『公益財団法人ヤマト福祉財団』は、10月24日(火)に開催した「第24回ヤマト福祉財団小倉昌男賞」の選考委員会で2名の受賞者が決定したこと受け、12月7日(木)に日本工業倶楽部2階大会堂において、受賞者への贈呈式を開催しました。
「ヤマト福祉財団小倉昌男賞」は、障がい者の仕事づくりや雇用の創出・拡大、福祉の改善などを積極的に推し進め、 障がい者に働く喜びや生きがいをもたらしている方々を対象に表彰しています。
設立から30年の節目にあたる本年度は4年ぶりの対面形式での開催となり、会場全体が和やかな空気に包まれる中、贈呈式が始まりました。今回の受賞者は、飯田大輔氏(社会福祉法人福祉楽団理事長)と、加藤裕二氏(社会福祉法人オリーブの樹理事長 )の2名です。
選考委員からは、「お二人の新たなチャレンジや取り組みへの志、そして初代理事長小倉氏の信念にも通ずる、障がい者だから、福祉だからという枠を超え、その根底にある“良いものを提供したい”という熱い思いに感銘を受けました。」とのコメントがありました。
・飯田 大輔(いいだ だいすけ)氏 社会福祉法人福祉楽団(千葉県千葉市) 理事長
受賞理由:同氏は母親の遺志を引き継ぎ、学生時代から同法人の設立に携わりました。事業開始後、障がい者の賃金の低さを知ることとなり、家業でもあった養豚業を障がい者の就労場所とすることを決意しました。2012年に「株式会社恋する豚研究所」を立ち上げ、飼料の改良による商品開発および高級スーパーなどへの販路開拓に成功しました。ブランド化も行い、初年度200万円だった売上高は、10年後には3億5千万円になり、併設のレストランには年間15万人ものお客さまが訪問しています。合理的思考と科学的なアプローチで福祉を実践し、障がい者に対する高賃金の確保と自立共生を推進してきたことが高く評価されました。
・加藤 裕二(かとう ゆうじ)氏 社会福祉法人オリーブの樹(千葉県千葉市) 理事長
受賞理由:同氏は学生時代、進行性筋ジストロフィー患者との出会いを契機として福祉に関心を抱き、1984年に自宅の一室に小規模作業所オリーブハウスを設立しました。収益確保のためクッキーの製造や出張販売にも挑戦し、10年後には年間3,500万円の売上と月額平均工賃6万円を達成しています。2000年には「社会福祉法人オリーブの樹」を設立し、2007年には県内初の就労継続支援A型事業で賃金保障を実現しました。またアイスクリームや弁当の製造・販売にも注力しています。さらに、千葉県内外での障がい者の工賃向上や社会参加を促すなど、40年間にわたる地道な努力と挑戦で障がいある方々に働く喜びと誇りを与えてきたことが高く評価されました。
今回の受賞を受け、飯田氏は「祖父やおじが養豚業をしていたこと、2001年に福祉事業を設立することになったことなどの伏線がすべて混じり合い、こうして今があります。そして今日12月7日がちょうど23年目にあたります。」とこれまでの経緯を話し、奇跡の連続に会場からは拍手が沸き起こりました。「すべてに感謝し、これからも活動に力を入れていく。」と熱い思いを語り、そして最後には、ヤマト便でお届けする恋する豚研究所販売のお歳暮の紹介で、会場は温かい空気に包まれました。
続いて加藤氏からは、「過去には、障がい者を利用して金儲けしているなどといった風評被害を受け、はたして自分がやっていることは正しいのかと自問自答し、苦しんだ過去もありました。しかし小倉氏との関わりの中で、“私利私欲ではなく、障がい者のために稼ぐ”という視点を学んだことが心の救いになり、今があります。」と今日に至るまでのすべてに感謝の意を述べました。また飯田氏のお歳暮紹介と並べ「うちでもクッキーやアイスを販売しており、おいしいアイスがクール宅急便で届きますよ。」と笑顔で話しました。
また両者とも今後は非行少年の更生支援にも力を入れていくことを熱い眼差しで話し、式は閉幕しました。今後もこのような取り組みを精力的に行っていくことで障がい者の自立と社会参加を支えたいという『公益財団法人ヤマト福祉財団』の思いが込められている贈呈式となりました。
『ヤマト福祉財団 小倉昌男賞』
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