
特別児童扶養手当は、一定の障害がある20歳未満の子どもを家庭で育てている父母や養育者に支給される手当です。障害者手帳がなくても申請できますが、障害の程度や所得などの要件を満たす必要があります。
2026年4月分からの月額は、対象児童1人につき1級が58,450円、2級が38,930円です。この記事では、対象となる条件、所得制限、申請方法、受給後に必要な手続きを解説します。
特別児童扶養手当とは?
特別児童扶養手当は、精神または身体に一定の障害がある20歳未満の子どもの福祉を増進するための国の制度です。「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」に基づき、子どもを監護・養育している父母や養育者に支給されます。
ひとり親家庭だけを対象とする制度ではなく、父母がそろっている家庭でも要件を満たせば対象になります。
似た名前の手当との違い
特別児童扶養手当は、一定の障害がある20歳未満の子どもを育てている父母や養育者に支給されます。
児童扶養手当は、ひとり親家庭などの生活の安定と自立を支える手当です。
障害児福祉手当は、重度の障害があり、日常生活で常時介護を必要とする20歳未満の子ども本人に支給される手当です。
名前が似ていますが、それぞれ対象や支給条件が異なります。窓口で相談するときは、制度名を確認してください。
対象となる子どもと受給条件
対象となるのは、20歳未満で、特別児童扶養手当の1級または2級に該当する程度の障害がある子どもです。身体障害、知的障害、精神障害が対象に含まれ、発達障害や内部障害なども、障害の状態によって対象になります。
診断名があるだけで支給が決まるわけではありません。診断書などをもとに、障害の状態や日常生活で必要な援助の程度などが審査されます。
父母の双方が子どもを監護している場合、受給者は原則として、子どもの生計を主として維持している父母のいずれか一方です。
障害者手帳がなくても申請できる
障害者手帳の所持は、申請の必須条件ではありません。手帳がなくても、所定の診断書などで障害の状態を審査します。
また、手帳の等級と特別児童扶養手当の等級は別の基準です。手帳を持っているだけで受給が決まるわけではありません。
身体障害者手帳や療育手帳の障害の程度によっては、診断書を省略できる場合があります。診断書を医師に依頼する前に、市区町村の担当窓口で確認してください。
発達障害は日常生活の状態も審査される
発達障害の認定では、知能指数だけでなく、社会性やコミュニケーションの状態、日常生活への適応、援助の必要性などが考慮されます。知能指数が高い場合でも、日常生活に著しい制限があれば対象になることがあります。
医師に相談するときは、食事や着替え、外出、意思疎通、安全の確保などについて、実際に必要としている援助を具体的に伝えてください。
受給できない主な場合
次のような場合は、原則として支給対象になりません。
受給者または対象児童が日本国内に住所を有していない場合
対象児童が児童福祉施設などに入所している場合
対象児童が、その障害を理由とする公的年金を受けることができる場合
施設の種類によって取り扱いが異なるため、入所・入院先が支給対象外に当たるかどうかは、市区町村の窓口で確認してください。
また、本人・配偶者・生計を同じくする扶養義務者の所得が限度額以上の場合は、手当の支給が停止されます。
支給金額と支払時期
2026年4月分からの支給額
手当は、対象児童1人ごとに、認定された障害等級に応じて支給されます。
| 等級 | 月額 | 同じ月額で12か月受給した場合 |
|---|---|---|
| 1級 | 58,450円 | 701,400円 |
| 2級 | 38,930円 | 467,160円 |
※年額欄は月額を12倍した計算例です。実際の受給額は、支給対象月数や等級の変更、年度ごとの金額改定などによって異なります。
支払いは原則年3回
法令上の支払期月は、原則として4月・8月・12月です。それぞれ、12月~3月分、4月~7月分、8月~11月分をまとめて支払います。
ただし、12月期の手当を11月に繰り上げて支払う自治体もあります。実際の振込月・振込日は、お住まいの自治体の案内で確認してください。
所得制限のしくみ
世帯の収入合計ではなく、それぞれの所得で判定する
所得制限では、受給者本人だけでなく、配偶者と、生計を同じくする扶養義務者の所得も確認します。扶養義務者には、父母・祖父母などの直系血族や兄弟姉妹が含まれます。
夫婦や家族の所得を合算する方式ではありません。それぞれの所得を、それぞれに適用される限度額と比較します。
本人の所得が限度額未満でも、配偶者や生計を同じくする扶養義務者の所得が限度額以上の場合は支給停止になります。住民票上で世帯を分けているかどうかだけで、判定対象から外れるとは限りません。
所得制限限度額
以下は、2026年10月21日時点で確認した所得制限限度額です。給与などの「収入額」ではなく、制度上の控除を反映した「所得額」と比較してください。
| 扶養親族等の数 | 受給者本人 | 配偶者・扶養義務者 |
|---|---|---|
| 0人 | 4,596,000円 | 6,287,000円 |
| 1人 | 4,976,000円 | 6,536,000円 |
| 2人 | 5,356,000円 | 6,749,000円 |
| 3人 | 5,736,000円 | 6,962,000円 |
判定に用いる所得が限度額以上の場合、手当は支給されません。扶養親族等の数は、それぞれの判定対象者について確認するもので、単純な同居人数ではありません。
所得の算定では、給与所得控除や必要経費のほか、医療費控除・障害者控除など、制度上認められる控除を反映します。また、老人扶養親族等の有無などによって限度額に加算が付く場合があります。税金の計算上の課税所得を、そのまま比較するものではありません。
所得審査は、原則として前年の所得をもとに、その年の8月分から翌年7月分までの支給について行います。新規請求の時期によって参照する所得の年が異なるため、窓口で確認してください。
申請の流れと注意点
1.市区町村の担当窓口で申請方法を確認する
お住まいの市区町村の障害福祉・子育て支援などの担当窓口に、「特別児童扶養手当を申請したい」と伝えてください。
必要な診断書の様式、書類の有効期間、診断書を省略できる条件、提出方法を確認します。
2.診断書などの必要書類をそろえる
主な必要書類は、認定請求書、所定の医師の診断書、請求者名義の口座が分かるもの、本人確認書類、マイナンバー確認書類などです。
戸籍謄本や所得に関する証明書などが必要になる場合もありますが、情報連携によって提出を省略できる書類もあります。家族の状況や自治体によって異なるため、窓口の案内に沿って準備してください。
診断書の作成費用は医療機関によって異なります。予約の必要性、完成までの日数とあわせて、依頼先の医療機関で確認してください。
3.申請書類を提出し、審査を受ける
申請は市区町村の窓口で受け付けます。認定は原則として都道府県が行い、指定都市に住んでいる場合はその市が行います。
提出した書類だけでは判断できない場合、追加の資料や日常生活の状況などの確認を求められることがあります。
4.認定された場合は、請求月の翌月分から支給される
認定された場合、原則として認定請求をした月の翌月分から支給対象になります。審査結果が出た月の翌月から、という意味ではありません。
例えば、10月に認定請求し、その後に認定された場合は、原則として11月分から対象になります。実際の振込日は、審査の進み具合などにより異なります。
障害の診断を受けた時点まで自動的にさかのぼって支給される制度ではありません。申請を考えている場合は、早めに窓口で手続きを確認してください。
受給後も必要な手続きがある

毎年の所得状況届
受給資格者は、原則として毎年、所得状況届を提出する必要があります。提出期間は通常8月12日から9月11日までですが、休日による取り扱いや提出方法は自治体の案内で確認してください。
所得状況届を提出しないと、8月分以降の手当が支給されなくなります。所得制限によって支給停止中の場合も、必要な手続きを窓口で確認してください。
有期認定の場合の再認定
障害の状態によっては、認定に期限が設けられます。この場合、指定された期限までに診断書などを提出し、再認定を受ける必要があります。
所得状況届と、障害の状態を確認する再認定は別の手続きです。どちらか一方を提出すればよいわけではありません。
住所や養育状況などが変わった場合の届出
住所、氏名、振込先口座、家族構成、所得などに変更があった場合は、必要な届出をしてください。
子どもの施設入所や、障害を理由とする公的年金の受給など、受給資格に関わる変更があった場合も届出が必要です。届出が遅れると、支給済みの手当の返還が必要になることがあります。
申請前に確認したいポイント
特別児童扶養手当は、障害者手帳の有無や診断名だけで受給の可否を判断する制度ではありません。障害の状態、日常生活で必要な援助、所得、養育状況などを確認して認定されます。
手帳がないことだけを理由に対象外と判断せず、市区町村の担当窓口で、診断書による申請方法を確認してください。
申請後に非該当となった場合は、決定通知の理由を確認し、説明が必要な点を担当窓口に問い合わせてください。
参考:
厚生労働省「特別児童扶養手当について」厚生労働省「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」厚生労働省「『特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定について』の一部改正について」神奈川県「障害のあるお子さんがいる家庭のために(特別児童扶養手当)」神奈川県「特別児童扶養手当の障害の認定基準について」新宿区「特別児童扶養手当」
執筆者プロフィール

児童福祉、発達障害、自閉スペクトラム症(ASD)など、子どもを取り巻く社会課題について執筆を行う。保護者や教育関係者にも伝わりやすい表現を心掛け、一人ひとりの子どもの成長と権利を尊重する視点から情報発信を続けている。