全国の就労支援事業所のユニークな取り組み〜名古屋市〜

全国の就労支援事業所のユニークな取り組み〜名古屋市〜

障害のある方が自分らしく働ける場として機能する就労支援事業所は、近年その取り組みの多様化が目覚ましいほど進んでいます。全国的に見ても、単純作業を中心とした支援スタイルから脱却し、一人ひとりの個性や興味・関心に寄り添った独自プログラムを展開する事業所が増えてきました。
本記事では、名古屋市内で特色ある活動を展開している4つの就労支援事業所の取り組みをわかりやすく解説します。

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港ワークキャンパス:金属加工とパン缶製造のものづくり事業所

就労継続支援A型・B型を併設する「港ワークキャンパス」は、名古屋市港区を拠点に、ものづくりを中心とした就労支援を展開している事業所です。就労継続支援A型とB型の2つのサービスを一つの施設内に備えることで、それぞれの状況や希望に応じた柔軟な支援体制を実現しているのが特徴です

A型の中核を担う金属加工

就労継続支援A型の中心的な作業が「金属加工」です。専門性の高い業種ならではの手応えと達成感が伴う仕事であり、工程に習熟していくことで日々の作業に確かな充実感が生まれます。金属という素材に向き合いながら、ひとつひとつの作業を丁寧に積み重ねる環境が整えられているようです。
集中力を要する工程が多い金属加工は、細かい作業が得意な方にとって力を発揮しやすい業種でもあります。ものづくりが持つ本質的な面白さを日常の中で感じられる点が、この事業所のA型ならではの魅力といえるでしょう。

B型が担うパン缶製造のやりがい

就労継続支援B型では「パン缶製造」を行っています。手作業の工程が多く、ひとつの製品が完成する瞬間の達成感を直接感じられる仕事です。運営母体である名古屋ライトハウスの公式サイトには「やりがいを感じながら、楽しんで働ける環境づくりにこだわっています」という言葉が掲載されており、作業を通じて得られる充実感を大切にする事業所の姿勢が伝わってきます。
コツコツと取り組む中で精度が高まっていく過程に、ものづくりならではの面白さが宿っているといえるでしょう。

1年を通じた行事と地域とのつながり

港ワークキャンパスでは、就労支援の枠にとどまらず、1年を通じてさまざまな行事や地域貢献活動が企画されています。仕事以外の経験や楽しみも含めた豊かな日常の実現を意識した運営スタイルが特徴です。
運営母体の名古屋ライトハウスは、創設当時からの合言葉として「ひとりの幸せのために」を掲げています。「まさか、こんな自分になるとは」「まさか、こんな良い人生になるとは」という言葉が添えられており、一人ひとりの変化と歩みを丁寧に見守る姿勢が伝わる事業所です。

ぐっとくる:飲食店業務と連動したA型事業所

就労継続支援A型事業所「ぐっとくる」は、名古屋市を拠点にグループ会社の飲食店業務と連動した支援を展開するA型事業所です。

グループ飲食店の仕込み作業というリアルな実務

ぐっとくるが特に注目される点は、グループ会社が運営する飲食店の「仕込み業務」を実際の作業として担っている点です。串打ちや食材のカットといった飲食店営業を支える仕込み作業は、自分の手がけた準備が実際の店舗の料理として提供されるという、つながりが見えやすい仕事といえます。
作業の先にお客さまの食卓があるというリアリティは、「誰かのために働いている」という感覚を日々の業務の中に自然と生み出しているようです。施設内での作業でありながら、実社会の現場と深くつながっているこのスタイルが、ぐっとくるの大きな個性といえるでしょう。

13店舗のメニュー作成と動画編集も担う多彩な業務

飲食店の仕込み以外にも、グループ会社が展開する13店舗分のメニュー作成と印刷もぐっとくるが担っています。多くの人の目に触れるメニューという成果物を手がける責任ある業務であり、デザインや文字入力のスキルを活かせる場として機能しているようです。
また、社内向けの動画編集にも取り組んでおり、カットや文字入れといった基本操作から始められるため、パソコンが初めての方でも参加しやすい設計になっています。仕込み・メニュー制作・動画編集と、作業の種類が豊富であることは、自分に合った業務を見つけやすいという点でも利点となっているといえるでしょう。

仲間とともに「働いて笑う」日常

運営母体の「グットクルー」には「良い人=Good Crew が、日々の仕事を通じて地域に笑顔と温かさを届けていく」という想いが込められています。公式サイトには「働いて笑う」という合言葉が掲げられており、誰かの役に立つ喜びや仕事を通じた充実感を大切にする雰囲気が、事業所全体に漂っているようです。
仕事の充実だけでなく、利用者同士のつながりや仲間との支え合いを大切にした運営が行われており、「働いて笑う」という合言葉が体現されるよう、スタッフと利用者が一体となった温かい雰囲気づくりが意識されています。

アンドビー名古屋:エンタメに特化したB型事業所

就労継続支援B型事業所「アンドビー名古屋」は、名古屋市緑区を拠点とするB型事業所です。

有名アイドルの缶バッジ製作という本物の仕事

事業所情報によると、アンドビー名古屋では有名アイドルの缶バッジ製作などのグッズ制作業務に取り組んでいます。実際に流通するコンテンツに関わる製作業務であり、完成した商品が誰かの手元に届くというリアリティを持った仕事といえるでしょう。
ポップカルチャーへの親しみや細かな手作業への適性を活かせるこの業務は、もともとアイドルやエンタメが好きな方にとって、自分の「好き」と日々の作業が重なる環境です。作業への没頭しやすさが、自然な継続通所につながっているといえます。

障害者タレントとしての活動支援という全国的にも珍しい取り組み

アンドビー名古屋は障害者に特化した国内唯一の総合芸能プロダクション「ココダイバーシティエンターテイメント」と連携しており、エンターテイメント力の向上が期待できる講座プログラムを提供しています。受講後には同プロダクションへの就職の可能性もあると紹介されているようです。
「表現すること」「人前に立つこと」に興味のある方にとって、こうした機会は就労支援の枠を超えた新しいチャンスといえるでしょう。「やりがい」と「新しい挑戦」を応援するという事業所の姿勢が、この取り組みによく表れています。

経験豊富なスタッフによる個別対応の支援体制

アンドビー名古屋では、経験豊富な職業支援員・生活支援員が在籍しており、一人ひとりの強みや希望に寄り添いながら最適な活動のかたちを一緒に模索していきます。関連会社へのOJT(実地研修)の機会も設けられており、さまざまな現場を体験しながら自分の可能性を確かめることができるようです。
エンタメという特殊な領域での活動を支えるため、スタッフ体制も充実しており、個々の個性や興味を最大限に活かせる環境づくりが意識されています。

シェアリング・ライフ:古本再生・販売のB型事業所

就労継続支援B型事業所「シェアリング・ライフ」は、名古屋市昭和区を拠点とするB型事業所です。名古屋市から指定を受けた障害福祉サービスのひとつであり、雇用契約を結ばずに就労および生産活動の機会を提供しています。

回収・クリーニング・出品・発送まで一貫して担う古本再生の全工程

シェアリング・ライフが全国でも珍しい存在である理由は、古本の回収・クリーニング・販売という循環型のモデルを就労支援の軸に据えている点にあります。誰かが読み終えた本を丁寧に整えて次の読者へとつなぐという仕事は、「捨てられるはずだったものに価値を与える」という社会的意義を持っており、自分の作業の意味を感じやすい業務といえるでしょう。
古本再生の流れは寄贈先から古本を回収し、汚れを一冊ずつ丁寧に拭き取るクリーニングを行います。その後、ネット出品用の写真撮影・情報シートの記入・画像編集を経て、実際に出品・販売する流れです。売れた本は梱包して発送するまでが一連の作業となっています。
クリーニング・撮影・情報シートの記入・画像編集・梱包と、工程ごとに求められる作業の性質が異なるため、それぞれの得意や不得意に合わせた作業分担が可能です。公式サイトには「パソコンが苦手でも大丈夫です。その方に合わせた作業を準備しています」という言葉が添えられており、一人ひとりの特性に応じた柔軟な支援姿勢がうかがえます。

地域イベントへの出店と実店舗「人人堂」の運営

シェアリング・ライフは事業所内での作業にとどまらず、地域のイベントへの出店にも積極的に取り組んでいます。公式サイトによると、円空市・昭和区福祉まつり・名古屋古書会館での即売会などへの参加実績があるようです。自分が手がけた古本が実際にお客さまに手渡される瞬間は、この事業所ならではの体験といえるでしょう。

作業と生活の両面を支える丁寧なサポート体制

シェアリング・ライフでは、就労継続支援B型のサービスに加え、日常生活に関するさまざまな相談にも丁寧に対応しています。金銭管理・健康管理・人間関係の悩みから、病院受診への同行まで、作業面だけでなく生活の基盤を支える総合的なサポート体制が整えられているようです。
就労移行支援事業所との連携体制も備わっており、状況や希望に応じた多角的な支援を受けられる点も特徴のひとつといえます。古本再生という作業を通じて、地域社会とのつながりを実感しながら日々を過ごせる環境が整っているといえるでしょう。

まとめ

今回ご紹介した4つの事業所は、それぞれが独自の哲学と取り組みを持ちながら、名古屋市の就労支援を多彩な角度から豊かにしています。金属加工とパン缶製造というものづくりの現場を持つ港ワークキャンパス、グループ会社の飲食店業務と直結したリアルな実務に取り組むぐっとくる、缶バッジ製作から障害者タレントとしての活動支援まで手がけるアンドビー名古屋、そして古本の回収・再生・販売という循環型モデルで地域とつながるシェアリング・ライフ。いずれも、一人ひとりの個性や特性としっかり向き合いながら、その人なりの「働く形」を一緒につくり上げようとしている点が共通しています。
就労支援事業所の役割は、毎日の生活に張り合いをもたらし、自分の存在意義を感じ続けられる場であることも大切です。通い続けること、何かを作り上げること、誰かに感謝されること。そうした日々の積み重ねが、本当の支えになっているのではないでしょうか。

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