取り扱う小売店の一つですが、運営母体である株式会社良品計画も障害者雇用率5%前後と高い水準です。

一般の方が利用する全国チェーンの企業で障害者を多く雇用していることもあり、メディアで取り上げられたり、障害者雇用職場改善好事例として奨励賞を受賞した実績もあります。

そんな良品計画ですが、実際に障害者の方にどんな仕事を任せているのかを調べてみました。

現在も積極的に障害者雇用を進めており、採用情報や障害者雇用職場改善好事例を確認したところ、店舗スタッフは以下のような作業がメインとなっているようです。

  • 品出し
  • 商品整理
  • 掃除
  • 簡単な接客等
  • メール業務(本社勤務)
  • 入力業務(本社勤務)

週20時間以上の勤務を基本として、まずは3か月更新で仕事をしながら、要件を満たせば1年更新となる制度になっています。

元々は本社だけで障害者雇用を進めていたものの受け入れが限界に達したのを機に、「ハートフルプロジェクト」を発足して店舗での障害者雇用を進めています。

良品計画では、障害者の能力を十分発揮させるために、障害の特性や個性に合わせて業務管理や指導を行う工夫もしています。

障害者の安定した雇用を実現するため、本社、店舗、支援機関が一体となりサポート体制の構築やステップアップ精度を導入しているのも高い雇用率を維持するポイントと言えるでしょう。

【参考】障がい者採用情報 – 株式会社良品計画

【サービス業】インターネットの利点を活かす「カカクコム」の例

インターネット業界でも障害者雇用は進んでいます。ここまで工場や店舗で働く障害者雇用のケースをご紹介しましたが、株式会社カカクコムでは、在宅勤務による障害者雇用で障害者雇用率3%を実現しています、

特に公式アナウンス等はありませんが、高齢・障害・求職者雇用支援機構が公表している事例を確認すると、雇用した障害者の方は以下2つの業務を行っているようです。

  • Webサイトの監視業務
  • 情報不備の報告と修正依頼
  • メールサポート

カカクコムといえば「価格.com」や「食べログ」といったサイトが有名ですが、信頼できる情報を掲載する裏では、障害者の方も活躍していました。

【参考】チャレンジホームオフィス – 株式会社カカクコム

【運送業】厚生労働大臣表彰を受賞「シーエックスカーゴ」の例

最後にご紹介するのが、陸運業で3%以上の高雇用率を達成しているシーエックスカーゴです。

シーエックスカーゴの主な事業は、コープ商品の発注や在庫管理、仕分け、流通加工、輸配送業務です。全国に事業所を構えていますが、3300人以上いる従業員のうち130名が障害者とのことです。

障害者の方がどんな仕事をしているのか確認してみると、配送や陸運業には欠かせない業務でした。

  • 配送用のオリコンの選別
  • オリコンの洗浄やラベルはがし
  • 商品の仕分け
  • 一般事務(本社勤務)

オリコンとは、スーパーなどでもよく見かける商品を詰めるプラスティク製の箱です。シーエックスカーゴは主にコープ商品を取り扱っていますので、オリコンを清潔に保つことは消費者の信頼を得るためにも重要な仕事と言えるでしょう。

また、シーエックスカーゴでは、特別支援学校と連携して職場実習やトライアル雇用の制度を取り入れており、支援機関のサポートによる講習会や社内に生活相談員を配置するという工夫も行っています。

その甲斐あって、シーエックスカーゴは高い障害者雇用率を実現しただけでなく、厚生労働大臣表彰を受賞するという功績も残しています。名実ともに障害者雇用における中心的存在である企業と言えるでしょう。

【参考】多様な働き方 – 株式会社シーエックスカーゴ

まとめ

障害者雇用の現場では、「仕事の切り出し」という言葉がよく使われます。

「ワークシェアリング」と言い換えることもできますが、今回ご紹介した事例以外にも、障害者を雇用する会社の業務内容を見ていると「障害者でもできる仕事」を無理に作るのではなく、「障害者の有無に関係なく任せられる仕事」が数多くあることが分かりました。

障害者の方がどんな仕事をしているのかを知り、今やっているその仕事を障害者の方に任せる事を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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