今回は、アーティストグッズ製作からライブ会場での販売サポート、ファンクラブアプリの開発まで幅広く事業展開する株式会社ALBA 金井崇晃社長のインタビューをお届けします。
創業から12年、中国の提携工場との直接取引により高品質でオリジナリティあふれる商品を提供する株式会社ALBA。最近では、コンサートやイベント会場での販売時間短縮を実現するアプリ「Event Order」も開発し、業界の課題解決に取り組んでいます。
また、グッズのアッセンブリや梱包など、障害者就労支援施設への生産活動を定期的に発注していただいています。サポート企業インタビューとして、金井社長に事業の特徴から今後の展望まで、さまざまなお話を伺いました。
創業の経緯と事業の特徴
ー創業のきっかけを教えていただけますか?
以前音楽業界で働いていた際、グッズ販売を担当していたことがきっかけです。事業の面白さに魅力を感じ、「自分で色々なものを作ることができるのではないか」と思い、12年前に会社を立ち上げました。
ー最初からこれほど多角的な事業展開を予定されていたのでしょうか?
最初はグッズ販売だけでしたが、お客様からの要望に応える中で「イベント会場で販売して欲しい」「ECサイトが欲しい」「ファンクラブを作りたい」などの声をいただき、自社アプリやECサイト、ファンクラブの管理アプリの開発まで事業を広げていきました。
私自身、もともとWEBディレクターとして働いていた経験があるので、システム開発も可能だったことが事業拡大の追い風になったと思います。
中国との直接提携による”ものづくり”
ー御社のものづくりの特徴を教えてください。
生産の約9割を中国で行っています。40社ほどの工場と直接提携しており、Tシャツ、アクリル、タオルなど、各分野に特化した工場と長年にわたって関係を築いています。
実際に工場まで足を運び、社長と直接話し合い「こういうものを作れるか」を確認し、私たちのミッションを伝えています。合意に至った会社と継続的に取引を行い、10年以上の長い付き合いになる工場もあります。
ー昨今の値上げが続く中でも、中国製造にメリットはありますか?
一部日本で製造した方が安くなる商品もありますが、生産のスピードと品質の安定性を考えると中国に優位性があると考えています。
例えば日本ではあるアイテムを作るのに機械を2台程度設置している工場があるとすると、中国の取引している工場では10台設置されています。その場合、1日で数万枚の生産が可能になります。トータルで考えるとまだ中国で製造した方がコストパフォーマンスに優れていると思いますね。
グッズ制作の商流やトレンドについて
ーアーティストグッズ制作はどのように受注するのでしょうか?
受注までの流れはさまざまです。既存のお客様からの紹介でお仕事をいただくことが多いですが、業界で珍しい商品のサンプルをホームページに掲載することで、WEBから新規のお問い合わせをいただくこともあります。
ー制作において大切にしている点は?
既製品にロゴなどを印刷した商品の方がコストは安いのですが、それではアーティストも購入するお客様も面白みに欠けてしまうと考えています。少ない数でも、オリジナルで面白いものを制作することで、「このアーティストの商品は面白い」と感じてもらえるような、楽しい購買体験を提供したいと思っています。
ー最近の人気商品や特徴的な商品はありますか?
二層・三層構造のアクリルブロックが人気です。日本では製造が難しいのですが、中国工場では複数のアクリルを接合して立体的な表現ができます。お客様からの問い合わせも増えています。
非接触型ライブ・イベント物販アプリ「Event Order」
ー「Event Order」について教えてください。
ライブ会場での長蛇の列を解消するために開発したモバイルオーダーシステムです。事前注文・事前決済を可能にすることで、口頭注文や現金決済でのオペレーションに比べて待ち時間を大幅に短縮することができます。従来は商品選択と決済で1分程度時間がかかっていましたが、それを20秒程度まで短縮できます。
https://event-order.com/今まで口頭で商品を注文していた、ライブ・イベント会場でのグッズ販売。Event Orderのアプリを使えば、注文から支払いまですべてアプリ内で完結できます。購入したアイテムは、デジタルレシートで履歴を管理確認できるので、過去に購入した商品も見返すことができます。

ー具体的な仕組みは?
お客様がアプリ上で事前に商品を選択し、支払い方法を選択します。当日は会場でデジタル注文票を見せるだけで商品を受け取ることができるシステムです。現地での口頭注文や決済と比べると大幅に時間を短縮できます。
ー他のPOSレジアプリとの違いは?
一般的なPOSレジは飲食店向けに最適化されていますが、「Event Order」はグッズ販売に特化しています。事前販売、整理券、特典券などの機能を搭載し、ライブ会場のグッズ販売に必要な機能を網羅しています。
社会貢献への取り組み
ー障害者就労支援施設への業務委託について教えてください。
主に梱包作業を依頼しています。就労に向けて頑張っている方々に少しでも活躍する場を提供できたらと思い、依頼を始めました。
ー実際の成果はいかがでしたか?
想像以上の品質で仕事をしていただきました。単なる袋詰めだけでなく、商品の検品まで丁寧に行っていただき、細かい傷などの良品か不良品か判断が難しいものも梱包前にご連絡いただけました。お客様からも「納品前に細かいジャッジができて助かった」と感謝されています。
ー今後の社会貢献について、どのようにお考えですか?
中小企業が直接的な寄付などで社会貢献するのは資金面で難しい面もありますが、事業を通じた社会貢献なら持続可能だと考えています。今後も福祉施設へのサポートをはじめ、社会課題の解決につながる取り組みには積極的に参加していきたいと思います。
求める人材とアドバイス
ー御社で活躍できる人材の特徴は?
コミュニケーション能力は必須です。また、予期せぬ事態に臨機応変に対応できる人、代替案を素早く提案できる人が向いています。弊社は明るく、笑顔で仕事をしているスタッフが多く、職場もそういった雰囲気になっています。
ーアーティストと関わる仕事がしたいと思っている方々へアドバイスをお願いします。
チャンスがどこに落ちているか分からないので、とにかくコミュニケーションを大切にし、人脈を作ることが重要です。私自身も、現在の仕事の多くは知人からの紹介などで生まれています。誰といつ繋がりを持つかは分からないので、日頃から人との関係を大切にすることが成功への近道だと思います。
今後の展望
ー今後の目標や展望を教えてください。
アーティスト活動をサポートする「360度展開」を目指しています。グッズ制作だけでなく、ECサイトがないアーティストには倉庫とECシステムを提供し、イベント販売には「Event Order」を活用するなど、アーティスト活動を総合的にサポートする会社になりたいと考えています。
ー特に重視している分野は?
最近は大手の事務所に所属せず、個人で活動するアーティストが増えています。個人での活動の場合、すべてを自らの手で対応することは難しいですし、そこをサポートして欲しいというニーズが高まっています。そのようなアーティストのサポートに力を入れていきたいと思っています。
まとめ(編集部より)
中国工場との長期的な関係構築によるハイクオリティな製品づくり、イベント会場の課題を解決する「Event Order」の開発、そして事業を通じた社会貢献を行う株式会社ALBA、金井社長のインタビューをお届けしました。
グッズ制作の枠を超えて「アーティストの困りごとを解決する」という視点での事業展開が印象的でした。アーティストの活動をトータルでサポートする「360度展開」の実現に向けて、今後のさらなる発展が期待されます。金井社長、ありがとうございました!
■株式会社ALBA
https://ab-alba.info/
執筆者プロフィール

福祉サポートをしていただく企業の取り組みや、福祉を必要とする方々の活躍の様子など、福祉に関わる多様な情報を紹介しています。