試験センターの発表によると、第38回介護福祉士国家試験の受験者数は78,469人、合格者数は54,987人となりました。その結果、合格率は70.1%となり、前回(第37回)の78.3%から大きく低下しています。さらに、この数値はここ数年で最も低い水準となっており、試験の難易度や受験者層の変化にも注目が集まっています。
受験者層の多様化
まず、受験者数は前回より約3,000人増加した一方で、合格者数は減少しました。その結果として、合格率は約8ポイント下がることとなっています。こうした変化の背景には、試験制度の見直しや出題傾向の変化に加え、受験者層の多様化が影響していると考えられます。
では、今回の試験で特に注目されたポイントは何でしょうか。その一つが、外国人受験者の増加です。特定技能制度の拡大を背景に、外国人介護人材の受験は急増しており、特定技能の受験者は10,406人と、初めて1万人を突破しました。
しかしながら、その合格状況を見ると新たな課題も浮かび上がります。具体的には、特定技能の合格者は3,435人で、合格率は33.0%にとどまり、全体平均の70.1%と比べて大きな差があります。また、養成校ルートの外国人(主に留学生)についても、受験者数は4,461人、合格者数は1,540人、合格率は34.5%と、いずれも30%台にとどまっています。
さらに、経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者について見ていくと、合格者数は380人、合格率は31.8%でした。ただし、国別に見ると特徴も見られます。たとえばベトナム人は、受験者133人のうち103人が合格し、合格率は77.4%と、全体平均を上回る高い水準を示しています。このような差には、教育体制や送り出しの仕組みの違いが影響している可能性があります。
このように、今回の試験では外国人受験者が全体の2割を超えたとみられており、これまで補助的とされてきた外国人材が、介護現場において重要な役割を担う存在へと変化していることがうかがえます。一方で、合格率の低さは依然として大きな課題です。そのため、今後は日本語能力の向上や試験対策支援の強化が、より一層求められるでしょう。
合格率低下の理由
合格率が低下した理由としては、まず外国人受験者の増加によって全体の平均が押し下げられた可能性が挙げられます。また、試験内容も年々変化しており、実務での判断力を問う問題が増えるなど、単なる暗記では対応が難しくなっています。さらに、第38回から導入された「パート合格制度」の影響も考えられ、制度変更に受験者側の対応が追いついていない面もあるとみられます。
まとめ
こうした中でも、毎年5万人以上の合格者が誕生しています。しかし、それでも介護現場の人手不足は解消していません。資格取得後に離職する人や他業種へ転職する人が一定数いることに加え、現場の負担の大きさも影響しています。
つまり、資格取得者の数が増えることと、現場で働く人材が増えることは必ずしも一致しないという現実があります。人材確保のためには、資格取得後も働き続けられる環境づくりが欠かせません。
今回の試験結果からは、合格率の低下や外国人受験者の増加といった変化が見えてきました。介護業界は今、大きな転換期を迎えているといえます。今後は、外国人材を含めた育成支援とともに、現場で長く働ける環境整備を進めていくことが重要になりそうです。
参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター介護ニュースJoint厚生労働省
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