
短期入所(ショートステイ)は、障害のある方が一時的に施設を利用し、食事・入浴・排せつなどの支援を受ける障害福祉サービスです。
介護する家族の病気や入院、冠婚葬祭、介護者の休息などに利用できます。利用には市区町村による短期入所の支給決定が必要です。障害支援区分の認定を受けるだけで、自動的に利用できるわけではありません。
サービス費の自己負担は原則1割ですが、所得などに応じた月額上限があります。食費・光熱水費などは別にかかります。
この記事では、障害福祉の短期入所について、対象者・費用・申請手順・持ち物を説明します。
※2026年10月18日。実際の利用条件・必要書類・費用は、お住まいの市区町村と利用先の事業所に確認してください。
1. 短期入所(ショートステイ)とは?
短期入所は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。自宅で介護する人の病気などにより、一時的に施設での支援が必要になった障害者・障害児に、入浴・排せつ・食事の介護などを提供します。
宿泊を伴う利用のほか、事業所やサービスの種類によっては日中のみの利用もあります。
どのようなときに利用できる?
介護者の病気・入院:家族が療養する間、自宅での介護を続けることが難しいとき。
冠婚葬祭・出張など:介護する家族が不在になり、必要な支援を確保できないとき。
介護者の休息:介護者の負担を軽くし、在宅生活を続けるために休息が必要なとき。
利用できるかどうかは、本人に必要な支援や介護者の状況などを踏まえて、市区町村が判断します。「理由を問わず、誰でも利用できる」という制度ではありません。
また、介護者との同居は必須ではありません。一人暮らしでも、本人の心身の状況などから市区町村が特に必要と認めた場合は、利用の対象になります。
福祉型と医療型の違い
| 類型 | 主な内容 | 主な実施場所 |
|---|---|---|
| 福祉型 | 入浴・排せつ・食事の介護など、日常生活に必要な支援を提供します。 | 障害者支援施設、短期入所専用の事業所など |
| 医療型 | 常時医学的管理が必要な方など、所定の対象要件に該当する方を受け入れます。 | 病院、診療所、介護老人保健施設など |
医療的ケアが必要な場合でも、必ず医療型だけが利用先になるわけではありません。福祉型にも、看護職員の配置や医療機関との連携により、医療的ケアに対応する事業所があります。
吸引・経管栄養・人工呼吸器の管理など、必要なケアの内容と時間帯を具体的に伝え、受け入れ可能か確認してください。医療型でも、すべての医療的ケアに対応できるとは限りません。
2. 利用できる方の条件
18歳以上の方
福祉型の対象は、原則として障害支援区分1以上の障害者です。そのうえで、短期入所の必要性について市区町村の判断を受け、支給決定を受ける必要があります。
18歳未満の障害児
障害児には、成人の障害支援区分認定をそのまま当てはめません。短期入所に用いる障害児の支援の度合に応じた区分1以上に該当することなどを確認し、市区町村が支給決定を行います。
医療型を利用する場合
医療型は、遷延性意識障害児・者、ALSなどの運動ニューロン疾患がある方、重症心身障害児・者などが対象です。適用されるサービス費の区分によって、障害支援区分、疾患、呼吸管理の状況などの要件が異なります。
「医療的ケアが必要なら全員対象」「区分4以上なら利用できる」という一律の条件ではありません。市区町村と利用候補の事業所に、対象要件を確認してください。
障害者手帳がなくても利用できる?
手帳がなくても対象になる場合がありますが、障害支援区分の認定だけで対象になるわけではありません。
知的障害・精神障害・対象となる難病・障害児などでは、判定や診断書などにより障害を確認する場合があります。一方、成人が身体障害を理由に利用する場合は、原則として身体障害者手帳による確認が必要です。
手帳を持っていない方は、診断名や現在の状態を市区町村の障害福祉窓口に伝え、対象になるか、何の書類が必要かを確認してください。
3. 利用までの手順
ステップ1:市区町村の障害福祉窓口に相談・申請する
「短期入所を利用したい」と伝え、本人の状態、必要な介助、利用したい理由や時期を相談してください。すでに他の障害福祉サービスを利用している方も、短期入所の支給決定がなければ追加の手続きが必要です。
成人で障害支援区分の認定が必要な場合は、認定調査、医師意見書、審査などの手続きがあります。障害児は、支援の度合などを確認します。
申請から利用開始までの期間は、認定手続きや事業所の受け入れ状況によって異なります。必要な時期が決まっている場合は、早めに相談してください。
ステップ2:サービス等利用計画案を用意する
相談支援専門員と、本人の希望、家族の状況、必要な支援、利用日数などを整理し、サービス等利用計画案を作成します。
相談支援事業所が分からない場合は、市区町村に紹介を依頼してください。本人や家族などが計画案を作成する「セルフプラン」という方法もあります。利用する方法は、窓口で相談してください。
ステップ3:支給決定を受け、受給者証を確認する
市区町村が利用の必要性などを審査し、支給決定を行います。交付された障害福祉サービス受給者証で、短期入所の支給量、支給決定の有効期間、負担上限月額などを確認してください。
ステップ4:事業所と受け入れ条件を確認し、契約する
利用候補の事業所に、本人の障害特性、食事・排せつ・入浴の介助、服薬、医療的ケアなどを伝えます。見学や面談を行い、費用・持ち物・緊急時の対応を確認したうえで契約してください。
事業所探しや見学は、支給決定の手続きと並行して進めることもできます。
ステップ5:利用日を予約する
支給決定を受けても、希望日に空きがあるとは限りません。事業所の予約方法と受付時期を確認し、受け入れの調整をしてください。
申請時に確認する書類
必要書類は自治体や本人の状況によって異なります。次のものが必要か、事前に確認してください。
□ 障害福祉サービスの支給申請書
□ マイナンバーを確認する書類
□ マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類
□ 障害者手帳、診断書、受給者証など、障害や疾病を確認する書類
□ 所得・課税状況を確認する書類など、自治体が指定するもの
医師意見書や診断書の扱いは手続きによって異なります。自己判断で有料の診断書を用意する前に、必要な様式と取得方法を窓口に確認してください。
4. 費用はどのくらいかかる?

短期入所の費用は、主にサービス費の自己負担と、食費・光熱水費などの実費に分かれます。
サービス費は原則1割負担
サービス費の自己負担は原則1割ですが、所得などに応じて負担上限月額が設定されます。1割負担の合計が上限より少なければ、その少ない額を支払います。毎月必ず上限額を支払うわけではありません。
在宅の成人が利用する場合の負担上限月額
| 区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯で、所得割16万円未満 | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
成人の所得判定では、原則として本人と配偶者を世帯の範囲とします。同居する親の所得を、そのまま合算する仕組みではありません。
上の表は在宅の成人を想定した国の基本区分です。グループホーム利用者や20歳以上の入所施設利用者などは、一般1の適用条件が異なります。実際の負担上限月額は受給者証で確認してください。
在宅の障害児が利用する場合の負担上限月額
| 区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯で、所得割28万円未満 | 4,600円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
障害児の所得判定は、原則として保護者の属する住民基本台帳上の世帯を対象に行います。
ここでいう所得割額は年収そのものではありません。税額の算定上の調整や自治体独自の軽減があるため、自己判断せず窓口で確認してください。
食費・光熱水費などは別にかかる
食費、光熱水費、本人が使用する日用品などは、サービス費の自己負担とは別にかかります。これらの実費は、原則として負担上限月額の対象外です。
サービス費の負担上限が0円でも、食費などの支払いが必要になる場合があります。
料金は事業所によって異なります。利用前に料金表を受け取り、食事の回数、光熱水費、日用品費、キャンセル料などを確認してください。医療型では、診療や薬剤などについて医療保険の自己負担が別に生じる場合もあります。
食費の負担を軽くする仕組み
短期入所には、所得などの要件と事業所の体制要件を満たす場合に、食事提供体制加算によって食費の負担を軽減する仕組みがあります。対象になるか、軽減後にいくら支払うかを、市区町村と事業所に確認してください。
施設入所支援の食費・光熱水費に対する「補足給付」と、短期入所の食費軽減は区別して確認する必要があります。短期入所を利用すれば、施設入所支援と同じ補足給付が受けられるわけではありません。
5. 施設・事業所の探し方
相談支援専門員に相談する:本人に必要な支援を伝え、利用候補の事業所と受け入れ条件を一緒に確認してください。
市区町村の障害福祉窓口に聞く:地域の事業所一覧や、相談先の紹介を依頼してください。
WAM NETで調べる:福祉医療機構が運営する「障害福祉サービス等情報検索」で、地域とサービス種別「短期入所」を指定して探せます。
基幹相談支援センターなどに相談する:地域の相談窓口として、利用先や関係機関との調整について相談できます。緊急時の連絡先は自治体によって異なるため、あらかじめ確認してください。
見学・面談で確認すること
□ 本人の障害特性や年齢に対応しているか
□ 必要な介助や、意思を伝える方法に対応できるか
□ 医療的ケアの内容と実施時間帯、夜間の看護体制
□ 個室・多床室の別、音や照明などの居室環境
□ 食物アレルギーや、きざみ食・ペースト食などへの対応
□ 送迎の有無、送迎できる範囲と費用
□ 予約方法、キャンセルの扱い、実費の総額
□ 体調が悪くなったときの対応と家族への連絡方法
受給者証があることと、事業所が受け入れられることは別です。空き状況と、必要な支援を提供できるかの両方を確認してください。
6. 利用当日の持ち物チェックリスト
必要なものと数量は事業所によって異なります。以下は準備のための例です。事業所から渡された案内を優先し、不要なものや持ち込み制限も確認してください。
□ 障害福祉サービス受給者証など、事業所が指定する書類
□ 受診時に使うマイナ保険証または資格確認書など
□ 医療費助成の受給者証など、必要な方の証書類
□ お薬手帳と、事業所の指示に沿って準備した薬
□ 着替え・下着・パジャマ
□ タオル・バスタオル、歯ブラシなどの洗面用品
□ 紙おむつ・パッドなど、必要な衛生用品
□ 事前に使用方法を確認した医療機器・医療材料
□ 本人に合った室内履き
□ 本人が落ち着いて過ごせるもの
□ 緊急連絡先、普段の生活や介助方法をまとめたメモ
薬は、用量・服用時間・頓服の使用条件を正確に伝えてください。一包化や記名の方法、予備の薬が必要かどうかも事前に確認してください。
マイナンバーカードや貴重品は、受け渡しと保管方法を事業所に確認してください。
準備のポイント:衣類や日用品には、事業所の案内に沿って記名してください。医療機器の設定、食事中の注意点、苦手なこと、安心できる声かけなども共有すると、必要な支援を引き継ぎやすくなります。
7. よくある質問
Q1. 最大何日まで利用できますか?
まず、受給者証に記載された短期入所の支給量と有効期間を確認してください。具体的な利用日数は、本人や介護者の状況などを踏まえ、市区町村が決定します。
サービス等利用計画案に短期入所を位置付ける際は、原則として年間180日を超えないようにする基準があります。ただし、本人の心身の状況などから特に必要な場合は、この日数を超える計画も認められます。年間180日は、全員に認められる利用枠でも、例外のない絶対的な上限でもありません。
連続利用の扱いや月ごとの日数の数え方は、市区町村に確認してください。介護者の長期入院などで支給量が足りない場合は、相談支援専門員と市区町村に変更を相談してください。
Q2. 介護保険のショートステイとは何が違いますか?
この記事で説明する短期入所は、障害者総合支援法に基づくサービスです。介護保険には、別の制度として「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」などがあります。
介護保険のサービスは、要介護・要支援認定などの要件を満たす方が対象です。65歳以上の方のほか、40~64歳でも特定疾病が原因で認定を受けた方が対象になります。
介護保険で相当するサービスを利用できる場合は、原則として介護保険の給付が優先されます。ただし、65歳になっただけで、障害福祉の短期入所が一律に利用できなくなるわけではありません。
必要な支援を介護保険で受けられるかを個別に確認し、市区町村が判断します。制度の調整が必要な方は、障害福祉窓口、介護保険窓口、相談支援専門員などに相談してください。
Q3. 急に利用が必要になったらどうすればいいですか?
介護者の急な入院などで支援が必要になった場合は、市区町村の障害福祉窓口や担当の相談支援専門員に、緊急であることを伝えて連絡してください。
すでに支給決定を受けている方は、利用予定の事業所にも受け入れを相談してください。ただし、空床と支援体制によっては受け入れが難しい場合があります。
まだ支給決定を受けていない場合も、相談を控える必要はありません。申請から支給決定までの間に、緊急でやむを得ない事情によりサービスが必要になった場合の扱いは、市区町村に確認してください。
公費で利用できるか、どの手続きが必要かを確認せず、通常の支給決定前に自己判断で利用を始めないようにしてください。
Q4. グループホーム入居前の体験として使えますか?
短期入所で自宅以外に泊まる経験を積むことと、グループホームの「体験利用」は、制度上同じではありません。
グループホームでの暮らしを体験したい場合は、共同生活援助の体験利用が適しているかも含めて、相談支援専門員や市区町村に相談してください。短期入所を使う場合も、本人にとっての必要性を確認したうえで支給決定を受けます。
8. まずは市区町村の障害福祉窓口に相談する
短期入所を利用したい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉窓口に「短期入所を利用したい」と伝えてください。担当の相談支援専門員がいる方は、その専門員にも相談してください。
相談するときは、次のことを整理しておくと、必要な支援を伝えやすくなります。
利用したい理由:家族の入院、冠婚葬祭、介護者の休息など。
利用したい時期:希望日、泊数、定期的な利用が必要かどうか。
本人に必要な支援:食事・入浴・排せつの介助、服薬、医療的ケア、コミュニケーションの方法など。
現在の手続き状況:受給者証や障害支援区分認定の有無、利用中のサービスなど。
「今すぐではないが、緊急時に備えたい」という段階でも相談できます。支給決定に加え、事業所との面談や契約、予約方法、緊急時の連絡先まで事前に確認してください。
参考:
厚生労働省「障害福祉サービスの内容」厚生労働省「障害者の利用者負担」厚生労働省「障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービス等の費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス費)」厚生労働省「障害福祉サービス等の報酬算定に関する実施上の留意事項(短期入所)」札幌市「費用負担の仕組み」豊川市「在宅の障害児に係る短期入所サービス利用の申請」横浜市「オンライン申請について-障害福祉サービス-」横浜市「まちでくらす2024」e-Gov法令検索「障害者総合支援法に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」東京都掲載資料「計画相談支援・基準解釈通知新旧対照表」厚生労働省「自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問」福祉医療機構 WAM NET「障害福祉サービス等情報検索」
執筆者プロフィール

介護や高齢者問題に関する執筆を多数担当。介護に携わる家族や支援者の視点を大切にしながら、現場で役立つ情報をわかりやすく発信している。