国家公務員障害者選考試験に受かったら仕事内容や給料はどうなる?

国家公務員障害者選考試験に受かったら仕事内容や給料はどうなる?


2018年に募集を開始した「国家公務員障害者選考試験」。国家公務員というと難解な試験や仕事内容のイメージを持っている方も少なくないと思います。

実際、国家公務員として働く障害者の職務には主に事務系が多く、勤務先によって専門的な仕事もあります。

そこで、今回「国家公務員障害者選考試験に受かった後の仕事内容や給料」はどうなるのかを調査し、実際に国家公務員として働く障害者のクチコミや病欠に関する法律なども併せてご紹介します。

国家公務員の障害者はいくら給料をもらっている?

国家公務員障害者選考試験で募集されているのは、主に事務などを行う「一般職員」です。

人事院のホームページで開示されている「国家公務員障害者選考試験」の概要には、給与について以下の記載があります。

採用当初の額は 148,600 円(行政職俸給表(一)1級5号俸)が基本となり、採用前の経歴に応じて増額されます。

【引用】国家公務員試験採用情報NAVI

国家公務員の給料は、「一般職の職員の給与に関する法律」と「特別職の職員の給与に関する法律」に分かれて正式に定められています。

「行政職」というのは省庁等で働く一般職員の中の一つ。また「俸給」とは、一般企業で言うところの「基本給」です。

つまり、上記に記載された国家公務員として働く障害者の給料は、「一般職の職員の給与に関する法律」の「行政職基本給」の表「1級5号俸」にある「14万8,600円」になり、その他は経歴によって増額されるという仕組みです。

俸給表の「号」は毎年4~5号ずつ昇給すると言われ、「級」は仕事を任される職務によって変更されます。行政職俸給表は以下のページからご確認いただけます。

【参考】一般職の職員の給与に関する法律 行政職俸給表

また、国家公務員は障害者かどうかにかかわらず、仕事内容により給与に手当が付きます。

・扶養手当
・住居手当
・通勤手当
・地域手当
・休日給
・超過勤務手当
・賞与(期末手当、勤勉手当)
など

他にも特殊な職務だと「特殊勤務手当」や「研究員調整手当」など様々な手当がありますが、国家公務員の障害者雇用の場合は概ね上記の手当が付くものと考えられます。

では実際に国家公務員になった障害者の給料はどのくらいなのでしょうか。俸給と手当があるため正確な回答は難しいところですが、以下のようなクチコミがあります。

こちらの方の場合、俸給と手当がついて29万5,000円との報告。初任給で30万円近くの給料が出れば、給与面では悪くないのではないでしょうか。

公務員の障害者が行う仕事内容

昨年から募集されている国家公務員の障害者選考試験は、「定型的な事務をその職務とする係員を採用するための試験」となっています。

つまり、「定型的な事務をその職務とする係員」として働く一般職員という仕事内容です。

【出典】障害者選考試験|国家公務員試験採用情報NAVI – 人事院

定型的な事務というと「書類整理やデータ入力、シュレッダーのようなしか仕事はないのでは?」と思われるかもしれません。

確かに事務の募集は多くありますが、必ずしも簡単な事務だけとは限りません。各省庁で募集していた業務内容を一部ご紹介しますのでご覧ください。

農林水産省
・庶務(出勤簿や文書管理、旅費・謝金の支払業務、書類整理など)
・入力・集計(業務統計等のデータ入力や集計など)
・資料作成(印刷や配付、PDF化など)

【参考】2019年度障害者選考試験 職務内容等について:農林水産省

国税庁
・納税者サービス(納税者の電話や面接等による税務相談)
・税務調査(納税申告書の内容について正誤の調査、確認)
・管理運営、徴収(国税債権管理や未納税の税金を徴収)

【参考】業務内容|国税庁

防衛省
・人事管理の検討や人事記録の整備など
・文書管理や出勤簿、休暇簿の管理

【参考】2019年度障害者選考試験 職務内容等について

金融庁
・給与や旅費などの支払業務  
・会議設営と運営
・データ入力や集計
・物品管理
・郵送物仕分けや集配

【参考】2019年度障害者選考試験 職務内容等について – 金融庁

一般企業による障害者雇用の仕事は「名刺作成」や「書類整理」、「資料のデータ化」などの簡単な作業が多いと言われています。

ただ上記の通り、国家公務員として働く障害者の仕事内容は、入省した先により「人事に関わる業務」や「統計業務」、「税金の問い合わせ業務」といった専門的な仕事内容も募集されています。

他省庁の業務内容は以下より確認できます。興味のある業務がないかぜひ探してみてください。

【参考】採用予定機関の職務内容等について – 人事院

公務員になった障害者のクチコミ

公務員として障害者が働くと給料、仕事内容ともに充実しそうですが、注意しなければいけないのが「体調の変化」。やはり本人が働く意思を強く持っていても、障害の特性や自分の体調との付き合いは大事になるでしょう。

では、実際に国家公務員となった障害者は特別な問題もなく働けているのでしょうか。実際に公務員として働くことになった障害者などのTwitter上のクチコミをご覧ください。

これからの新生活に向けて決意を新たにされる方もいれば、国家公務員として働き始めて体調を崩されてしまった方もいます。

これらのクチコミを見る限り、障害者が国家公務員として働く職場では、障害に対する一定の配慮があると言えるでしょう。

公務員を目指す障害者は自分の体調との付き合い方が重要

一般的な国家公務員試験は、一次選考にて「専門試験」「基礎能力試験」「作文試験」という3つをクリアする必要がありますが、昨年から始まった国家公務員障害者選考試験では、高度な知識を要する専門試験は実施されません。

専門試験がない分、国家公務員になりたい障害者にとって入省のハードルは低いと言えますが、先程申し上げた通り、途中で体調を崩してしまうケースがあるのも事実です。

国家公務員は休職後1年が経過すると無給扱いとなり、休職後3年経過すると免職となります。また、国家公務員法の第78条では、国家公務員の免職について以下のような定めもあります。

(本人の意に反する降任及び免職の場合)
第七十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 その他その官職に必要な適格性を欠く場合
四 官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

【引用】国家公務員法

つまり、医師の診断により職務の継続が難しいと判断された場合、免職になる可能性があるということです。

障害に対してどのような配慮があるかは勤務先により異なりますが、国家公務員として障害者が働くなら、休職という事態にならないよう本人の体調管理が重要と言えるのではないでしょうか。

障害者向け国家公務員試験とは?受験資格、給与、仕事内容など

執筆者プロフィール

TOPへ