うつ病の人に向いている職種、向いていない職種とは?

うつ病の人に向いている職種、向いていない職種とは?


うつ病になってしまった時、転職や退職を考える人は多いのではないでしょうか。

しかし、「果たして次の仕事はどんな職種にすべきか」で立ち止まってしまうケースも少なくありません。

うつ病は精神的な病。再就職した先で更にうつ病を悪化させれば、生死に関わる問題になる可能性もあるため慎重に考える必要があります。

では、うつ病の人に向いている職種、向いていない職種とは何でしょうか。

この記事では、うつ病の人に向いている職種や向いていない職種を安易にご紹介するのではなく、症状や原因を探りつつオススメできる仕事を考えてみたいと思います。

職場がうつ病を発症する原因やきっかけに

うつ病を発症する原因は様々なメディア、研究機関等が述べていますが、未だ原因がはっきりしているとは言えない状況です。

例えば、全く要因となる出来事が無かったとしても、脳内物質の分泌量などが引き金となるケースもあります。

過去の体験や現在の体験、本人の性格など、うつ病になるきっかけは多岐に渡るため何が原因になると一括りには言えないのです。

当サイトでも以前、うつ病になりやすい職場に当てはまる5つのチェックリストにてご紹介しましたが、下のグラフの調査結果が一つの参考になります。

医師専用コミュニティサイトMedPeerが運営するメディア「イシコメ」において、精神科・心療内科の医師211名を対象にアンケートを取った結果です。

【出典】イシコメ うつ病の休職・復帰について精神科医・心療内科医210人に聞きました

なんとプライベートなどの職場以外がうつ病の原因と答えた医師はたった7%。実に93%の医師がうつ病の原因が「職場」に関わる出来事であると答えています。

うつ病の当事者にアンケートを取って、「職場」が発症の原因という結果を公表するメディアは数多くあります。

医師でさえ職場が原因だとしているなら、やはり職場という環境における何らかの出来事や精神的重圧がうつ病の引き金になるのは疑いようのない事実と言えるでしょう。

では、職場がうつ病の原因であると確定した場合、今まさに働いている職場こそ向いていない職種とも言える部分が少なからずあるのではないでしょうか。

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うつ病の種類と具体的な症状とは?

実はうつ病には種類があり、「単極性うつ病」「双極性うつ病」に大別できます。

アメリカ精神医学会が作成した診断基準DSM-5においては「うつ病」とはっきり分類されているわけではなく、正確には以下のように分けられています。

双極性障害および関連障害群 抑うつ障害群
双極Ⅰ型障害 重篤気分調節症
双極Ⅱ型障害 大うつ病性障害
気分循環性障害 持続性抑うつ障害(気分変調症)
物質・医薬品誘発性双極性障害および関連障害 月経前不快気分障害
他の医学的疾患による双極性障害および関連 物質・医薬品誘発性抑うつ障害
他の特定される双極性障害および関連障害 他の医学的疾患による抑うつ障害
特定不能の双極性障害および関連障害 他の特定される抑うつ障害
特定不能の抑うつ障害

それぞれが非常に細かな症状で分類されていますが、ここでは一旦「双極性障害」と「抑うつ障害」という2つで考えていただければ差し支えないでしょう。

両者の主な症状は以下の通りです。

【双極性障害】
気分が落ち込む「抑うつ状態」と、気分が高揚する「躁(そう)状態」の両方が症状として表れる障害です。別名で「躁うつ病」とも呼ばれており、重度と言われる「双極Ⅰ型」と比較的に軽度と思われる「双極Ⅱ型」などに分けられています。発症のきっかけや原因は明らかになっておらず、今のところ「ストレス」「養育環境」「脳内物質」などが原因ではないかと考えられています。
【抑うつ障害】
躁状態はなく抑うつ状態のみが現れる障害で、一般的にうつ病という時はこの抑うつ障害を指すケースがほとんどです。双極性障害に対して片方の症状のみが現れるため、「単極性うつ病」とも呼ばれます。気分の落ち込みや不安といった精神的症状と、体のだるさや食欲減退といった身体的症状が見られます。発症原因はストレス、性格、脳内物質など様々な観点で研究されています。

【症状別】うつ病に向き不向きな職種

うつ病になる原因と具体的にどのように分類されているかなど見てきましたが、精神医学会ですら過去に何度も分類を変更してきています。

それほどうつ病という病気は複雑なものであり、一概に「向いている職種」「向いていない職種」は決められません。

また、職種という細かい視点で考えると、各業界、各会社で組織風土は全く違います。

やはり一つの職種で絞って「この仕事は向いている!(向いていない!)」と決めつけるのはナンセンスとも言えるのではないでしょうか。

そこで、うつ病になる原因や症状を鑑み、「業種」という少し大きな括りで向いている仕事と向いていない仕事を分けてみましょう。

【うつ病に向いている職種】
  • 機械、電機などの技術職
  • 美術、デザイナーなどのクリエイティブ職
  • 事務職
  • 運送関連職
  • 一部製造業
  • 清掃業
【うつ病に向いていない職種】
  • 営業職
  • 接客業
  • 管理職
  • 教員職
  • その他サービス業

上記は、主に対人関係があまり重要ではない仕事であるかどうかという分け方です。

特に抑うつの場合は、対人関係によるストレスや仕事への責任感で自分を追い込んでしまいがちです。

自分の腕が試されるクリエイティブ職や製造業の一部など、対人を気にする必要が無くても「ノルマ」が厳しくなる仕事もあります。

作業工程が決まっている淡々とした仕事や、そこまでノルマが厳しくない仕事というのも判断材料の一つと言えるでしょう。

職種の向き不向きを決めるにはまず自分自身を知る

「うつ病 向いてる仕事」とインターネットで検索してみると、似たような情報が非常に多くヒットしますが、ほとんどの記事が明確な根拠に欠けるのが現状です。

うつ病が発症した原因だけでなく、治療しやすい、または再発しにくい職種にするという点も忘れてはいけません。

総合医療メディア「QLife」が行った調査に以下のようなものがあります。

何が原因で、うつ病から回復しないと思いますか?

【出典】QLife うつ病患者1000名に聞いた「医者と薬をどう見るか」

うつ病になる原因は「職場」でしたが、治らない原因においては「自分の性格・悩み」が多くなっていますので、職種の向き不向きは、ストレスの有無や職場環境といった理由だけで決めるのは早計です。

うつ病で転職する際、今勤めている職種が自分に向いているかどうかは、まず自分の症状を自覚してから判断すべきです。

治療方法においても薬物療法とカウンセリングで大きく分けられるため、医師による診断も含めて最終的に決断するのが良いと言えるでしょう。

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