
かかりつけ医機能報告制度は、病院・診療所が日常的な診療や在宅医療などへの対応状況を都道府県に報告する制度です。2025年4月に施行され、初回報告の内容は、すでに厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」で確認できます。
障害のある方やそのご家族が医療機関を探す際は、かかりつけ医機能の情報に加え、バリアフリー設備や障害特性に応じた配慮も確認してください。この記事では、制度の仕組みと、自分に合った医療機関を探す手順を紹介します。
かかりつけ医機能報告制度の概要
かかりつけ医機能報告制度は、2023年の医療法改正に基づき、2025年4月に施行された制度です。初回の報告期間は2026年1〜3月でした。
報告対象は、特定機能病院と、歯科医業のみを行う病院・診療所を除く病院・診療所です。入院設備のない診療所も対象に含まれます。
医療機関は、かかりつけ医機能の有無や内容を都道府県に報告します。都道府県は報告内容を確認し、地域の関係者と、不足する機能を確保するための方策を協議します。医療機関の情報を住民に伝えることと、地域の医療提供体制を整えることが、この制度の目的です。
報告される主な項目
報告する機能は、日常的な診療を担う「1号機能」と、それを支える「2号機能」に分かれます。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 1号機能:日常的な診療 | 継続的な医療が必要な方に対し、よくある病気などの日常的な診療を総合的・継続的に行う機能。対応できる診療領域や疾患、患者からの医療相談への対応などを報告します。 |
| 2号機能:通常の診療時間外の診療 | 自院または他の医療機関との連携による、通常の診療時間外の診療体制などを報告します。 |
| 2号機能:入退院時の支援 | 入院先の確保に関する連携や、入退院時の情報共有などを報告します。 |
| 2号機能:在宅医療の提供 | 自院または他の医療機関との連携による在宅医療の体制、訪問診療・往診などの実施状況を報告します。 |
| 2号機能:介護サービス等と連携した医療提供 | 介護サービス等の事業者との連携体制、介護支援専門員や相談支援専門員への情報共有・指導に関する実績などを報告します。 |
すべての対象医療機関が、これらの機能をすべて備えているわけではありません。また、自院だけで対応する場合と、他の医療機関との連携で対応する場合があります。具体的な対応方法や利用条件は、医療機関に確認してください。
従来の「医療機能情報提供制度」との違い
医療機能情報提供制度は、診療科目、診療時間、設備、対応できる医療などを住民に提供する仕組みです。医療情報ネット(ナビイ)では、在宅医療やバリアフリーに関する情報も確認できます。
かかりつけ医機能報告制度は、医療機関が担うかかりつけ医機能を報告し、地域で不足する機能の確保につなげる仕組みです。その報告に基づく情報も、ナビイで提供されています。
在宅医療や障害のある方への対応情報が、今回初めて公開されるわけではありません。従来の情報と、かかりつけ医機能に関する情報を組み合わせて活用してください。
障害のある人にとって何が役立つのか
この制度は、障害のある方だけを対象にしたものではありません。ただし、通院や日常の健康管理に必要な機能を備えた医療機関を探す際の判断材料になります。
1. 在宅医療の対応状況を確認できる
通院が難しい方は、訪問診療や往診への対応状況を確認できます。
ただし、「在宅医療に対応」と掲載されていても、すべての地域・年齢・病状に対応できるとは限りません。訪問可能な地域、新規患者の受け入れ状況、人工呼吸器など必要な医療的ケアへの対応は、個別に確認してください。
2. 医療・介護等との連携を確認する手がかりになる
複数の診療科を受診している方や、障害福祉サービス・介護サービスを利用している方にとって、関係者間の連携は大切な確認事項です。
報告情報は、入退院支援や介護サービス等との連携体制を確認する手がかりになります。ただし、特定の専門医療機関や相談支援事業所との連携まで、掲載情報だけで判断できるとは限りません。
現在の主治医や支援担当者との情報共有については、本人の意向を伝えたうえで、対応方法を医療機関に確認してください。
3. 日常の体調変化を相談する先を考えられる
専門的な治療を受ける医療機関があっても、発熱や食欲の変化などを、どこに相談すればよいか迷うことがあります。
まずは現在の主治医に、日常的な体調変化について相談できる範囲を確認してください。別の医療機関が必要な場合は、紹介を相談したり、ナビイで候補を探したりできます。
自分に合った医療機関を探す手順

ステップ1:医療情報ネット(ナビイ)で候補を探す
厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)を開き、地域や診療科目などから医療機関を探してください。
かかりつけ医機能を確認するときは、トップページの「かかりつけ医機能」から検索できます。
また、「障害児・者、医療的ケア児」の検索ページでは、在宅医療への対応、障害者向け駐車場、外来受診時や待ち時間の介助、バリアフリートイレなどの条件を確認できます。
かかりつけ医機能と、障害に応じた設備・配慮の情報を組み合わせて確認してください。
ステップ2:受診前に具体的な対応を確認する
候補が見つかったら、電話や医療機関が案内する問い合わせ方法で、次の点を確認してください。
受診・診察について
初診の予約方法、新規患者の受け入れ状況、必要な診療や医療的ケアへの対応を確認してください。
障害特性に応じた配慮について
筆談、車椅子での移動や診察台への移乗、静かな場所での待機、待ち時間の調整など、必要な配慮を具体的に伝えてください。
通院が難しくなったときについて
訪問診療への対応、自院で対応できない場合の紹介先、訪問可能な地域などを確認してください。
時間外の連絡について
夜間・休日の連絡先、相談できる時間帯、連携先での対応方法を確認してください。
他の医療機関・支援者との連携について
現在の主治医や相談支援専門員、ケアマネジャーなどとの情報共有について相談してください。
ステップ3:主治医や支援担当者に相談する
現在通院している医療機関があれば、まず主治医や患者相談窓口に、地域の医療機関への紹介を相談してください。
障害福祉サービスを利用している方は担当の相談支援専門員に、介護保険サービスを利用している方は担当のケアマネジャーにも相談できます。医療機関への確認事項や、通院に必要な支援を一緒に整理してください。
障害福祉に関する相談先がわからない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてください。地域の相談支援事業所や基幹相談支援センターなどの相談先を確認できます。
ステップ4:初診で伝えたい情報をまとめる
初診時は、必要に応じてメモやサポートブックを用意してください。次の情報を整理しておくと、診療や配慮について相談しやすくなります。
現在の症状と受診の目的
いつから、どのような症状があり、何に困っているかをまとめてください。
治療・服薬の情報
お薬手帳、薬の副作用やアレルギーの情報、他の通院先、紹介状がある場合はその内容を確認してください。
障害特性と必要な配慮
意思の伝え方、苦手な刺激、移動・移乗の方法、診察や検査で配慮してほしいことをまとめてください。手帳の等級だけでは伝わらない、具体的な支援内容が大切です。
連絡先と情報共有の希望
本人が希望する家族・支援者の連絡先や、誰とどの範囲で情報を共有してよいかを伝えてください。
本人が希望する場合は、家族や支援者の同行についても事前に相談してください。
精神科通院中の方が押さえておきたいこと
精神科に通院している方は、身体の症状や健康診断の結果を、どの医療機関に相談するかも確認してください。
精神科の主治医に相談できる範囲を尋ね、必要に応じて内科などの受診先を相談してください。複数の医療機関を受診するときは、お薬手帳などを使い、処方薬の情報をそれぞれの医師・薬剤師に伝えてください。
自立支援医療は、一般の内科診療に自動的に適用されるわけではない
自立支援医療(精神通院医療)の対象は、精神疾患と、その精神疾患に起因して生じた病態に対する通院医療です。精神疾患と関係のない身体疾患の治療は対象外です。
また、対象となる医療であっても、指定自立支援医療機関であり、受給者が利用する医療機関として支給認定を受けていることなどが必要です。内科をかかりつけ医として追加しただけで、その診療費が自立支援医療の対象になるわけではありません。
自立支援医療を利用する医療機関を変更・追加したい場合は、対象となる治療や追加の可否、必要書類、適用開始日を、受診前に医療機関と市区町村の担当窓口へ確認してください。
よくある質問
Q1:患者が届出や申請をする必要はありますか?
かかりつけ医機能報告制度について、患者が報告や申請を行う必要はありません。報告するのは医療機関側です。
ただし、受診の予約や、自立支援医療など別の制度の利用手続きは、それぞれ必要です。
Q2:「かかりつけ医機能がある」医療機関なら、必要な診療や配慮をすべて受けられますか?
報告されていることだけでは、個別の診療や配慮への対応までは判断できません。かかりつけ医機能には複数の種類があり、医療機関ごとに対応範囲が異なります。
必要な診療、設備、障害特性に応じた配慮を具体的に伝え、対応方法を相談してください。
Q3:報告された情報は、すでに確認できますか?
確認できます。厚生労働省は2026年9月25日、制度施行後初となる医療機関からの報告内容が、医療情報ネット(ナビイ)に掲載されていると発表しました。
ナビイのトップページにある「かかりつけ医機能」から検索してください。
Q4:時間外対応や在宅医療に対応していれば、いつでも自院で診てもらえますか?
自院で対応する場合と、他の医療機関との連携で対応する場合があります。また、対応できる日時や地域、患者の状態などに条件があります。
夜間・休日の連絡方法や、実際に診療を受ける医療機関、訪問診療の利用条件を事前に確認してください。
確認先まとめ
| 知りたいこと | 確認先 |
|---|---|
| 医療機関のかかりつけ医機能 | 医療情報ネット(ナビイ)の「かかりつけ医機能」検索、各医療機関 |
| バリアフリー設備や障害に応じた対応 | ナビイの「障害児・者、医療的ケア児」検索、各医療機関 |
| 受診先の紹介や治療の連携 | 現在の主治医、医療機関の患者相談窓口 |
| 障害福祉サービスや通院支援の相談 | 担当の相談支援専門員、市区町村の障害福祉担当窓口 |
| 介護保険サービスとの調整 | 担当のケアマネジャー |
| 自立支援医療の対象・医療機関の変更や追加 | 受診する医療機関、市区町村の自立支援医療担当窓口 |
医療機関を選ぶときは、ナビイで候補を探すことと、必要な診療・配慮を医療機関に直接確認することを組み合わせてください。現在の主治医や支援担当者にも相談し、自分の生活や通院方法に合った受診先を検討してください。
参考:
厚生労働省「かかりつけ医機能に関する情報の医療情報ネット(ナビイ)での提供について」(2026年9月25日)厚生労働省「かかりつけ医機能報告制度」
執筆者プロフィール

福祉制度・法律分野に詳しく、事業者や支援者、当事者にとって実践的な記事の執筆を行っている。複雑な制度の背景や目的まで丁寧に読み解くことを得意とする。