発達障害者にとって直そうと思っても直せない癖や症状は様々で、個別の特性により、仕事で大きな失敗をしてしまうケースも少なくありません。
だからといって諦める必要はなく、対策や工夫があれば今までより仕事がスムーズになり、生きづらさの解消にも繋がります。
今回は発達障害者が使える3つの仕事術と持っておくと便利なグッズなどをご紹介します。
「発達障害者は仕事ができない」と言われる理由
発達障害者は仕事ができないと言われるのは、その障害の種類により以下のような特徴があるためです。
- 驚くほど集中力がない
- 確認漏れやミスが多い
- 非常に忘れっぽい
- 話しながらメモができない
- メモしたことも忘れる
脳の問題ですので、努力や気合いでなんとかなるものではありません。だから障害なのです。
しかし上記だけが理由ではなく、「頑張るところを間違っている」のが原因になっているケースもあります。
例えば発達障害者の方は、以下のような経験がないでしょうか。
- 就寝時にスマートフォンで気になる記事や漫画を読み込んでしまって寝坊する
- 寝不足が原因で仕事や会議の内容が頭に入らず途方にくれてしまう
- チラシの封入などの単純作業で同僚とのおしゃべりが止まらなくなり全然終わらない
発達障害者の多くは、上記のような状況になると「遅刻しないように頑張ってるのに」「会議中に寝ないように頑張ってるのに」「仲間とのコミュニケーションを大事にしてるのに」と考えます。
ほとんどの人が頑張らなくても遅刻しませんし、会議に集中できます。もちろん喋りながらでも仕事を終わらせられるのです。
つまり、発達障害のある人の中には頑張っているところがズレているケースが多いのです。
あなたは家庭や地域活動、職場などで「遅刻が多い」とか「約束を守れない」「仕事が遅い」と言われたことがありませんでしょうか。
もし言われたことがあれば、障害だけでなく「頑張るところを間違っている」のも一つの原因かもしれません。
発達障害者が使える3つの仕事術
発達障害者の方は「自分の癖を直さなきゃ」と余計に自分を追い込んでしまいがちです。
しかし正しい対処法は、「無理をしない」「工夫をする」「やりたいようにやる」の3点に集約されます。
【仕事術その1】自分のペースに合わせた仕事を見つける
「毎日職場にいく」
「遅刻をしない」
「決まった時間に作業を終わらせる」
社会人にとって当たり前と思われていることばかりですが、その多くは産業革命時代に工場で働く従業員を効率的に働かせるために作られたルールです。
現在はインターネットが普及した第4次産業革命の真っ只中。必ずしも昔ながらのルールに従う必要はなくなりました。
朝起きられないなら、起きた時間から始められる仕事からでも始めてみましょう。
世の中の仕事は月給制や時給制ばかりですが、「雑貨づくり」「ブログ」「プログラミング」など自宅でできる成果報酬の仕事も多くなりました。
実際、書くのが得意でライターを本業にしている人も数多くいます。
あなたが社会人で当たり前と思っていることができないなら、「自分のペースに合わせた仕事を見つける」のが最初の一歩になります。
【仕事術その2】忘れない工夫をすれば仕事のミスも防げる
発達障害者は一時記憶能力が弱く、驚くほど忘れっぽいです。また、集中すると周りが見えなくなります。
外出先で携帯電話をどこかに置いたら必ず失くすと思ってください。失くなって困るものは「置かない」ということを徹底しましょう。
それでも失くしてしまうという時のために「二個持ち」をオススメします。家の鍵も二個、携帯電話も二台持ちします。
経済評論家の勝間和代さんはiPadを2台どころか部屋ごとに置いているそうです。
また、ポケットの多いカバンに整理して収納するのも止めたほうがよいでしょう。
視覚に入っていないものは無いのと同じですので、まずは容量の大きいカバンに小分けにせず放り込んでおきましょう。
必要なものは常に「目に見える」状態にしておくのが忘れない失くさないコツです。
【仕事術その3】好きな仕事を選ぶと辛くならない
職種や業務内容にもよりますが、できるだけ「仕事を選ぶ」と良いでしょう。
つまり、仕事を断るのを一つの手段として持っておくのです。
上司や責任者に自分が好きな仕事、失敗が少ない仕事を優先的に割り振ってもらえないか相談してみましょう。
また、休憩時間に仕事をしないと決め、残業も無しにします。
休めるときは休む、休みたい時は休むのは意外と心の余裕を維持できるものです。
もちろん会社員で安易に仕事を断れば周囲の信用を無くしますので、可能な範囲で上司や責任者に事情を話しておいた方が良いでしょう。
発達障害者もやり方次第で仕事が出来る!
東京オリンピックの行われる2020年には、自動運転車が実用化されると言われてきました。
実際どのくらい普及するかは不明ですが、少なくともAIやIoTの技術は確実に進歩していますし、インターネットが様々な事柄について人間をサポートしてくれるようになっています。
発達障害者にとって、AIやインターネットが普及し始めた第4次産業革命はチャンスの時代と言えます。
アナログなものも含め、以下のグッズや機能などがおすすめです。
- 物理的な鍵を必要としない生体認証キー
- 名前や顔を登録できるスマートフォンの電話帳や名刺アプリ
- 音声出力で予定やタスクを教えてくれるスケジュール帳アプリ
- 書いても消せるボールペン
- イヤーマフやサングラスなど感覚過敏向けのグッズ
視力が弱い人が眼鏡をかけるように、新技術や様々なアイディアによって発達障害者の弱い部分を補ってくれるグッズは次々と登場しています。
できないことをできるようにするのは、マイナスがゼロになっただけで、仕事上の評価には値しないのが現状です。
自分のやれることとやれないことに線引きし、苦手な部分はやり方を変えたりグッズを使用すれば、仕事でこれまで以上のパフォーマンスを出せるようになるでしょう。
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