「就労B型」ってどんなところ?サービスや対象者について徹底解説

「就労B型」ってどんなところ?サービスや対象者について徹底解説


「就労B型ってどんな人が通っているの?」「病気の症状が不安だけど就労Bなら働けるかな?」と思われたことはありませんか?
この記事では、就労B型事業所のサービスや特徴について元サービス管理責任者がご紹介します。最後まで読むことで、今まで知らなかった就労B型のサービス内容がわかります。一緒に社会復帰を目指しましょう。

就労B型のサービスとは?

就労B型(就労継続支援B型事業所)とは障害者総合支援法上の就労系障害福祉サービス「就労継続支援」の1つです。就労継続支援は一般企業・団体での雇用が難しい方を対象に、就労と生産活動の機会を提供し、就労訓練やその他の必要な支援を行い、A型とB型の2つに分かれます。中でもB型は軽作業を中心とした就労訓練を行っています。

1.就労B型は雇用契約を結ばない「非雇用型」

就労継続支援A型は基本的に事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の時給が発生します。週に20時間以上就労訓練を受けるので社会保険に加入します。対して、就労継続支援B型は雇用契約は結びません。作業負担は比較的軽く、体調にあわせた通所が可能です。無理なく仕事に慣れていけます。

2.勤務日数や時間を相談できる

事業所によって違いはありますが、基本的に就労B型では、自分の障害や症状にあわせて働くことができ、最低利用時間という考え方はありません。例えば、「毎日午前中の2時間だけ」「月、水、金曜日は働こう」などの希望も、柔軟に相談に応じて対応してもらえるでしょう。少ない日数・時間での利用を検討している方も、事業所に相談されることをおすすめします。

また、作業途中でしんどくなった際の静養室・相談室(多目的ルーム)は完備されていますし、資格を持ったスタッフが常勤しているので、障害や病気をお持ちの方にも働きやすい場所です。
(参考:厚生労働省「地域の実情に合った総合的な福祉サービスの 提供に向けたガイドライン」「福祉サービスを総合的に提供する際に利用が想定されるサービスで挙げた高齢者、障害者、児童等の各福祉サービスの人員配置基準、設備基準について

就労B型事業所ではいくらもらえるの?

1.就労B型事業所では「賃金」ではなく「工賃」が支払われる

就労A型では雇用契約を結ぶので、雇用者には労働基準法に基づく「賃金」が支払われます。対して、雇用契約に基づかない就労B型では、生産活動を行った対価として「工賃」が支払われます。

2.就労A型とB型の賃金・工賃の比較

令和3年度における就労継続支援A型とB型の平均賃金・工賃は下記の通りです。

<令和3年度の平均賃金・工賃>

 

就労継続支援A型事業所 81,645円(月額、前年比102.5%)
926円(時間額、前年比103.0%)
就労継続支援B型事業所 16,507円(月額、前年比104.6%)
233円(時間額、前年105.0%)

(参考:厚生労働省令和3年度工賃(賃金)の実績について

少額で驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。実績(平均工賃月額)の算出に当たっては、毎年わずかながら増額で推移しています。実績が高い事業所が一概に良い事業者ということではなく「重度の障害がある方や重い精神障害を抱えた方など障害特性により利用日数や作業時間が少なくならざるを得ない方を多く受け入れている事業所」という考え方もあるでしょう。

工賃の平均額が上がることは一見喜ばしいことのようですが「障害特性の強い方を排除することに繋がる」という問題も含んでいることも事実です。反対に「高度な作業を行う高工賃の事業所をもっと評価してほしい」といった声もあります。

どのような考えをもって運営をしている事業所なのか、自分に合った作業所を選ぶことの大切さがわかりますね。まずは、情報を集めて自分にあった事業所を探しましょう。

3.自分に合った作業ができる

事業所によって生産活動の内容は全く違いますが、比較的簡単な軽作業を自分の出来る範囲から始められます。障害特性や得意なことを支援員と相談して作業内容を決定し、ご自身に合った作業をマイペースで進めていくことができます。

例えば、重いものが持てない方にはバネ部品の組み立てや、シール貼りの作業をしていただき、力仕事がお得意な方には大きな段ボールを運んでいただいたりと、その方に応じた作業をご提供しています。障がいがある方も無理をせずに働けるのが就労B型の特徴です。

就労継続支援B型事業所は、サポートを受けながら、仕事で必要な能力・スキルを身につけていく就労訓練の側面と、生産活動による対価を工賃として受け取る側面があります。

就労B型事業所はどんな人が使えるの?

就労継続支援B型は、障害や難病などがあり、主治医から事業所の利用を承認され、指定された要件に当てはまる方が利用できます。

具体的には
・一般企業で就労していたが、年齢や体力の面で働き続けられなくなった方
・50歳以上の方
・障害基礎年金1級に該当している方
・就労移行支援事業を利用したものの、就労契約に結びつかず、引き続き就労訓練を受ける方
などです。
(参考:厚生労働省障害者福祉施設における就労支援の概要

上記のように、就労経験がある、就労移行支援事業所を利用していたことがあるなど、条件が定められています。しかし、就労B型事業所の利用については、臨機応変に対応される部分もあり、自治体によっても、要件が異なります。まずは、就労B型事業所の利用を考えていることを主治医に相談したり、具体的な要件について自治体の窓口(障害福祉課など)に相談しましょう。

就労B型事業所のサービス利用料と利用期間

次に利用料と利用期間を見ていきましょう。

1.サービス利用料

就労継続支援B型の利用料金は、全額負担ではありません。自治体からの補助金で9割が賄われており、サービス利用者の負担は1割です。自治体や事業所によって異なりますが、自己負担額は日額500円〜600円程度でしょう。所得(世帯世帯)年収によって、自己負担無く利用できる方も多くいらっしゃいます。

私の勤めていた施設では約8割の方が無料でサービスを利用されていました。具体的な条件や利用料は、自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の窓口(障害福祉課など)に相談・確認してください。

2.利用期間

就労継続支援B型には利用期間に上限は定められていません。ゆっくりと時間をかけながら、就労経験を積み、トレーニングを重ねることができます。一般企業の定年退職の65歳を越えてから初回の利用契約を結ぶことはありませんが、生活を整えることや安定して通所することを目的として長く通われる方もいらっしゃいます。

就労B型事業所の雰囲気ってどうなの?

労働対価としての賃金を意識するというよりは、ゆっくりと生産活動をしながら作業経験を積む場所です。生活を整えるために利用されている方もいらっしゃり、イライラした雰囲気は少なく和気あいあいとした雰囲気の作業所が多いように感じます。

反面、十分に就労の能力がある利用者もいらっしゃいますが、作業所が安心して働ける場所になっていて就労への意欲を持ち続けるのが難しくなってしまうことも否めません。ご本人様の気持ちは尊重しつつ、管理者や支援員との面談等で解決を図るようにしています。

長く通い続けるためにも、見学の時間は惜しまず、自分に合った作業や一緒に働く仲間やスタッフの雰囲気が自分に合うなぁと感じる事業所を選びましょう。

就労B型で自己実現を叶えよう

生活を整えるために短時間利用される方も、安心できる環境で能力を最大限に活かして毎日いきいきと働かれている方もいらっしゃいます。いずれにしても、専門のスタッフのサポートを受けながら、それぞれに合った働き方を通じて自己実現を叶えていくサービスが就労B型です。社会復帰の一歩として就労B型施設の利用を検討されてはいかがでしょうか。

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