もしも家族がうつ病になってしまったら【うつへの理解と支援の重要性】

もしも家族がうつ病になってしまったら【うつへの理解と支援の重要性】

うつ病とはどんな病気?

うつ病とは、身体的ストレスや精神的ストレスによって脳機能のバランスが崩れる病気です。
気分の落ち込み、喜びや興味の喪失、集中力の低下、睡眠障害、食欲の低下、倦怠感などの症状が現れます。
日本では10〜15人に1人がうつ病を経験すると言われており、意外と身近にある病気なのです。うつ病にかかりやすい人の特徴は、「真面目で責任感が強い」「人当たりがよい」「ストレスをため込みやすい」という傾向があります。
うつ病にかかりやすい方は家族や職場に迷惑をかけたくないという思いが強く、誰にも相談できずに重症化してから病院に行くケースがあります。しかし、うつ病は治る病気です。早めの対応が回復を早めるため、身近にいるご家族が日常生活における変化に気づくことが非常に大切です。
うつ病の要因は遺伝的な要因、環境的な要因が関与しており、ストレス、身体的な疾患、薬物の副作用などもうつ病の発症に関与することがあります。
うつ病は深刻な精神疾患であり、適切な治療を受けることが重要です。治療法には薬物療法(抗うつ薬)、心理療法、身体活動の増加、社会的支援などがあります。早期の診断と治療を行うことで症状の軽減や回復が見込めます。

もしも家族がうつ病になってしまったとき、一番身近で本人と接していた家族は、本人が急に落ち込んで動けなくなったり、落ち込んでいると思えば突然怒りはじめたり、本人の変わりように驚く方もいるかもしれません。
これらは病気の症状によるものなので、適切な治療を行えば症状は徐々に改善していきます。
ですが、家族は本人に対してどのように接していいのか迷ってしまうことも多々あるでしょう。
この記事では家族にうつ病が発症してしまったら、どう接したらよいのかを紹介します。

うつ病の家族への接し方

うつ病の治療には家族や職場の理解と協力が不可欠です。本人は怠けているのではなく、本当につらい状況であることを理解し、ストレスを遠ざけるために休養を与える必要があります。意識が低下し、外出や日常生活が困難になる可能性があるため、病院へ受診するのも一緒に付き添うことが必要です。

1.家族が最初に理解するべき3つのこと

①まずは病気を受け入れる
②正しい病気の知識を知る
③意見せずに話をじっくり聴いてあげる

①まずは病気を受け入れる
何もせずに弱音を吐き続け、沈んでいる姿を見てしまうと、「しっかりしてよ」とか「気にするな」と言いたくなってしまうこともあるかもしれません。しかし、家族から理解されない苦しさで口論になることもあります。
気力が出ずに思うように体が動かせないのはうつ病の症状がそうさせているのです。病気であることを深く理解し、受け入れることから始めましょう。

②正しい病気の知識を知る
うつ病は脳の病気ですが、何もできないほど落ち込んでいたのに夜になると元気になる姿を見ると、「今までの心配は何だったのか」「怠けていただけか」と疑ったり、振り回されることに悩む家族も多いでしょう。このようなうつ病によって起こる変動を「日内変動」と呼びます。

③意見せずに話をじっくり聴いてあげる
悲観的で消極的な話や態度を見ていると、ついアドバイスをしたくなります。しかし、その行為は逆に相手を追い詰めてしまう場合があります。うつ病にかかる人は特にそうです。まずはゆっくり話を聞いてあげましょう。もし不調が続いているようなら、心配していることを伝え、一人で行かせるのではなく一緒に病院へ受診しましょう。

2.家族ができる7つの対処方法

うつ病は病気であり、愛情と理解をもって対処することが重要です。接する際には、以下の方法に留意しましょう。
①はげましは逆効果
うつ病になってしまった人は、「がんばりたくてもがんばれない」という悩みを抱えています。そのため、「がんばって」というはげましの言葉は、かえって本人を追いつめることになります。温かく見守り、支えることが、彼らにとって何よりも励みとなります。
②考えや決断を求めることはしない
本人にはできるだけ決断を迫らないようにしましょう。例えば日常生活の食事に関しても、「今日はハンバーグにしようか?」など、具体的な提案をすることで彼らに自分で考えたり決める負担をかけないようにします。
③とにかくゆっくり休ませる
まずは休みをとり、本人の心と身体の疲れを癒してあげることが先決です。
④重要な決定は先延ばしにする
決断力が鈍り、優柔不断になっている方に対して、「仕事を休職するかどうか」という大きな決断を迫るのは過酷です。彼らが自分で決断できるようになるまで、ゆっくりと待つことが大切です。
⑤家事など日常生活上の負担を減らす
本人が責任感が強くまじめなタイプの場合は、病状が悪くても無理をして家事などをしようとしてしまいます。できるだけ家族が家事の負担を軽減し、ゆっくり休めるように配慮してあげましょう。
⑥通院に付き添う
通院時の情報を正確に受け取るためにも、家族はできるだけ通院に同席することがお勧めです。医師の説明を本人と一緒に聞くことで、うつ病への理解がより深まります。
⑦薬を飲むように気を付ける
症状が軽減した場合や薬の副作用への不安から本人が自己判断で薬を中止してしまうことがあります。このような場合、回復が遅れる可能性があるため、家族がサポートして薬の服用を続けるように支援していく必要があります。

3.通院に一緒に付き添ったときの対応

受診に毎回付き添う必要はありませんが、一緒に主治医の話を聞くことで、家族が本人に対してどのようにサポートをすれば良いかが分かることがあります。また、主治医に面会しておくことで、本人が調子を崩して通院できないときに代理で相談することもできます。

主治医にとっても家庭での様子を情報として得られることがあります。ただし、あくまで付き添いの立場であり、家族が過度に話すことがないようにしましょう。

症状の改善が見られたときの生活の調整とサポート

1.担当医との連携を維持する

治療を担当している医師との定期的な面談を続けることが重要です。症状の変化や再発のリスクについて相談し、必要に応じて治療プランを調整しましょう。

2.健康的な生活習慣を続ける

バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理などの健康的な生活習慣を維持することが重要です。これらの要素は心身の健康をサポートし、再発を防ぐことに役立ちます。

3.社会的なつながりを築く

家族や友人との交流を通じて社会的なつながりを築くことが大切です。支え合い、共感し合うことで精神的な健康を維持することができます。

4.趣味や興味を見つける

楽しい活動や趣味を見つけ、自己成長や充実感を得ることが大切です。興味を持つことで生活に活力が生まれ、精神的な健康を促進します。
病状が回復した後でも今までの流れで生活が不規則になってしまうことがありますが、日中は散歩や買い物に出かけるなど、回復具合や体力に合わせて行動範囲を広げていけるようサポートしてあげましょう。

■参考文献
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html
https://kokoro.mhlw.go.jp/families/

執筆者プロフィール

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