障害年金とは?対象者・金額・申請手順をわかりやすく解説

障害年金とは?対象者・金額・申請手順をわかりやすく解説

障害年金は、病気やけがによる生活・仕事への制限があり、初診日・保険料納付・障害の程度などの要件を満たす方が受け取れる公的年金です。

初診日に加入していた年金制度などによって、請求できる年金が決まります。厚生年金加入中に初診日がある方は、1級・2級に該当すると障害厚生年金と障害基礎年金をあわせて受け取れます。

2026年度の障害基礎年金2級は、年額847,300円です。この金額は1956年4月2日以後生まれの方のもので、子の加算は含みません。

この記事では、年金の種類、受給要件、必要書類、相談先を紹介します。
情報確認日:2026年10月12日。掲載金額は2026年度(2026年4月分〜2027年3月分)のものです。

障害年金の2つの種類

障害年金の種類は自分で選ぶものではありません。障害の原因となった傷病の初診日に、どの年金制度に加入していたかなどで決まります。

項目 障害基礎年金 障害厚生年金
初診日の条件 国民年金加入中、20歳前の年金制度に加入していない期間、または国民年金の被保険者でなくなった後の60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる期間など 厚生年金保険加入中。20歳未満で加入していた方も含みます
対象等級 1級・2級 1級・2級・3級。これより軽い一定の障害には、障害手当金(一時金)の制度があります
年金額 等級などに応じた定額。対象となる子がいる場合は加算があります 報酬比例の年金額が基本。1級・2級は条件に応じて配偶者の加給年金が加算され、障害基礎年金もあわせて支給されます

老齢基礎年金を繰り上げて受給している場合などは請求に制限があります。過去の共済加入歴や古い初診日がある場合も、年金事務所などで適用される制度を確認してください。

2026年度の障害基礎年金額

以下は子の加算を含まない年額です。月額換算は年額を12で割って四捨五入した目安で、毎月の振込額ではありません。

等級 1956年4月2日以後生まれ 1956年4月1日以前生まれ
1級 年額1,059,125円(月額換算約88,260円) 年額1,056,125円(月額換算約88,010円)
2級 年額847,300円(月額換算約70,608円) 年額844,900円(月額換算約70,408円)

子の加算

受給者に生計を維持されている18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の状態にある子が対象です。単に障害者手帳を持っているだけで対象になるわけではありません。

1人目・2人目は、それぞれ年額243,800円。3人目以降は、1人につき年額81,300円が加算されます。

障害厚生年金の金額

障害厚生年金自体の年額は、次のように計算します。

等級 障害厚生年金の計算
1級 報酬比例の年金額×1.25+対象となる配偶者の加給年金額
2級 報酬比例の年金額+対象となる配偶者の加給年金額
3級 報酬比例の年金額。最低保障は年額635,500円(1956年4月1日以前生まれの方は633,700円)

1級・2級では、上記に加えて同じ等級の障害基礎年金をあわせて受け取れます。3級には障害基礎年金はありません。

報酬比例の年金額は、過去の標準報酬月額・標準賞与額や加入期間をもとに計算します。計算対象の加入期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。障害認定日の属する月より後の加入期間は、計算の基礎に含みません。

配偶者の加給年金額は年額243,800円で、原則として受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者が対象です。ただし、配偶者が一定の加入期間に基づく老齢厚生年金などを受け取る権利を持つ場合や、障害年金を受け取っている場合は支給停止になります。対象となるかどうかは窓口で確認してください。

障害手当金は年金とは別の一時金

厚生年金加入中に初診日があり、初診日から5年以内に傷病が治った、または症状が固定したときに、3級より軽い一定の障害が残った場合は、障害手当金の対象になることがあります。保険料納付要件や他の年金の受給状況などの条件があるため、年金事務所で確認してください。

「手帳の等級」と「年金の等級」は別

障害者手帳と障害年金は別の制度で、等級の判定基準も異なります。手帳がなくても障害年金を請求でき、手帳があっても必ず受給できるわけではありません。手帳の等級だけで対象外と判断しないでください。

障害年金を受けるための3つの確認事項

基本となるのは、初診日の条件、保険料納付要件、障害の程度です。20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合などは、例外があります。

1:初診日の条件を確認する

初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。同じ傷病で転院した場合は、原則として最初の医療機関を受診した日になります。診断名が確定した日や、現在の病院を初めて受診した日と一致するとは限りません。

受診した医療機関名、受診時期、転院歴を整理し、初診日の年金加入状況を窓口で確認してください。

カルテが残っていない、医療機関が閉院したなどの事情があっても、ほかの資料で初診日を確認できる場合があります。「受診状況等証明書が添付できない申立書」と、お薬手帳・診察券・医療保険の給付記録・第三者の申立書などの資料について窓口に相談してください。資料を提出すれば必ず初診日が認められるわけではありません。

2:保険料の納付要件を確認する

初診日の前日時点で、原則として次のいずれかを満たす必要があります。

原則:初診日のある月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせて3分の2以上あること。納付済期間には厚生年金加入期間なども含みます。承認された学生納付特例・納付猶予の期間も、納付要件の対象になります。一部免除の期間は、免除されていない残りの保険料を納付していないと未納扱いになります。

特例:初診日が2036年3月31日までにあり、初診日に65歳未満で、初診日のある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。

初診日の後に未納分を納めれば、納付要件を満たせるとは限りません。判断の基準は初診日の前日です。古い初診日には異なる納付要件が適用される場合もあるため、年金記録で確認してください。

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。ただし、この障害基礎年金には本人の所得による支給制限があります。20歳未満でも、厚生年金加入中に初診日がある場合はこの扱いとは異なり、納付要件の確認が必要です。

3:障害の程度と請求方法を確認する

障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級の基準で審査します。病名だけでなく、障害の種類に応じた診断書などで判断します。

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。その前に傷病が治った、または症状が固定した場合は、その日になることがあります。傷病や治療内容による特例もあるため、初診日だけで障害認定日が必ず決まるわけではありません。

障害認定日による請求:障害認定日に対象等級の状態にあれば、原則としてその翌月分から受給できます。請求が遅れた場合、過去の年金は原則として5年を超える分が時効となります。

20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合は、障害認定日と20歳に達した日のうち、遅い日の障害状態を確認します。要件を満たすと、その日の属する月の翌月分から受給できます。

事後重症による請求:障害認定日に対象等級に該当せず、その後に悪化して該当した場合の請求です。請求書は65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があり、支給は請求日の翌月分からです。悪化した時点まで自動的にさかのぼる制度ではありません。老齢年金の繰上げ受給をすると事後重症請求ができなくなるため、繰上げを検討している方は先に相談してください。

申請手順と必要書類

ステップ1:書類を取り寄せる前に窓口へ相談する

障害年金は、窓口では「請求」と呼びます。まず初診日、加入制度、納付要件、請求方法を確認してください。

障害基礎年金:原則として住所地の市区町村の国民年金担当窓口へ提出します。ただし、初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所または街角の年金相談センターが提出先です。

障害厚生年金:年金事務所または街角の年金相談センターへ提出します。共済組合などの加入歴がある方は、提出先を事前に確認してください。

初回相談には、基礎年金番号が分かるもの、本人確認書類、受診歴をまとめたメモなどを用意してください。年金事務所の窓口相談は事前に予約すると利用しやすくなります。

ステップ2:必要な書類を確認する

書類は請求方法や家族の状況によって異なります。以下は主な書類で、全員がすべてを提出するわけではありません。

書類 準備方法・注意点
年金請求書 窓口または日本年金機構の公式サイトで、請求する年金に対応した様式を入手します
障害年金用の診断書 所定の様式で医師などに作成を依頼します。必要な診断書の時期・枚数は請求方法で異なります
受診状況等証明書 初診時と診断書作成時の医療機関が異なる場合などに、初診日の確認のために用意します。取得できない場合は窓口へ相談してください
病歴・就労状況等申立書 発病から現在までの受診歴、生活・就労の状況を本人などが記入します
生年月日・家族関係・生計維持関係などを確認する書類 戸籍や住民票、所得確認資料など。マイナンバーの登録・記入などで省略できる書類があります
本人名義の振込先口座が分かるもの 通帳やキャッシュカードなど。公金受取口座を利用する場合などは添付を省略できます
マイナンバー・本人確認に関する書類 窓口で必要な組み合わせを確認してください
状況に応じた追加資料 検査資料、交通事故に関する書類、子の障害状態を確認する診断書などが必要になる場合があります

ステップ3:必要な時期の診断書を依頼する

障害年金用の診断書は、障害の種類に応じて8種類の様式があります。診断書代を支払う前に、様式・現症日(障害の状態を確認する日)・必要枚数を窓口で確認してください。

障害認定日による請求では、原則として障害認定日から3か月以内の現症の診断書を用意します。障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、請求日前3か月以内の現症の診断書も必要です。事後重症による請求では、原則として請求日前3か月以内の現症の診断書を用意します。20歳前傷病などには別の取扱いがあるため、個別に確認してください。

作成費用は医療機関によって異なります。金額と作成にかかる日数は、依頼する医療機関へ確認してください。

日常生活で難しいこと、家族などから受けている援助、職場の配慮を具体的に整理し、事実を主治医に伝えてください。

ステップ4:病歴・就労状況等申立書を作成する

受診の経過、症状の変化、働き方、日常生活での支障を時系列で記入します。良い日の状態だけでなく、継続して必要な支援も記載してください。診断書と記載内容が異なる場合は、事実関係を確認してください。

ステップ5:提出し、結果を確認する

必要書類をそろえて提出します。追加の資料や医療機関への照会が必要になる場合があるため、審査が終わる時期を一律には断定できません。提出時に処理期間の目安と連絡方法を確認してください。支給決定の場合は年金証書など、不支給の場合は決定通知が届きます。

不支給の決定に納得できないとき

まず通知に記載された理由と不服申立ての案内を確認してください。

審査請求:決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官へ請求できます。

再審査請求:審査官の決定にさらに不服がある場合は、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に、社会保険審査会へ請求できます。

その後に障害が重くなった場合:初診日・納付要件などを満たしていれば、事後重症による請求が可能な場合があります。障害の程度が重くなっても、初診日や納付要件の問題が自動的に解消するわけではありません。

額改定請求:すでに障害年金の受給権があり、障害が重くなった方が等級・年金額の見直しを求める手続きです。不支給になった方の再請求とは異なります。原則として受給権の発生日または障害の程度の診査から1年を経過した後に請求でき、一定の障害状態では例外があります。年齢などによる制限もあるため、窓口で確認してください。

社労士への依頼という選択肢

障害年金は自分で請求できます。書類の準備や受診歴の整理、手続きの代理を依頼したい場合は、障害年金を扱う社会保険労務士へ相談する方法もあります。

費用は事務所や依頼内容によって異なります。着手金、支給決定時の報酬、さかのぼって支給された場合の報酬、実費、消費税、不支給時や途中解約時の扱いを、契約前に書面で確認してください。依頼すれば必ず受給できるわけではありません。

よくある質問

Q1:働いていても受け取れますか?

働いていることだけで一律に対象外になるわけではありません。特に精神障害・知的障害などでは、仕事の内容、勤務状況、職場で受けている援助、療養状況、日常生活への影響などをあわせて判断します。

なお、20歳前の年金未加入期間に初診日がある障害基礎年金には、本人の所得による支給制限があります。働いていることと、所得による支給制限は分けて確認してください。

Q2:障害者手帳がなくても請求できますか?

請求できます。手帳の所持は障害年金の一律の受給条件ではありません。年金の受給要件と認定基準で審査します。

Q3:将来の老齢年金に影響しますか?

障害年金を受け取ること自体を理由に、老齢年金が一律に減るわけではありません。ただし、国民年金第1号被保険者が障害基礎年金などの1級・2級の障害年金による法定免除に該当すると、免除期間は老齢基礎年金の額に影響します。届出が必要です。

保険料を追納していない法定免除期間は、2009年4月以降の分なら全額納付時の2分の1、2009年3月以前の分なら3分の1が老齢基礎年金の額に反映されます。追納や納付の申出については、窓口で確認してください。

65歳以降は、障害基礎年金と本人の老齢厚生年金をあわせて受け取る選択肢があります。一方、障害基礎年金と老齢基礎年金は同時には受け取れません。選択できる組み合わせと金額を年金事務所で確認してください。

相談できる窓口

年金事務所・街角の年金相談センター:障害年金の制度や請求手続きについて相談できます。窓口相談の予約受付専用電話は0570-05-4890です。相談料は無料ですが、電話の通話料はかかります。

市区町村の国民年金担当窓口:障害基礎年金の相談・手続きを扱います。初診日が第3号被保険者期間中の場合などは、提出先が異なります。

相談支援事業所・基幹相談支援センター:福祉サービスや生活の相談とあわせて、年金の相談先への案内や手続きに関する支援を受けられるか問い合わせてください。対応する範囲は事業所などによって異なります。

まとめ:初診日と年金記録を確認するところから

まず、障害の原因となった傷病の受診歴を整理し、年金事務所などで初診日の加入制度、保険料納付要件、障害認定日、請求方法を確認してください。

必要な診断書の時期や書類は人によって異なります。書類を有料で取り寄せる前に相談すると、準備の方向を確認できます。事後重症請求には提出期限があるため、該当する可能性がある方は早めに窓口へ相談してください。
参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」参考:日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」参考:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」参考:日本年金機構「障害厚生年金を受けられるとき」参考:日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」参考:日本年金機構「障害の程度が変わったとき」参考:日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」参考:日本年金機構「年金の併給または選択」参考:日本年金機構「予約受付専用電話」参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」参考:厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第12 障害年金」参考:厚生労働省「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて(一部改正)」参考:厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

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