「SPIS」で体調の変化を見える化!セルフケアが障害者の離職率を下げる?!

「SPIS」で体調の変化を見える化!セルフケアが障害者の離職率を下げる?!

【出典】就労定着支援システム SPIS

障害者雇用における職場定着率のうち、精神障害者の半分ほどが1年以内に退職してしまうというデータがあります。

知的障害や身体障害であれば、苦手な事はある程度把握できますが、微妙な心の変化やちょっとしたストレスの積み重ねが症状を悪化させる精神障害者は、いくら合理的配慮といっても限界があります。

障害者雇用率は徐々に引き上げられていますから、精神障害者の職場定着率を上げるのは今後の日本企業において大きな課題となっていくでしょう。

そんな中、IT化が遅れているといわれる障害者福祉において「SPIS(エスピス)」というツールがあるのをご存知でしょうか。

SPISを活用すれば、本人によるセルフケアだけでなく社内においても適切な対応が可能になります。

では、SPISとは具体的にどのようなツールなのか。今回は就労支援ツールとして非常に有用なSPISについて詳しく解説します。

体調の変化を見える化する「SPIS」とは?

SPIS(エスピス)とは、大阪に本社を構える有限会社奥進システムが開発した就労定着支援システムです。

SPISは簡単な操作で日報などを入力して働く障害者の体調や精神状態の変化をグラフ化する仕組みになっており、支援機関や雇用事業主が配慮の参考にするだけでなく、本人自身も状態の変化を確認できるためセルフケアにも役立ちます。

例えば、精神障害者といってもうつ病や統合失調症、発達障害など実に様々な障害や症状があります。医師の診断により具体的な配慮方法が分かっていても、小さな変化や心の揺れにまで気付くことは困難です。

しかしSPISを活用すれば、その時だけでなく過去に何があってどのような変化があったかも把握できます。日々のストレスや管理者とのすれ違いを排除し、職場定着を促していこうというのがSPISの目的です。

【比較】障害者雇用における離職率と新入社員の離職率

障害者雇用において「職場定着率」という言葉がよく登場しますので、離職者が多いのは容易に想像できます。

では、実際のデータを「中学、高校、短大、大学卒」「障害者雇用」の別で見た、1年以内の離職率を比較してみましょう。

【出典】厚生労働省 新規学卒者の離職状況より筆者作成

障害の有無は不明ですが、一般的な離職率は高校卒以降が2割未満といったところで、大学卒となると1割程度しか離職していません。中学卒の離職率が高いのは社会経験などが浅いため致し方ない部分もあるでしょう。

対する障害者の1年以内の離職率を障害別で見てみましょう。

【出典】障害者職業総合センター研究部門 障害者の就業状況等に関する調査研究

上のデータは2015年のものですが、職場定着率が最も低いのが精神障害者の50.7%で、1年間で実に半数の人が退職していることになります。

定着率が最も高い発達障害者においても離職率にすると28.5%。一般の離職率と比較しても、高い割合で退職者がいるのがわかります。

やはり障害の有無は離職率に大きく関わっているのは疑いようもない事実です。

SPISの仕組みを体験「お試し版SPIS」の利用方法

ようやく障害者雇用が進んできた日本でも、まだまだ障害者の離職率は高い状況です。

合理的配慮に工夫を凝らす企業は多いものの、微妙な心の変化までサポートできないことが離職に繋がる一因となっている可能性があります。

そこで今回ご紹介するSPISで具体的に何ができて、どんなことに役立つのか実際の操作画面などを見てみましょう。

まず「日報」の画面です。自分で入力したチェック内容や簡単なコメントが一覧で表示されます。

日報の新規作成画面にて「出欠」「服薬情報」「就寝時間・起床時」を入力し、あとは体調や行動における各項目を「よい〜よくない」の4段階で選ぶのみ。

最後に簡単なコメントを入力すれば、下のグラフのような結果が表示されます。

各入力項目には「生活面」「社会面」「作業面」「その他」といった分類がされており、日々入力を続けると下のようにグラフ化して確認できます。

また、設定した地域の気温や気圧の変化もグラフで確認できます。身の回りの出来事だけでなく、気候の変化も体調や精神状態に少なからず影響します。

日報と各グラフに対して天候との関連性や傾向が把握できれば、別の配慮や障害が悪化する前のアプローチ方法なども検討しやすくなります。

各情報は本人と管理者、SPISの相談員しか見ることができません。プライバシーが保てますから、働く障害者も安心してSPISを利用できます。

セルフケアで離職防止!個人利用もできるSPIS

そもそも心の変化は言葉で伝えたり、具体的に把握したりするのは障害の有無に関係なく難しいものです。

SPISにおける最大のメリットは、やはり視覚的に本人の変化を捉えられること。視覚的に体調や心の変化を確認できれば本人がそれを自覚し、どう対処すべきか自分で判断できます。

SPISはセルフケアの手段として最適なツールと言えますが、SPISのメリットはそれだけではありません。

視覚的に本人の状況を確認出来るため、「最も本人に近い管理者が早めに対応できる」「産業医や外部の支援機関との連携が容易になる」といったメリットも生みます。

厚生労働省が発出する「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、労働者の心の健康保持は重要としています。

特に重要なのが「本人」「管理者「産業医」「外部支援機関」による4つのケアです。

SPISの公式サイトにも記載されていますが、この4つのケアを連携させるためにSPISは有用なツールとなるのです。

SPISはパソコンでもスマートフォンでも利用可能で、法人だけでなく個人でも特定の機関の賛助会員になれば利用できます。

気になる方はSPIS公式サイトより、一度デモ画面を試してみてはいかがでしょうか。

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