リノベーション・コンバージョンによる老朽化施設の再生事例3選

リノベーション・コンバージョンによる老朽化施設の再生事例3選

現在の日本では、人口構成や社会情勢の変化、および施設の老朽化などに対応するため、公共施設等の長寿命化や有効利用等を目的としたさまざまな対策が実施されています。中でも新設や建て替えではなく、従来そこにあった場所や施設が持つ特徴を生かしたままより良いものとして再生させる「リノベーション・コンバージョン」に注目が集まっています。一般に、建物用途の変更を伴わない大規模改修をリノベーション、用途変更を伴うものをコンバージョンといいます。

場所や施設の再生に取り組む企業・団体3選

今回は老朽化した施設、またその役割を終えた建物などの再生に、様々な想いや願いを乗せて取り組む3つの企業・団体を紹介します。

1.一般社団法人go parkey×株式会Trive


2023年11月11日、東京都江戸川区松本第二児童遊園に、一般社団法人go parkeyと株式会社Triveとの共創プロジェクトによるバスケットアートコートがオープンしました。
一般社団法人go parkeyは、公園のバスケットコートのリノベーション活動を通じて日本により安全で綺麗な公園、地域交流の場を作り、スポーツ文化の普及を目指す団体です。
株式会社Triveは、笑顔あふれる未来社会の創造に向け、チャレンジを継続するビジネスエンジニア集団です。

現在日本には時代の変化や多様化するニーズに対してポテンシャルを発揮できない老朽化した公園施設が顕在しています。そこでgo parkeyは日本全国にある公園のバスケットコートを補修し、美術館レベルのアート作品に仕上げることで、子供達や地域の皆さんに安全で楽しい遊び場を提供していくことにチャレンジしています。
そして『まだ見ぬ誰かのやる気スイッチを押していくこと』 を社是として掲げるTriveが、企業活動を通してこの松本第二児童遊園がその拠点になればとの想いで協賛し、今回のオープンが実現しました。

オープニングイベントの”LOVE GAME”では、go parkeの海老原奨代表、ならびに今回アートワークを手がけたimaone氏、Trive岡本俊介代表取締役社長によるスピーチとテープカットが行われ、地域の子供達へのバスケクリニックが開催されました。imaoneはドイツ大使館やfacebook JAPANなどのアートワークを手がけた、世界を代表する日本人アーティストです。松本第二児童遊園のアートコートには、Triveロゴが配置され、魅力的な空間に様変わりしました。なお当日は、東京オリンピックでDJを担当したDJ YOUが会場を盛り上げ、アートコートに生まれ変わる素晴らしい瞬間を演出しました。

このアートコートプロジェクトが全国に根付くことで、子供たちが元気にバスケットボールを楽しむ姿があちらこちらで見られる日が来ることを願い、go parkeyとTriveは今もチャレンジを続けています。

● 松本第二児童遊園 〒133-0043 東京都江戸川区松本1丁目38
● imaone http://imaone.com/
● 一般社団法人 go parkey https://www.goparkey.com/
● 株式会社 Trive https://www.triveinc.com/

2.公共R不動産(企画・運営:株式会社オープン・エー/サイト運営元:R不動産株式会社)

公共R不動産は、全国から公共空間の情報を集め、それを買いたい、借りたい、使いたい市民や企業とマッチングするためのウェブサイトです。
公共施設活用の事例の一つに、静岡県沼津市の「泊まれる公園 INN THE PARK(インザパーク)」があります。もともと少年自然の家として長年親しまれてきた施設が使われなくなってしまったことをきっかけに、併設する広い公園に着眼し、この『公園にも泊まれる』、というアイデアをベースに施設のリノベーションだけでなく、公園内に宿泊可能な球体のテントを設置することを提案しました。※現在は別会社をつくって運営しています。

●泊まれる公園「INN THE PARK」 https://www.facebook.com/INNTHEPARK.JP
●公共R不動産 https://www.facebook.com/realpublicestate

3.株式会社フロッグハウス

株式会社フロッグハウスは、「眠ってる資源を再生して地域で新しい風を起こす」という理念の元リノベーションを専門に行う設計施工一貫の工務店です。
2024年4月に芦屋市に誕生した「うちぶん」は、図書館を併設する打出教育文化センターと、隣接する打出公園を一体化し、リノベーションにより街の「にぎわいの拠点」として生まれ変わった市の公共施設です。建物と公園の往来が増え、子供からお年寄りまで多世代が訪れています。図書館の本が全館持出し可能になり、本の移動や展示に使うブックトラックを地域の子供達と廃材で制作し、愛着を育むポイントも仕掛けています。

●うちぶん 〒659-0028 兵庫県芦屋市打出小槌町15-9
●株式会社フロッグハウス(当ニュース) https://froghouse.top/archives/14951

老朽化した施設、役割を終えた建物や場所を再生させることへの想い

たとえ老朽化したりその役割を終えたりしたとしても、場所や建物には今までそこを訪れたたくさんの人々の、大切な思い出がつまっています。場所や建物を、姿形を完全に壊すことなく再生させるということは、そういった思い出も守るということです。すべてはご紹介しきれないものの、こういった活動に熱い想いで取り組む企業は他にもたくさん存在しています。今回その活動に込められた想いの温かさに触れ、これからの日本にとってこのような働きかけがどれほど大切かについて改めて考えさせられました。皆様もぜひこの機会に、思いを馳せてみていただければと思います。

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