障害のある子どもの就学先をどうするか悩まれている保護者も多いのではないでしょうか。
特別支援学校と特別支援学級は、どちらも障害のある子どもの成長をサポートしてくれますがそれぞれに特徴や違いがあります。
この記事では、特別支援学校と特別支援学級の違いや子どもに合った就学先を選ぶポイントについて解説しています。子どもに合った教育環境を選ぶヒントになれば幸いです。
特別支援学校とは?
特別支援学校は、障害のある児童生徒が通うための学校で、幼稚部から高等部まで同じ敷地内に設置されている場合が多いです。特別支援学校の種類には以下の5つがあります。
- 知的障害特別支援学校
- 肢体不自由特別支援学校
- 視覚特別支援学校(盲学校)
- 聴覚特別支援学校(聾学校)
- 病弱特別支援学校
特別支援学校には、障害に関する専門の知識を持った教員が在籍していたり、校舎内に手すりやエレベーターなどが設置されていたりするなど設備も整っています。個々の障害に対する手厚いサポートが受けられるのが大きな特徴です。
特別支援学校の特徴
特別支援学校の主な特徴は以下の通りです。
| 教育の目的 | 個々の障害に合わせた教育をおこなう 生活上における自立を図るための能力を養う |
| 教員の配置 | 児童生徒数4~5人に教員が2人程度 手厚いサポートが受けられる |
| 場所 | 1つの学校として独立している 敷地内に幼稚部から高等部まである場合が多い |
| 地域や他の児童と交流する機会 | 特別支援学級と比べて少ない |
特別支援学校では、教員の他にも看護師、理学療法士などの専門職の方がサポートしてくれます。また、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアにも対応できるので安心です。さまざまな設備も整っているため、重度の知的障害や身体障害を持っていても通いやすいです。
一方、特別支援学校は、独立した1つの学校であるため地域の同年代の子どもと関わる機会は少ないです。また、自立した生活を送るためのスキルを習得することに重点が置かれた教育カリキュラムになっており、国語や算数といった教科学習は少ない傾向にあります。
特別支援学級とは?
特別支援学級は、通常の小中学校に設置されている障害のある子どものための学級です。1クラスの定員が8名以下と定められており、少人数で落ち着いた環境で過ごせます。子どもの学習スピードに合わせて個別の支援を行ってくれるため、安心して学習に取り組むことが可能です。
また、通常の学級の児童生徒と特定の授業や行事に一緒に参加する交流学習の機会もあります。そのため、地域の同年代の子どもと過ごす時間を確保できます。
特別支援学級の特徴
特別支援学級の特徴は以下の通りです。
| 教育の目的 | 障害の特性や学習スピードに応じた学習面でのサポートをおこなう |
| 教員の配置 | 1クラスにつき教員1名から2名(1人の教員が8名を担当する場合もある) |
| 場所 | 通常の小学校や中学校の敷地内に設置されている(高等学校には設置されていない) |
| 地域や他の児童と交流する機会 | 登下校や交流学習の際に交流する機会がある |
特別支援学級は、地域の小学校や中学校に通えるため、登下校や交流学習など同年代の子どもと関わる機会が多いです。学習面では、本人の学習ペースや理解度に合わせた個別のサポートが受けられます。
一方、担当する教員が、必ずしも特別支援学校教諭の免許状を保有しているとは限らず、障害に関する知見が十分でない場合もあります。また、教員1人で最大8名を担当する場合もあり、一人ひとりにかけられる時間が少なくなってしまう場合も考えられます。
途中で転校はできる?
就学した後も、子どもの成長に合わせて転校することは可能です。
特別支援学級に通ってみたものの、環境が合わない、障害の程度の変化でより手厚い支援が必要になったなどの理由で、特別支援学校に転校することは比較的容易です。
しかし、特別支援学校から特別支援学級に変更するのは難しいといわれています。通常の小中学校は、設備や支援体制が十分に整っていない場合も多く、物理的に受け入れが難しいケースも少なくありません。そのため、特別支援学校から特別支援学級に転籍するとなると慎重にならざるを得ず、転校しにくい傾向があります。
どうやって選べばいい?就学先を選ぶ時のポイント

就学先を選ぶ時のポイントは以下の4つです。
- 子どもの障害の程度はどうか
- 家庭でどの程度サポートできるか
- 卒業後の進路を見据えたサポートが受けられるか
- 本人の気持ちはどうか
それぞれ見ていきましょう。
子どもの障害の程度はどうか
障害の程度や必要な支援の内容は、就学先を考えるうえで重要なポイントです。
特別支援学校であれば、日常生活や学習面で手厚い支援や医療的ケアが必要な場合にも教員や看護師によるサポートが受けられます。日常生活はある程度自立しているものの個別の支援や配慮を受けたい場合には、特別支援学級が適しているといえます。
子どもの現在の様子だけでなく、今後どのように成長してほしいかも見据えて考えることも大切です。
家庭でどの程度サポートできるか
家庭でどのくらいサポートできるかも重要な判断材料です。
特別支援学級では、特別支援学級と交流学級の担当教員と適宜やりとりする必要がありますが、登下校は徒歩や自転車で通学できる範囲内にあります。特別支援学校は、学習や生活面において手厚いサポートが受けられますが、学校が遠方にある場合は、保護者の送迎や寄宿舎への入舎を検討する必要があります。
無理のない範囲で家族が支えられるかどうかも考えてみてください。
卒業後の進路を見据えたサポートが受けられるか
就学先は、小学校だけでなく卒業後の進路も見据えて考えることが大切です。
特別支援学校では、障害の特性に応じた職業教育や自立に向けた学習などが充実しています。一方、特別支援学級では個別のサポートを受けながら学べるため、普通高校への進学を目指しやすいケースもあります。
将来どのような力を身につけたいかを考えて選ぶとよいでしょう。
本人の気持ちはどうか
本人が意思表示できるようであれば、保護者の考えだけでなく、本人の気持ちや考えにも耳を傾けることが大切です。「友達と一緒に学びたい」「落ち着いた環境で勉強したい」など、子ども自身の考えや思いをくみ取り尊重してあげましょう。
学校見学や体験学習を通して本人が安心して通えそうか確認しながら選ぶと、本人や家族も納得できる選択につながります。
就学相談の流れ
障害のある子どもの就学先は、お住まいの自治体にある教育委員会による就学相談で決定します。就学相談では、保護者や本人の意見をできる限り尊重しつつ、子どもにとって最も適切な学びの場を検討していきます。
就学相談の一般的な流れは以下の通りです。
- 就学相談の申し込み
- 教育相談
- 専門家による審議
- 就学先決定
就学相談に申し込みをすると教育相談が行われます。教育相談では、担当者が家庭での子どもの様子や将来の希望などについて聞き取ります。また、子どもの様子を把握するために知能検査や発達検査、行動観察も行われます。必要に応じて特別支援学校や特別支援学級の見学も可能です。
教育や医療などの専門家が集まり面談や調査結果をもとに子どもに適した就学先について審議します。教育委員会から結果が報告され、保護者が結果に合意すれば就学先が決定します。
子どもに合った就学先を選ぶために
子どもに合った就学先を選ぶには、子どもの持つ特性や障害の程度を把握し、必要なサポートは何かを知る必要があります。
特別支援学校では、専門の教員や看護師などの専門職の方々から手厚いサポートが受けられます。一方、特別支援学級は、少人数の教室で個別のサポートが受けられたり、同年代の友達と一緒に行事や授業にする交流学習にも参加可能です。
子どもの特性を理解したうえで本人の意見や考えも尊重しながら、子どもに合った就学先を選んでください。
【参考】
特別支援教育関係資料|文部科学省障害のある子どもの就学先決定について|文部科学省
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