前編に引き続き、プリンセス天功さんへのスペシャルインタビュー企画の後編をお届けいたします。（前編はこちらから。聞き手：福祉.tv 公式YouTubeチャンネルナビゲーターりんか）
“魔術”に込められたもの
子供の頃、私は身体が非常に弱く、ずっと子供病院に入院していました。その経験から、具合が悪い子供たちがどれだけ大変かを深く理解しています。
例えば、朝から晩までの注射や、その注射の痛さ。本当に苦痛でした。
退院後も食事がままならなかったのですが、母は廊下の暗い角で「私は魔法使いだよ」と言い、空から魔法のクッキーを出してくれたんです。これが非常に栄養価の高いクッキーだったんです。本当はポケットから出していたんでしょうけれど、暗かった事もあり私には本当の魔術のように見えました。母のこの工夫が私を助けてくれたんです。
このような創造的な支援は、言葉の魔術としても非常に効果的です。現代の日本でも、このようなアプローチを取り入れたコマーシャルが増えていますが、実際にこれを実行する人はまだ多くありません。一歩を踏み出すことができれば、人々は「これが大切だ」と感じることができるでしょう。そうした気付きと実行が広まれば、日本の優しさがもっと認知されるはずです。
海外からも日本のこうした取り組みは評価されていますが、もっと多くの人がこの良さを実感し、国内外でさらに良い影響を及ぼすことができると思います。
理想の福祉社会のイメージを教えていただけますか？
皆さんが支援などを「普通」だと感じる形で生活できることが理想です。私はアメリカでそのような環境にほとんどいましたし、動物が人間に代わってできないことを行ってくれる世界に身を置いていたので、動物の存在がいかに心に影響を与えるかを実感しています。
例えば、猫を飼っている人は認知症になりにくいと言われていますが、動物が持つ力は非常に強いものです。そのため、動物の力を借りたいとは常に思っていますね。
今後支援を考える方へのメッセージやアドバイスをいただけますか？
確かに、第一歩を踏み出すのは大変ですが、その一歩を踏み出す方が最も貴重な存在になります。もし「何か新しいことをしてみようかな」と考えている方がいれば、福祉の分野へ一歩踏み出してみることをお勧めします。そうすることで視野が広がり、まだ知らない多くの世界を発見できるかもしれません。一歩踏み出して、新たな可能性を探求してみてください。
福祉施設からプリンセス天功さんへの質問コーナー
1.イリュージョニストとして活躍している中で、どうして福祉に携わろうと思ったのですか？
やはり、子供の時から父親母親、それからアメリカのお父さんお母さんからの教えがありましたので、福祉というものは1番大切なことだという基本的な教えに従って始めたのが最初でした。ですけど、福祉に携わるようになって今はもう「普通になった」という感じです。
日常の中で考えることは当たり前だし、そういうことは普通なんだというふうに思いました。福祉に関わることは普通の事であり、当然、自然なことなんだと思います。
2.イリュージョンで生死に関わる失敗があったそうですが、その後トラウマや恐怖心はなかったですか？
私は救急車で運ばれたことが8回程あって、死にそうになったことも5回ぐらいあるんです。この世界、テレビ局のプロデューサーから大脱出する時に必ず「死ぬな」「だけれどもギリギリのところをいけ」と言われます。エンターテイメントとして、私が死んでしまったらテレビ番組放映できないですよね。だから、爆発等の演出は基本ラインを守ってギリギリにやるんですが、初代引田天功さんからの「冒険王」みたいな形のものを引き継いでいるので、実際にやるという形です。
トラウマも確かにあって「嫌だなぁ」と思うことは何度もあるんですけど、でもマネージャーや金庫番に「次の日、あなた公演があるんですけど。やりますよね？」と言われると、一応契約書は「終身」になっているので、「はい、やります」というしかないんです。
髪型やメイク等といったものも全部契約通りにして、変えちゃいけないんです。身長もボディラインも変えちゃいけないのですが、身長はちょっと伸びてしまったんです。身長を小さくすることはできないので、ハイヒールを履いて変えたりしましたね。
そういう事をやっていて、もう30年前から今までで1日も休みがないんです。だから、もうその辺は振り返らないようにして、毎日楽しく自由に進んでいってます。
3.人生で一番感動したことは？
浜名湖大脱出の時に失敗してしまった事があって。船がぶつかって爆発して、私は耳が聞こえなくなってしまったんです。息もできなくて、浜名湖に沈んでしまったんですよね。その時はヘリコプターで見つけてもらったんですけれども、フランスから来ていたレスキュードッグのワンちゃんが湖に飛び込んできてくれて、レスキューの方と一緒に助けてもらったんです。
「助けてもらえた！」という事とか「そういうことってあるんだなぁ」と感動しました。不思議なことがいっぱいありましたね。
4.何をしている時が、自分が一番輝いていると思いますか？
やっぱり動物と触れ合ってる時が一番輝いてると思います。テレビ出演や公演のビデオを見返すと、動物と一緒の時の私の顔が全く違いますね。まるで「こんな顔をしているんだ」とか「こんなに可愛いんだ(笑)」と新しい自分を発見します。
イリュージョンの時は全てが計画通りで、表情も含めてすべてが決められているんです。アメリカでは言葉遣いからボディランゲージまで、すべてが定められており、決められた枠を逸脱すると契約違反になるため、常に気をつけています。それでも、私が引田天功、プリンセス天功としてのラインを守りながら活動している中で、キング（ホワイトライオン）と触れ合っている時が、やはり一番の輝きを放っていると感じています。
5.誰でもできる支援って何がありますか？
一般の方は時に行動を難しく考えがちですが、実際はとてもシンプルです。例えば、道を歩いていてお年寄りが困っているのを見たら、荷物を持ちましょうか？と尋ねることから始めてみましょう。また、電車の中で席を譲ることも、小さな親切の一つです。このような小さな一歩を踏み出すことが、大きな喜びにつながりますよね。
家族や友人にその日の行動を話すと、「すごいね」と言われ、それが次に繋がる動機になります。だから、何も考えずにまずは親切に行動することが、とても重要だと思います。それが次々と新たな一歩へとつながっていきます。
6.モチベーションの保ち方を教えてください。
ストレスを溜めないことが大切です。私はストレスがある日でも、寝る前に「あぁ、今日は楽しかった」と一言言ってから寝るんです。そうすると、布団の中でいつもニコニコしながら眠れるんですよ。自分自身のモチベーションを大切にし、自分を大事にすることが、本当に重要だと思います。
7.福祉に対する考え方で、日本と海外との違いはありますか？
あります。全く違いがありますね。それは すごく感じますね。例えば、海外では何かを決定する際にすぐに「OK」と答えるのが一般的ですが、日本ではしばしば大人が「その案件は持ち帰って検討します」と言います。このような文化的な違いが、海外経験を持つ日本人にとっては特に顕著かもしれません。
もし機会があれば、海外の福祉について学ぶことも大切だと思います。そうすることで、日本と海外の間の架け橋となり得るからです。
8.障害を持つ人への差別や偏見は無くなってきたと思いますか？
思います。かなり無くなってきましたね。ただ、SNSやインターネット上で酷い事を書く方は、暇な時にその行動してしまうことがあると思います。それが気になる方は、そういったネガティブな内容を見ないようにした方が良いでしょう。全体として、ネガティブなコメントにあまり気を取られず、それを気にしないで過ごす方が良いと思います。
まとめ
今回は2週に渡ってプリンセス天功さんのスペシャルインタビューをお届けしました。
世界中での活動や、イリュージョニストとしての裏話などをたくさん聞かせていただくことが出来ました。福祉.tvでは今後も様々な社会貢献活動をされている方や応援する企業のインタビューを行っていきたいと思います。
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≫質問をいただいた福祉事業所
就労支援トライズ大通、UIL大手町/広島駅前/大通
【プリンセス天功さんスペシャルインタビュー】世界中で活動されている社会貢献活動について深掘りしてお話を伺いました！(前編)
≫インタビューは福祉.tv公式YouTubeチャンネルにて動画でも公開しています。
執筆者プロフィール
福祉サポートをしていただく企業の取り組みや、福祉を必要とする方々の活躍の様子など、福祉に関わる多様な情報を紹介しています。
