【株式会社カクイチ】障がい者も健常者も当然に働くことができる環境を―企業インタビュー

【株式会社カクイチ】障がい者も健常者も当然に働くことができる環境を―企業インタビュー

(写真左から)社長業務秘書 鈴木琢巳さん、執行役員 経営企画部 部長 柴戸秀太さん

『障がい者の方々が働くことができない職場は、業務が整理されていない職場だと思っています。』

明治19年創業の老舗メーカーでありながら、多岐に渡る事業を展開する株式会社カクイチさん。昨年障がい者福祉事業所と連携して行ったデザインコンペや、障がい者雇用についてなど、経営企画部の柴戸さんと社長業務秘書の鈴木さんにお話を伺いました。

カクイチさんは様々な事業をされていますが、簡単に事業内容を教えていただけますか?

(鈴木)
創業が明治19年、今年で137年目となる歴史のある会社です。主には農業用ガレージや倉庫の製造メーカーで、ガレージの製造、販売、施工、またアフターまで行う垂直統合型のビジネスモデルを42年前から展開しています。また工業用、農業用、園芸用ホースの製造部門もあります。中でも、今まで10万以上の農家さんに販売した農業倉庫の屋根の上に太陽光を乗せて、自ら発電所を行うビジネスモデルが現在一番大きな収益を上げている事業です。他にも、ミネラルウォーター事業やホテル事業、農業改善事業など、全部で11の事業を展開しています。

何をやってる会社ですか?という質問には、最近は“事業をつくる会社です。”とお答えしています。一言で言えば、地方のメーカーで、典型的な日本の中小企業、製造業です。

カクイチさんの経営哲学を教えていただけますか?

(鈴木)
創業者が哲学者ということもあり、右手にそろばん、左手に論語、みたいな世界で、常に「人とは何か?」、ということを経営の場で実践してきた歴史が会社の根底に流れています。
”やろう。だれもやらないことを。”というスローガンの通り、人と違うことをやること、また”利己よりも利他”という視点に立って会社を経営してます。

現在の豊かな日本において、お金やモノより心の豊かさを感じられる社会の方が、もっと人は幸せになれるのではないか、と考えています。私たちは農家のお客様が多いので、地方が良くなることで高齢者の方が生き生きした社会を実現すること、また心の豊かさを追求し続ける会社になれたら良いなと思っています。

障がい者福祉事業所と取り組んだデザインコンペについて


(鈴木)
弊社が長野県小諸市で行っているMaaSの地方創生事業に関して、事業をイメージしたデザイン、また私たちが扱っている三輪EVカートのデザインを考えてくださいという依頼を障がい者の方々にしました。

どんなデザインのものが出てくるかと思っていましたが、オシャレで思いもつかないような作品をたくさんいただきました。私たちに無い特異性や発想で描かれた作品に小諸市の市長や副市長も驚いていました。企業の中では、どうしても”こういうものだ”という思い込みがあるのですが、事業に直接関わっていない方々の新鮮な発想に、多くの気づきを得る事ができました。

障がい者雇用のきっかけ

(鈴木)
”利己よりも利他”の精神が強い会社ですので、誰でも働きやすい環境の会社や、誰とでも一緒に働くことができる会社が素敵な会社だと思い、障がい者雇用をスタートしました。
また、地方にお客様が多いので、東京に限らない働き方として、障がい者の方をはじめ地方の様々な方と接点を持つことで会社としても多様性を持つことができ、イノベーションが起こるのではないか。また私達が気づく事も多いのではないか、と思ったことがきっかけです。

障がい者の方が行う業務内容は?


(柴戸)
色々な仕事をお願いしているのですが、今では単純作業だけでなくDXに寄ったことを依頼しています。具体的には、現在弊社で情報の見える化を進めているのですが、元々東京で作業していたものの手が回らず、もしかしたらお願いできるかもしれないということで、依頼したのがきっかけです。ビジネスインテリジェンスツールを理解して使用してもらっており、分からない時はSLACKを使って質問を受けることもありますし、自らヘルプを参照して解決してもらうことも多く、すごく助かっています。当初想定していたこと以上のお願いをしており、今後も続けていきたいと思います。

利用していただいているウェルサテライトの感想を教えてください。

(柴戸)
雇用している障がい者の方とは、週に1回ZOOMでミーティングを行いながら、半年に一回直接顔を合わせて話をしています。それに加えて毎月ウェルサテライトのスタッフの方から状況の報告をいただいているので、動きを立体的に見ることができます。

障害者の方々が働くことができない職場は、業務が整理されていない職場だと思っています。特にリモートでの場合、顔を合わせる働き方に比べて、より具体的に話をしなくてはいけません。障がい者の方にとって指示が具体的になることで働きやすい環境になっているのではないかと思いますし、私達にとっても自分たちが何をしようとしているかを明確にできるので、良いところだと思います。
※ウェルサテライト:障がい者専門のコワーキングスペース

カクイチさん社内で、障がい者の方々との窓口は?

(柴戸)
私の部署(経営企画部)で行っています。経営企画部がとりまとめている訳ではなく、今は経営企画部の仕事をお願いしているので、私の部署がコンタクトをしています。他の部署でも障がい者雇用を行っておりますので、業務に紐づいたそれぞれの部署が、窓口になります。

障がい者雇用を考える企業へのアドバイスをいただけますか?

(柴戸)
障がい者の方を雇用するにあたって、当初は紙資料のデータ化や、ビデオテープのデータ化といった単純作業を想定し、実際お願いしておりました。一定量その作業は残っていますが、一般就労者と同等の業務が出来ることが分かり、現在はDX案件や経理業務などをお願いしています。普通に働くことができる方と捉えた方が良いと思いますし、最初は不安なことがあるかもしれませんが、実際に仕事をお願いしてみると意外と困ることは少ないと思います。

(鈴木)
現在はオンラインの機能も進んでリモートでのコミュニケーションもスムーズに行うことができます。情報を整理して分かりやすく伝えることで、我々のコミュニケーションスキルもあがりますし、仕事の切り出しや、仕事のやり方を見直す良いきっかけにもなるのではないかと思います。また障がい者の方の中には短期的に集中して業務を行うことが得意な方もいらっしゃいますし、生産性も向上するのではないかと思います。

今後について

(柴戸)
障がい者雇用を今後もっと積極的に進めていきたいと思います。障がい者の方が働けるような環境をつくる事は、弊社としてやっていかなければならないことだと思っています。
障がい者の方が働くことができて、健常者の方も当然働くことができる環境をつくっていきたいと思います。

 

▼株式会社カクイチ
https://www.kaku-ichi.co.jp/

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