近年HSPと呼ばれる、繊細で刺激に対して敏感な人たちのことが、徐々に注目されつつあります。HSPは、人一倍傷つきやすいため、社会に適応するのがとても大変なケースも多いと言われています。しかし、同じHSPと言ってもいくつかの種類に分けることができ、対処法も異なるのを知っていますか。
この記事では、HSPの中の「HSS型HSP」という種類について詳しく解説します。繊細にも関わらず、まわりから理解されず苦しく感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
HSS型HSPの5つの特徴
HSS型HSPは、傷つきやすいという性質を持ちながらも刺激を求めずにはいられないという傾向があります。つまり、自分自身の中で相反する気持ちが存在するのです。そのため、一般的に繊細な部分が強く表面に出ているHSPとは異なる特徴が多く見られます。
1.活動的で好奇心旺盛だけどすぐに疲れる
HSS型HSPは、常に刺激を求める傾向があるので、何事に対しても好奇心が湧いてきて、非常に活動的な特徴が目立ちます。そのため、好きなことを思いっきりやって元気はつらつという印象を持たれやすいですが、実は内側では人や外部からの刺激をダイレクトに受けて、1人になるとぐったりしてしまうほどに疲れてしまいます。
それでも、刺激を求めずにはいられないので、さらに疲れが溜まり、ある日突然外部の刺激をシャットダウンしたくなることがあると言われています。
2.やる気は人一倍あるけれど踏み出すのが怖い
HSS型HSPは、刺激を求めるため色々なものに興味が湧きやすい性質があります。そのため、「興味を持ったものを知りたい・やりたい」というやる気だけは人一倍あり、行動に移すために必要なことも理解できます。しかし、HSP特有の繊細さも併せ持っているため、色々と考えすぎて1歩が踏み出せない場合もあるのです。
やりたいことは次から次へと浮かんでくるのに、具体的な行動に移せないのは、本人にとってもストレスになります。行動に移すために、ありとあらゆる手段やリスクを想定し過ぎて、行動に移す前からなぜか分からない疲労感に襲われるという人もいるでしょう。
3.社交的に見えても小さなことで傷つき悩む
HSS型HSPは、活動的で人と関わるのが好きなので、一見するとストレスなんてないように見えるのですが、人から言われたちょっとした言葉にとても傷つき、いつまでも悩んでしまって抜け出せないという特徴もあります。人から言われた言葉をいつまでも引きずってしまい、徐々に自分に責任があるかのように自分を責めてしまいます。
人と関わる中では、当然傷つくというリスクもいくらかは想定しておく必要がありますが、そのちょうどいいバランスを自分で保つことがHSS型HSPの人は難しいのです。
4.大きなチャレンジをするが警戒心が強い
HSS型HSPは、人から見ると大変大胆なチャレンジを、いとも簡単にやってのけてしまう豪快さがあります。その反面、傷つきやすいという性質も同時に感じています。
たとえば、警戒心が非常に強く、思いつく限りのミスや失敗例などを自分の中でイメージし、疲れてしまったり一人で反省会をしたりして、必要以上に自分を追い込んでしまう傾向もあるのです。
5.すぐに人と仲良くなれるけれど距離をおきたがる
HSS型HSPは、外向的な要素があるので比較的誰とでもすぐに仲良くなれます。積極的にコミュニケーションを図ろうともするので、人から好かれることが多いです。
しかし、警戒心の強さやちょっとした相手からの言葉に強く傷つく性質もあります。そのため、最初はうまくコミュニケーションを取ることができるのですが、徐々に警戒心の方が強くなり、相手と距離をおこうとする行動をとり始めるケースがあるでしょう。
HSS型HSPは社会に適応するために備わった性質とも言える
HSS型HSPは、一般的なHSPと比べると外向的なので「社会に適応するのにそれほど困らないのでは?」というイメージを持たれやすいものです。しかし、本人の心の奥底には、HSP特有の繊細さや傷つきやすさというデリケートな感情が大部分を占めています。
そのため、本当は人一倍傷つきやすく、人とも積極的に関わらずに生きていければ幸せだという感情がベースにある場合も。
ただし、表面的には繊細さと相反する行動を常にしているので、まわりにも理解されにくいうえに本人も非常に負担が大きく、心身へのダメージははかりしれないと言えるのです。
HSS型HSPの人が生きやすくなるための方法や周囲の人への伝え方
最後に、HSS型HSPの人が生きやすくなるための方法や周囲の人への伝え方を紹介します。HSS型HSPの人が、少しでも自分らしく生きていくためには、周囲の理解が非常に大切です。
1.自分の感情に気づく
HSS型HSPの人は、繊細ゆえに人の気持ちを先回りして読み取り、嫌われないように傷つけられないように、相手の期待に応えようと無意識にしてしまう傾向があります。このように意識が常に外側へ向いていると、自分が今どう感じているかが分からなくなり、へとへとに疲れ切ってしまってから対処するようになるのです。
そのため、まずは自分の感情をしっかりと見つめ、あるがままを受け止めましょう。
2.自分の頑張れるキャパを正直に伝える
自分の感情に気づいたら、自分がどこまでなら頑張れるのかを見極めてください。相手の期待に応えるのではなく、「ここまでなら頑張れますが、これ以上は無理です」というように断ることも大切です。
相手に自分のキャパを伝えることで、自分自身もリミットが分かりやすくなるので、心身が壊れてしまう前の対処ができます。
3.疲れたことを伝え休息する
人付き合いや社会での活動をしている中で、疲れたと感じたらすぐに休息する時間を確保することが大切です。そのため、「疲れたので休みたいです」という気持ちを正直に伝え、自分のタイミングで休息するようにしましょう。
HSS型HSPの人は、自分の欲求のために活動的に動くのは抵抗がなくても、人からの誘いを断ったり期待に沿えない言動をしたりするのは苦手です。それゆえに、限界まで動き続けてしまう場合もあるので、前もって自分を休ませてあげる時間を確保できるようにしてくださいね。
まとめ
HSS型HSPは、好奇心旺盛で社交的に見えるがゆえに、繊細な部分が理解されにくい傾向があります。そのため、本人が限界まで頑張り続けてしまうケースも多いのです。HSS型HSPは外見からはなかなか理解されにくいので、できるだけ自分の状態を正確に把握し、それを人に上手に伝えることが大切になります。
参考URL
https://teals-marketing.com/hspblog/hss-type-hsp-features/
https://studyhacker.net/high-sensation-seeking
HSS型HSPとは?性格の特徴と対処法
執筆者プロフィール
精神保健福祉士、社会福祉士、認定心理士、心理カウンセラー
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者やその家族に対するカウンセリング・相談や支援を経て、現在はメンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。