個人情報が漏えいしたら?障害のある人が取るべき対処手順と相談先

個人情報が漏えいしたら?障害のある人が取るべき対処手順と相談先

障害があることや病歴などの情報は、法律上「要配慮個人情報」にあたり、漏えい時の影響が大きくなりやすいです。漏えいに気づいたら、①事実の記録 → ②漏えい元への連絡 → ③必要に応じて個人情報保護委員会・警察などへの相談、を進めてください。自分が被害の当事者かもしれないと感じた方は、この記事の手順に沿って確認してください。

ただし、不正送金やカードの不正利用が疑われる場合は、金融機関への連絡を優先してください。身の危険がある場合は、順番を待たずに110番へ通報してください。

この記事は誰のための記事か

・福祉サービスの利用中に「あなたの情報が漏えいした可能性があります」と通知を受けた方
・障害者手帳の情報、通院歴、福祉サービスの利用履歴などが外部に出たおそれがある方
・障害のある家族や利用者を支援している方

障害があることやその種類・程度、病歴、診療を受けた事実などは、個人情報保護法で「要配慮個人情報」に分類されます。通院先や福祉サービスの利用履歴も、こうした事実が分かる内容であれば該当します。ただし、通院先やサービス利用状況に関する情報が、内容を問わずすべて要配慮個人情報になるわけではありません。

民間事業者による要配慮個人情報の取得や、個人データの第三者提供には、原則として本人の同意が必要です。ただし、法令に基づく場合などの例外があります。自治体などの行政機関等には、民間事業者とは異なる取得・利用・提供のルールが適用されます。

民間事業者では、要配慮個人情報を含む個人データの漏えい、またはそのおそれがある場合など、法令で定められた事態について、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務付けられています。これは2022年4月に施行された改正個人情報保護法で義務化されたものです。

ただし、高度な暗号化などの保護措置が講じられている場合は報告対象から除かれることがあり、本人への通知が困難な場合は、本人の権利利益を保護するための代替措置が認められています。自治体などにも、法令で定められた漏えい等の報告・本人通知の義務があります。

通知が届いた場合や、自分で漏えいの可能性に気づいた場合は、以下の手順を落ち着いて進めてください。

ステップ1:漏えいの内容を確認・記録する

まず「何が、どこから、どの範囲で漏れたのか」を把握します。

1. 届いた通知や連絡を保存する

・事業者からの手紙・メール、電話の日時と内容をそのまま残してください。
・スクリーンショットやコピーを取っておくと、後の相談時にスムーズです。
・ネット上への掲載に気づいた場合は、掲載先のURL、確認日時、画面の記録を保存してください。

2. 漏えいした情報の種類を整理する

・氏名・住所・電話番号などの基本情報
・障害者手帳の番号・等級
・障害の種類・診断名・通院先
・福祉サービスの利用履歴・受給者証番号
・銀行口座・クレジットカード情報
・マイナンバー
・アカウントのID・パスワード

漏えいした情報の種類によって、次に取るべき対策が変わります。特に金融情報やパスワードが含まれる場合は、ステップ4の二次被害防止を並行して進めてください。マイナンバーが含まれる場合は、市区町村の窓口にも相談してください。なお、マイナンバーだけで直ちに各種手続きや個人情報の取得ができるわけではありません。

3. 自分で気づいた場合も記録する

・身に覚えのない請求書やダイレクトメールが届いた
・知らない事業者から福祉サービスの勧誘電話があった
・SNSやネット上に自分の障害に関する情報が掲載されていた

こうした兆候があれば、日時・内容・相手の連絡先をメモしてください。ただし、不審な勧誘や郵便物だけで、利用中の事業所などから情報が漏えいしたと断定することはできません。

ステップ2:漏えい元の事業者に連絡する

漏えい元が福祉サービス事業所、医療機関、自治体などと分かっている場合は、その事業者・機関の問い合わせ窓口に直接連絡を取ってください。

通知を装った詐欺にも注意が必要です。メールやSMSに記載されたリンクから個人情報を入力せず、契約書や公式サイトなどで確認した連絡先を使ってください。

確認すること 具体的な質問例
漏えいの範囲 「自分の情報のうち、どの項目が漏れた、または漏れたおそれがありますか?」
漏えいの原因 「原因は何ですか?拡大防止策や再発防止策は取られていますか?」
二次被害の有無 「漏えいした情報が第三者に悪用された形跡はありますか?」
今後の対応 「本人への説明や二次被害への対応、補償について、どのような対応を予定していますか?」

調査中で分からない項目については、今後の説明時期と連絡方法も確認してください。補償の有無や内容は、事案によって異なります。

事業者が誠実に対応しない場合や、そもそも連絡が取れない場合は、ステップ3の外部窓口に相談してください。

持ち物(電話相談の場合は手元に用意)

・漏えい通知の原本またはコピー
・本人確認書類(窓口から求められた場合)
・福祉サービスの契約書・受給者証など、関係を確認できる資料
・漏えい発覚の経緯メモ

必要な書類は相談先によって異なります。すべての相談で本人確認書類や受給者証の提出が必要なわけではありません。マイナンバーや暗証番号など、相談に不要な情報は伝えないでください。

ステップ3:外部の相談窓口に連絡する

事業者への連絡と並行して、以下の窓口にも相談できます。

1.個人情報保護委員会

電話:03-6457-9849(個人情報保護法相談ダイヤル)
受付時間:9:30〜17:30(土日祝日・年末年始を除く)
公式サイト:個人情報保護法相談ダイヤル
できること:個人情報の取扱いに関する苦情相談、自主的な解決に向けた助言、法違反のおそれがある情報の受付、条件を満たす民間事業者との苦情のあっせん

個人情報保護委員会は、個別の事案について、事業者への指導や調査を必ず行うと約束する窓口ではありません。情報提供を受けた後の対応状況も、相談者には共有されません。また、金銭賠償や謝罪を求めるあっせん、行政機関等との苦情のあっせんは行っていません。

※ 個人情報保護委員会への漏えい等の報告義務を負うのは、法令で定められた事業者・行政機関等です。被害を受けた本人は、相談や情報提供という形で連絡できます。

2.警察

相談専用電話:#9110(全国共通・短縮ダイヤル)
緊急時:110
持ち物(署に行く場合):漏えい通知、経緯メモ、不審な連絡や被害の記録。本人確認書類などの必要書類は、事前に警察署へ確認してください。
できること:不正アクセスや詐欺、脅迫など、犯罪被害が疑われる場合の相談や、被害届の提出についての案内

金銭被害がすでに発生している場合や、脅迫・ストーカー行為などに発展している場合は、警察に相談してください。身の危険があるなど、緊急の対応が必要な場合は110番へ通報してください。

3.消費生活センター(消費者ホットライン)

電話:188(いやや)
できること:漏えい情報を悪用した詐欺的勧誘、身に覚えのない契約・請求など、消費生活上のトラブルの相談

188は、お近くの消費生活センターなどの相談窓口につながる番号です。受付時間は、接続先の窓口によって異なります。

4.法テラス(日本司法支援センター)

電話:0570-078374(法テラス・サポートダイヤル)
できること:損害賠償請求など法的手段を検討したい場合の、法制度や相談窓口の案内

サポートダイヤルやメールでの問い合わせは、弁護士等が個別の事案について助言する法律相談とは異なります。弁護士等による無料法律相談を希望する場合は、収入・資産などの利用要件を確認し、原則として事前に予約してください。

障害のため電話や来所での相談が難しい場合は、利用する事務所に、筆談・手話通訳など必要な配慮や、利用可能な相談方法を事前に伝えて確認してください。

5.相談支援事業所・基幹相談支援センター

できること:上記の窓口への連絡を一人で行うのが難しい場合に、状況の整理や適切な相談先へのつなぎなどを相談できます。

担当の相談支援専門員がいる場合は、まずその方に相談してください。同行などの支援を受けられるかは、事業所の対応体制や支援内容によって異なります。

相談先が分からない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課に「個人情報の漏えいについて、相談先への連絡を手伝ってほしい」と伝え、地域の相談支援窓口を案内してもらってください。

ステップ4:二次被害を防ぐ

漏えい後に注意すべきことの一つが、情報を悪用された「二次被害」です。以下の対策を早めに行ってください。金融情報やパスワードの漏えいが疑われる場合は、ステップ1〜3の完了を待たずに対応してください。

金融情報が漏えいした場合

① クレジットカード会社・銀行に連絡 → 漏えいした情報を伝え、カードの利用停止・再発行や、不正送金を防ぐために必要な対応を相談してください。
② 身に覚えのない請求・引き落とし・送金がないか確認 → 漏えいした可能性のある時期以降の明細を確認し、その後も継続してチェックしてください。
③ 必要に応じてカードの再発行や口座に関する対応 → 口座番号の変更などが必要かどうかは、銀行に確認してください。

銀行口座番号が漏れた場合と、インターネットバンキングのパスワードや認証情報まで漏れた場合では、必要な対応が異なります。身に覚えのない取引に気づいたら、すぐに金融機関へ連絡してください。

マイナンバーが漏えいした場合

① 市区町村の窓口に相談 → マイナンバーが漏えいして不正に用いられるおそれがあると認められる場合は、番号の変更を請求できます。
② マイナポータルで情報提供等記録(やりとり履歴)を確認 → 行政機関等の間で行われた情報のやりとりを確認し、疑問がある場合は表示された関係機関に問い合わせてください。

マイナポータルのやりとり履歴で、マイナンバーの不正利用や漏えいをすべて確認できるわけではありません。また、マイナンバーが知られただけで、直ちに個人情報を引き出されたり、各種手続きをされたりする仕組みではありません。

アカウント情報が漏えいした場合

① パスワードを直ちに変更 → 同じパスワードを使い回している他のサービスも変更してください。
② 多要素認証を設定 → サービスが提供する認証アプリやSMS認証などを利用してください。
③ ログイン履歴を確認 → 身に覚えのない端末などからのアクセスがないか確認し、不審なログインがある場合はサービスの運営元に連絡してください。

自分でログインできなくなった場合は、サービスの公式のアカウント復旧窓口を利用してください。パスワードや認証コードを聞き出そうとする連絡には応じないでください。

障害に関する情報が漏えいした場合

障害の種類や等級、通院先などの情報は、悪質な勧誘や差別的な行為に利用されるおそれがあります。

・不審な電話や訪問があった場合は、追加の個人情報を伝えず、内容を記録してください。悪質な勧誘は消費者ホットライン(188)、脅迫など犯罪が疑われる場合は警察(#9110)に相談してください。
・SNSやネット上に自分の情報が掲載されている場合は、URLや画面の記録を保存したうえで、サイト管理者などに削除を依頼してください。法務局のインターネット人権相談も利用できます。

よくある質問

Q1. 事業所から「漏えいしました」と言われたが、具体的に何をすればいいか分からない

まずは事業所に「漏えいした情報の項目」「原因」「今後の対応」を書面やメールで示してもらうよう依頼してください。口頭だけの説明では後から確認が難しくなります。説明を受けたら、この記事のステップ1〜4に沿って対応を進めてください。ただし、金融情報やパスワードの漏えいが疑われる場合は、説明を待たずに利用停止やパスワード変更などを進めてください。一人で動くのが難しい場合は、相談支援事業所などに、手続きの整理や連絡の支援を相談してください。

Q2. 障害者手帳の番号が漏れた場合、手帳を再発行すべき?

番号の漏えいだけで再交付が必要になるか、再交付によって番号が変わるかは、一律には判断できません。漏えいした情報の内容や不審な利用の有無を整理し、お住まいの市区町村の障害福祉課など、手帳の窓口に相談してください。再交付の対象や必要な対応は、手帳の種類や発行元の取扱いを確認してください。

Q3. 漏えいに対して損害賠償を請求できる?

漏えいによってプライバシーを侵害されたり、損害を受けたりした場合は、民法上の不法行為や契約上の責任などに基づき、損害賠償を請求できる可能性があります。個人情報保護法に違反する漏えいがあれば、自動的に賠償金が支払われるわけではありません。

実際の賠償額や請求の可否は、漏えいした情報、事業者側の責任、損害との関係などによって異なります。まずは法テラス(0570-078374)で適切な相談先を確認してください。収入・資産などの要件を満たす場合は、予約のうえ、弁護士等による無料法律相談を利用できます。

事前にできる備え

日頃から以下を意識しておくと、万が一のときに素早く動けます。

・福祉サービスの契約時に、個人情報の取り扱いについて説明を受け、書面を保管しておく
・必要に応じて受給者証・手帳の番号を控え、コピーを保管する場合は、第三者に見られない場所で管理する
・パスワードはサービスごとに異なるものを設定し、パスワード管理ツールの利用を検討する
・不審な電話や郵便物があったら、内容と日時をメモする習慣をつける

まとめ:動く順番を整理しておこう

順番 やること 主な連絡先
1 漏えい内容の確認・記録 通知や不審な連絡、掲載画面などを保存
2 漏えい元の事業者・機関に連絡 利用中の事業所・医療機関・自治体
3 必要に応じて外部窓口に相談 個人情報保護委員会(03-6457-9849)、警察(#9110)、消費者ホットライン(188)、法テラス(0570-078374)
4 二次被害の防止(必要に応じて1〜3と並行) カード会社・銀行、市区町村窓口、サービスの運営元

不正送金やカードの不正利用が疑われる場合は金融機関への連絡を優先し、身の危険がある場合は110番へ通報してください。

一人で対応が難しいときは、相談支援事業所や基幹相談支援センターに「個人情報の漏えい対応を手伝ってほしい」と伝えてください。状況の整理や適切な窓口へのつなぎ、同行など、どのようなサポートを受けられるか相談してください。

「知らなかったから動けなかった」をなくすために、この記事をブックマークしておいていただければ幸いです。

 

参考:
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」個人情報保護委員会「個人情報保護法相談ダイヤル」警察庁「ご意見、各種相談・情報提供等」消費者庁「消費者ホットライン」法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」法テラス「メールでのお問合せ」厚生労働省「基幹相談支援センターについて」消費者庁「クレジットカードの不正利用にご注意ください!」デジタル庁「よくある質問:マイナンバー制度について(総論)」マイナンバーカード総合サイト「マイナンバーを変更したいのですが、どのようにすればよいでしょうか?」マイナポータル「操作マニュアル」警察庁「基本的なセキュリティ対策」情報処理推進機構(IPA)「不正ログイン対策特集ページ」法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」国家サイバー統括室「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック Ver.2.0 HTML版(誤送信・損害賠償等)」

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