医療的ケア児とその家族への支援を定める「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の改正法が、2026年7月24日の参議院本会議で全会一致により可決、成立しました。
通称「改正医ケア児法」「改正医療的ケア児支援法」と呼ばれる今回の改正では、18歳以上の医療的ケア者や重症心身障害者、その家族まで支援対象を広げます。
改正法は2026年7月31日に公布され、2027年4月1日に施行されます。法律の正式名称も「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」に変わります。
「18歳の壁」解消に向け成人も支援対象に
医療的ケア児とは、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引、経管栄養などの医療的ケアを日常的に必要とする子どもです。
これまでの医療的ケア児支援法は、主に18歳未満の児童とその家族を対象としていました。そのため、18歳になったり、特別支援学校などを卒業したりすると、児童福祉から成人の障害福祉へ制度が切り替わり、利用できるサービスや相談先が変わることがありました。
学校卒業後の通所先、医療機関、日中活動、就労、住まいなどが十分に確保できず、支援が途切れる問題は「18歳の壁」と呼ばれています。
改正後は、医療的ケア児だった人で成人後も恒常的な医療的ケアが必要な人や、18歳以上で医療的ケアが不可欠であり、自立した生活を営むことが困難な人も支援対象になります。
重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複する重症心身障害者と、その家族も新たに対象となります。子どもの時期から成人期まで、年齢によって支援が途切れない体制を整え、「18歳の壁」の解消につなげることが改正の柱です。
医療・生活・就労・住まいを切れ目なく支援
改正法では、18歳以降も地域で必要な医療を継続して受けられるよう、国と地方公共団体が必要な措置を講じます。
小児科から成人診療科への移行や、医療機関同士の連携、在宅医療の確保など、成人期への移行を支える体制整備が進められます。
支援の範囲は医療だけではありません。一時的な預かりによるレスパイト、夜間の居宅サービス、通学などの移動支援、重度訪問介護、就労支援、住居の確保、生涯学習、当事者や家族同士によるピアサポートも法律上の施策に位置付けられます。
保育所や学校では、看護師や喀痰吸引などを行える介護従事者の配置を進め、保護者の付き添いがなくても授業や学校行事に参加できる環境を整えます。
支援センターの機能も強化
現在の「医療的ケア児支援センター」は、「医療的ケア児等支援センター」に名称が変わります。
都道府県に加え、指定都市、中核市、特別区などもセンターを設置できるようになり、成人期を含む相談支援、関係機関との連絡調整、災害時の情報提供などを担います。
医療、福祉、教育、労働、防災などの関係者が地域の課題を協議する「医療的ケア児等支援地域協議会」も設置できるようになります。
今後は地域の支援体制が焦点
改正医ケア児法の成立により、医療的ケアが必要な人を子どもから成人まで継続して支援する法的な基盤が整いました。
ただし、法律の施行だけで、すべての地域の通所先、医療、レスパイト、就労、住まいが直ちに確保されるわけではありません。
「18歳の壁」を実際に解消するには、自治体によるサービス整備、人材の確保、医療機関と福祉事業所の連携、地域格差の是正が必要です。2027年4月の施行に向け、各自治体が具体的な支援体制をどのように整えるかが今後の焦点となります。
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