児童相談所とは?役割・相談できる内容・連絡方法をわかりやすく解説

児童相談所とは?役割・相談できる内容・連絡方法をわかりやすく解説

子どもや家庭のことで「誰かに相談したい」と思ったとき、最初に頭に浮かぶ公的窓口のひとつが児童相談所です。名前は知っていても「具体的に何をしてくれるのか」「どんな内容を相談できるのか」がわからず、問い合わせを迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、児童相談所の基本的な役割から相談の種類、利用の流れまでをわかりやすく解説します。

児童相談所とは?

児童相談所は、18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受け付け、必要な支援につなげる公的機関です。児童福祉法第12条に基づき、都道府県および政令指定都市が設置を義務づけられています。2023年度からはこども家庭庁が所管しており、令和6年4月1日時点で全国234か所が設置されています(こども家庭庁調べ)。

対象となるのは0歳から18歳未満の子どもとその保護者です。「養育が難しくなった」「子どもの行動が心配」「虐待かもしれない」などの幅広い状況に対応しています。敷居が高いイメージを持たれがちですが、深刻なケースだけでなく、子育ての悩みや不安など、気軽な相談にも対応しています。

児童相談所の歴史は古く、1947年(昭和22年)に児童福祉法が制定されたことで全国に整備が進みました。当初は戦後の孤児・浮浪児対策が主な目的でしたが、時代の変化とともに役割は大きく広がっています。近年は児童虐待に関する相談対応件数が増加傾向にあり、体制強化が国の重要課題です。

児童相談所の主な業務

児童相談所の業務は大きく5つの機能に整理されます。

業務 内容
①相談受付 子どもや保護者、学校・近隣住民など、誰からの相談・通告でも受け付けます。
②調査・アセスメント 相談内容に応じて、家庭環境や子どもの状況を調査・把握します。必要に応じて家庭訪問や関係機関への照会も行います。
③判定 医師・心理士・福祉士などの専門スタッフが連携し、子どもや家庭が抱える課題の種類・程度を専門的に判定します。
④指導・支援 判定結果に基づき、カウンセリングや在宅での継続支援など、個々の家庭に合った支援を提供します。
⑤措置 必要と判断された場合は、一時保護や施設入所、里親委託などの措置をとります。

これらの業務を担うのは、児童福祉司・児童心理司・医師・保健師など、複数の専門職です。チームで一つひとつのケースに対応することで、子どもと家庭が抱える複合的な課題に応じた支援を実現しています。

相談できる内容の種類

児童相談所が受け付ける相談は、以下の5つに分類されます。

相談の種類 主な内容の例
養護相談 虐待(身体的・心理的・ネグレクト・性的)、養育困難、保護者の疾患・死亡など
障害相談 発達障害、知的障害、肢体不自由、言語障害など
非行相談 触法行為、ぐ犯(非行のおそれ)、家出・怠学など
育成相談 不登校、いじめ、友人関係、しつけの悩みなど
保健相談 未熟児・疾患・発育上の不安など

件数として最も多いのは養護相談(虐待を含む)ですが「育て方がわからない」「子どもが学校へ行かない」などの日常的な悩みも対象です。「こんなことを相談していいのか」と迷う必要はありません。

なお、発達障害や不登校など、障害相談・育成相談のケースでは医療機関や教育機関との連携が必要になる場合も多く、児童相談所が「つなぎ役」として機能する場面も少なくありません。「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも、まず児童相談所に連絡することで、適切な窓口へ案内してもらえます。

相談・通告の方法

児童相談所への相談と通告の方法についてご紹介します。

電話:189(いちはやく)
児童相談所への連絡でまず知っておきたいのが「189(いちはやく)」という全国共通の電話番号です。24時間365日対応しており、かけると自動的に近くの児童相談所につながります。
通話料は無料で、匿名での相談・通告も受け付けています。「虐待かどうかわからないけれど心配」という段階でも連絡して問題ありません。

来所・訪問
近くの児童相談所へ直接出向いての相談も可能です。事前に電話予約をしてから訪問するとスムーズです。相談員が自宅や学校に出向いてくれる場合もあります。

市区町村の窓口を経由する方法
軽度の相談であれば、市区町村の子育て支援窓口(子ども家庭総合支援拠点など)からでも相談を受け付けており、必要に応じて児童相談所に引き継がれます。

オンライン・チャット相談
自治体によっては、LINEやWebフォームを使ったオンライン相談窓口を設けているところもあります。「電話で話すのが難しい」「夜間に相談したい」という方にとって利用しやすい手段です。お住まいの自治体のホームページで対応状況を確認してみましょう。

相談から支援までの流れ

児童相談所に相談・通告があった後の基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 受理:電話・来所・関係機関からの通告を受け付け、内容を記録します。
  2. 調査・アセスメント:家庭訪問や関係機関への照会などを通じて、子どもと家庭の状況を把握します。虐待のリスクが高いと判断された場合は、迅速に対応します。
  3. 判定:医師・心理士・社会福祉士などの専門職が連携し、課題の種類と支援の方向性を判定します。
  4. 支援方針の決定:判定結果をもとに、在宅での継続支援・一時保護・施設入所など、最適な支援方針を決定します。
  5. 支援の実施とフォローアップ:支援が始まった後も定期的に状況を確認し、必要に応じて方針を見直しながら継続的に関わります。

なお、一時保護とは、子どもの安全を確保するために一時的に家庭から離れて生活する措置です。一時保護所での生活は原則2か月以内とされており、その間に家庭の状況を整えたうえで、子どもが家庭に戻れるよう支援が進められます。

児童相談所と関係機関の連携

児童相談所は単独で動くのではなく、さまざまな機関と連携しながら子どもを支えています。

学校・保育所:日常的に子どもと接する立場から、変化のサインを早期に把握して通告・情報共有を行います。

市区町村:軽度の相談対応や地域の見守りを担当し、必要なケースを児童相談所につなぎます。

警察:緊急性の高い虐待通告や、触法少年に関するケースで連携します。

医療機関:負傷・病気の背景に虐待が疑われる場合などに情報を共有します。

それぞれの機関が役割を分担しながら「要保護児童対策地域協議会(要対協)」を通じて情報を共有し、継続的な見守りを行う体制が整えられています。

要対協は、市区町村が設置する公的な協議の場です。児童相談所・学校・警察・医療機関・保育所などが定期的に集まり、支援が必要な子どもの情報を共有しながら、それぞれの機関が連携して対応します。ひとつの機関だけでは見えにくい家庭の変化を、複数の目でカバーできる仕組みとして機能しています。

よくある疑問Q&A

児童相談所についてよくある疑問をまとめました。

通告したらすぐに子どもが保護されるの?
すぐに保護されるとは限りません。緊急性の判断を行い、必要がある場合に一時保護という手続きをとります。多くのケースでは家庭への継続的な支援や関係機関との連携で対応します。

匿名で相談・通告できますか?
できます。189への電話は匿名でも受け付けています。通告者の情報が子どもの保護者に知られることは原則としてありません。

相談したことは本人(子ども・保護者)に知られますか?
通告者の特定につながる情報は保護されます。ただし、支援の過程で関係者と情報共有する場合があるため、詳細は相談時に担当者へ確認するとよいでしょう。

相談すると必ず何か対応されるの?
すべての相談が調査・措置につながるわけではありません。相談内容によっては、情報提供や他機関の紹介にとどまるケースもあります。相談したからといって、自動的に「調査が入る」「子どもが連れて行かれる」ということにはなりませんので、不安に思わず気軽に問い合わせてみてください。

まとめ

児童相談所は、虐待などの深刻なケースだけでなく、子育て全般にわたる幅広い相談に対応する公的機関です。「これくらいで連絡していいのか」と感じるような些細な不安でも、早めに相談することが子どもを守ることにつながります。
気になることがあれば、まず189に電話してみてください。専門の相談員が対応してくれます。一人で抱え込まず、公的な窓口を上手に活用することが、子どもにとっても保護者にとっても大切な一歩です。児童相談所は「子どもと家庭を支える」ための機関です。何か感じることがあれば、ためらわずに相談してみましょう。

参考こども家庭庁厚生労働省:児童相談所運営指針東京都福祉局:子供家庭文部科学省:学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き

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