「知らなかった!」日常生活に潜むユニバーサルデザイン【第三弾】:スマホやネットの画面に隠れた「見えない優しさ」

「知らなかった!」日常生活に潜むユニバーサルデザイン【第三弾】:スマホやネットの画面に隠れた「見えない優しさ」

前回の記事では、蛇口のレバーやパッケージの開けやすさなど、身近で気がつきにくい5つの工夫についてご紹介しました。

「知らなかった!」日常生活に潜むユニバーサルデザイン7選:あなたの暮らしをもっと快適にする工夫

「知らなかった!」日常生活に潜むユニバーサルデザイン5選【第二弾】:暮らしを支える「見えない工夫」

連載第三弾となる今回は、私たちの生活に欠かせない「デジタルの世界」に注目してみたいと思います。

毎日何気なく使っているスマートフォンやSNS、Webサイト。実はその画面の中にも、誰もが迷わず、スムーズに情報を得られるためのユニバーサルデザインが数多く隠されています。
「目が疲れやすい人も、手がふさがっている人も、操作に慣れていない人も。みんなが同じように使えるように」そんな願いが込められたデジタル空間の工夫は、実は忙しい毎日を送る私たちにとっても、なくてはならない助けになっています。今回は、画面の向こう側に潜む「3つの見えない優しさ」を覗いてみましょう。

1. ダークモード:眩しさを抑えて、すべての人に「選べる快適さ」を

最近、スマートフォンやアプリの設定で背景を黒っぽくする「ダークモード」を使っている方をよく見かけませんか?

もともとは、光の刺激を強く感じてしまう視覚過敏の方や、白背景の眩しさが苦手な方のために生まれたものですが、今では「寝る前に画面を見る時の目の負担を減らしたい」「バッテリーを長持ちさせたい」といった、多くの人が活用する機能になりました。

自分の体調や状況に合わせて、見やすさを自由に変えられる。これも、ユニバーサルデザインの「使う人に合わせる」という大切な考え方のひとつです。

2. 字幕と音消し視聴:音が出せなくても「楽しめる」工夫

YouTubeなどの動画を見ていると、自動で字幕が表示されることがありますよね。これは耳が不自由な方にとって情報を得るための大切な窓口ですが、実は私たちの日常の至る所でも大活躍しています。

例えば、電車の中など音が出せない場所で動画の内容を確認したり、逆に周囲が騒がしすぎて音が聞き取れない時に字幕で内容を補ったり。あるいは、語学学習のために流れてくる音声と文字を照らし合わせたりすることもあります。

「音が聞こえる・聞こえない」に関わらず、誰もが同じようにコンテンツを楽しみ、笑ったり感動したりできる。そんな環境がデジタルの力で広がっています。

3. 直感的なアイコン:言葉の壁を越えて「迷い」をゼロにする

スマートフォンの画面に並ぶ「家」のマーク(ホーム)や「虫眼鏡」のマーク(検索)。これらは、たとえ言葉が読めなくても「ここを押せばいいんだ」と直感的にわかるようにデザインされています。

もしこれらがすべて文字だけだったとしたら、操作のたびに小さな字を読み込まなければならず、使うのが億劫になってしまうかもしれません。こうしたアイコンのデザインは、小さなお子さんから高齢の方、そして日本語を母語としない方まで、誰もが「壁」を感じることなくデジタルツールを使いこなす助けになっています。

「説明書を読まなくても、なんとなく使い方がわかる」。そんなシンプルさの裏には、世界中の誰もが迷わないための緻密な計算が隠されています。

4. 代替テキスト:目を使わなくても「伝わる」情報のバトン

SNSに写真を投稿する際、設定画面の奥に「代替テキスト(altテキスト)」という項目があるのを見たことはありませんか?
これは、写真が何を写しているのかを文章で説明する機能です。画面の読み上げ機能を使っている視覚に障がいがある方は、このテキストがあることで、写真の内容を「声」として受け取ることができます。

「今、友達と綺麗な夕日を見ているんだな」「美味しそうなパンケーキの写真だな」
そんな、目に見える情報を「言葉のバトン」に変えて届けるのが代替テキストの役割です。

この機能は、実は私たちにとっても意外な場面で役立っています。
たとえば、電波の悪い場所にいて画像がいつまでも表示されないとき、代わりに「青い空と海」という文字が表示されたことはありませんか? これも代替テキストのひとつです。また、Googleなどの検索エンジンが「このページには何が書かれているか」を正しく理解する助けにもなっています。

「見えない状況」を想定して一言添える。その小さな手間が、インターネットという広大な海の中で、情報を必要としている誰かへと確実に届けるための大切な架け橋になっているのです。

5. 予測変換と音声入力:小さな動作で「想い」を形にする

最後にご紹介するのは、文字入力のサポート機能です。
数文字打つだけで次に来る言葉を教えてくれる「予測変換」や、スマホに向かって話すだけで文字にしてくれる「音声入力」。

指先を細かく動かすことに不自由を感じている方や、手の震えがある方にとって、一文字ずつフリック入力したりタイピングしたりすることは、想像以上の負担を伴います。そんなとき、予測変換や音声入力は、自分の意思をスムーズに形にするための「杖」のような存在になります。

そして、この機能に助けられているのは、私たちも同じです。
「両手に荷物を持っていて手が離せないけれど、すぐに返信したい」
「料理中で指が汚れているけれど、レシピを検索したい」
「移動中に思いついたアイデアを、忘れないうちにメモしておきたい」

そんなとき、私たちは当たり前のように音声入力を使います。
身体の状況やその時の環境に関わらず、自分の「想い」や「用事」をストレスなく相手に伝えられる。対話のハードルをどこまでも下げてくれるこの機能は、コミュニケーションにおける最も身近なユニバーサルデザインといえるでしょう。

ユニバーサルデザインが作るデジタルの未来

デジタルのユニバーサルデザインは、画面の向こう側にいる「誰か」の状態を想像することから始まっています。

SNSで画像に一言説明を添えてみる、読みやすいフォントを選んでみる、そんな小さな配慮が巡り巡って私たち自身のデジタルライフをより心地よいものにしてくれます。

形のあるモノだけでなく、情報の届け方にもちょっとした「思いやり」が隠れています。あなたのスマートフォンの中にある「優しさ」を、今日から少し意識して探してみませんか?

執筆者プロフィール

TOPへ