発達障害におけるペアレントトレーニングとは?やり方や効果を解説

発達障害におけるペアレントトレーニングとは?やり方や効果を解説

「子どもが言うことを聞かなくて毎日疲れる…」
「どう接したらいいのかわからなくなり困っている…」
と子育てに悩んでいる場合には、ペアレントトレーニングを取り入れてみるとよいかもしれません。

ペアレントトレーニングは、発達障害のある子どもへの接し方を学び家庭で実践するための親向けのトレーニングのことです。子どもとの具体的な関わり方を学べるため、子どもの不適切な行動が減り子育ての負担感が少なくなります。

この記事では、ペアレントトレーニングの概要や具体的なやり方、効果について解説しています。発達障害のある子どもとの関わり方に悩んでいる方は参考にしてください。

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ペアレントトレーニングとは

ペアレントトレーニングとは、発達障害のある子どもへのほめ方や指示の出し方など具体的な養育スキルを高めることで、子どもの行動変容を目的とした親向けのトレーニングです。

1960年代にアメリカで開発され、1990年以降、日本でも肥前式、精研式、奈良式、鳥取大学式といったさまざまなスタイルのペアレントトレーニングが発展してきました。

ペアレントトレーニングは、発達障害がある子どもの不適切な行動を改善し、健やかな成長・発達を促すための方法として広く浸透してきています。

ペアレントトレーニングの具体的なやり方

ペアレントトレーニングでは、以下の6つの要素を「コアエレメント」として重視しています。

  1. 子どもの良いところ探しとほめ方
  2. 行動を3つのタイプに分ける
  3. 行動の仕組みの理解
  4. 環境調整
  5. 達成しやすい指示の出し方
  6. 不適切な行動への対応

それぞれ見ていきましょう。

子どもの良いところ探しとほめ方

子どもの良いところを積極的に見つけることで、子どもと良好な関係を築きやすくなります。

子どもの良い所を見つける時には、すべてができていなくても、全体の25%程度できていたらその部分をほめてあげるようにします。また、子どもが適切な行動をしたらほめるだけでなく、ご褒美として本人が好きな活動をさせてあげるのも効果的です。

つい不適切な行動に目がいってしまいがちですが、できていることにも目を向けることで、子どもと肯定的な関わりができるようになります。

行動を3つのタイプに分ける

子どもの行動を以下の3つのタイプに分けます。

好ましい行動
好ましくない行動
許しがたい行動

上記の3つの行動に分類したら、好ましい行動に対してはほめる、好ましくない行動には、あえて反応しない、指示のしかたを工夫するなどの対応を考えることがポイントです。対応のしかたを明確にすることで、子どもに対して感情的にならずに一貫した態度で接することができるようになります。

行動の仕組みの理解

子どもの行動を以下のABCの3つの枠組みに分けて考えていきます。

A:行動の前のきっかけ
B:行動
C:行動の後の結果

子どもの行動を客観的に捉え、子どもがなぜその行動をとるのかという理由を理解することが目的です。行動の理由が分かると「なぜそんなことをするのか?」という疑問が解消され、冷静に対応できるようになります。

環境調整

子どもが過ごしやすくなるように、子どもを取り巻く環境を整えていきます。

具体的には、以下のような方法が挙げられます。

気になって注意が散漫になる場合は、原因となるものを取り除く
予定やルールを視覚的に示す
適切な活動につながる手がかりを目立たせる

発達障害のある子どもは、注意が散漫になったり、見通しが持てないと強い不安を感じたりする場合が多いです。予め環境を調整することにより不安やストレスが減り、子どもの不適切な行動を少なくする効果が得られます。

達成しやすい指示の出し方

子どもへの声かけや指示の出し方を工夫することで子どもの適切な行動を促します。
子どもに指示を出すときは、以下の3つのポイントをおさえると効果的です。

苛立ちや怒りをおさえて穏やかに接する
子どもの近くに行き伝える
落ち着いた静かな声で伝える

感情的に怒鳴ると、子どもは反発してより問題行動を起こしてしまう場合もあります。指示を出す際には、冷静な態度で具体的に伝えるのがポイントです。

不適切な行動への対応

不適切な行動に対しては注目しすぎず、必要に応じて環境調整や指示の出し方を工夫するなどして対応します。少しでも適切な行動が見られた場合にはほめるようにするのも有効な方法です。

不適切な行動に反応しすぎると、かえって不適切な行動を増やす原因となってしまう場合もあります。日頃から良い行動に着目してほめることで、注目を集めるために問題行動を起こす頻度を減らせます。

ペアレントトレーニングの効果

ペアレントトレーニングで期待できる効果は以下の3つです。

  • 子どもにポジティブな変化が見られる
  • 親自身のストレスが軽減される
  • 親子関係がよくなる

1つずつ見ていきましょう。

子どもにポジティブな変化が見られる

子どもの不適切な行動が減り、適切な行動が増える効果が期待できます。

例えば、以下のような肯定的な変化が見られます。

暴力的な言動やパニック、かんしゃくが減る
対人コミュニケーションなどの社会的スキルが向上する
自分に自信が持てるようになり自己肯定感が高まる

ほめられる経験が増えると自信がつき、自分から進んでやるべきことに取り組んだり、前向きな言葉を発するようになったりします。また、叱られる経験が減り不安やストレスが軽減されることで、チックなどの症状が和らぐ場合もあります。

親自身のストレスが軽減される

親は「適切な対応の仕方」を具体的に学べるため、子どもへの接し方に困りにくくなります。
親が得られるメリットとして以下の3つが挙げられます。

感情的に怒ることが減る
冷静に適切な指示や対応ができるようになる
子どもに対してほめる関わりが増える

子育てがうまくいかないイライラが減り、自分の子育てを肯定的に捉えられるようになるでしょう。

親子関係がよくなる

子どもの不適切な行動に対して、事前に環境調整や指示の出し方などを工夫することで、適切な行動を引き出せるようになります。

親は、感情的に叱𠮟りつけ「また怒ってしまった…」と感じる場面を回避できるため、子育てが上手くいかないストレスが軽減されます。子どもは、叱られる回数が減りほめられる機会が増えることで、自己肯定感が高まり安心して過ごせるようになるでしょう。

親子ともに抱えていたストレスや不安が減ることで、親子関係が好転し、家庭内の雰囲気が穏やかになる効果が期待できます。

ペアレントトレーニングの形式

ペアレントトレーニングは、個別指導ではなく少人数のグループ形式で実施されます。

専門の知識を持つ心理士、保健師、医師などがファシリテーター(進行役)を務め、全5〜10回程度の連続講座として行われる場合が多いです。各回は「講義」「演習」「ロールプレイ(役割演技)」、そして家庭での実践である「ホームワーク(宿題)」で構成されています。

講座の形式は、対面で受けるタイプが多いですが、オンラインで受けられる講座も増えてきています。

ペアレントトレーニングが開催される場所

ペアレントトレーニングの講座が開催される場所は以下の通りです。

  • 発達障害者支援センター
  • 児童発達支援センター
  • 医療機関
  • 教育センターなどの教育機関
  • 大学の心理センター

自治体の子育て支援講座として開催されている場合も多く、「〇〇(お住まいの自治体)+ペアレントトレーニング」で検索してみると、お住まいの近くで開催されている講座が出てきます。

まとめ

ペアレントトレーニングは、発達障害のある子どもへの接し方が実践的に学べるため、日々の子育てに悩んでいる方にとって有効なトレーニングです。子どもに発達障害の診断が下りていなくても、子育てに困り感がある場合は受けられます。

ペアレントトレーニングを受けると、子どもとの関わりを振り返れるだけでなく、講座を通して専門家や同じ境遇の親とつながる機会も得られます。

ペアレントトレーニングにより子育てが劇的に変わるわけではありませんが、適切な接し方が身につき子育てしやすくなる可能性は高いです。子どもとの関わりで悩んでいる場合には取り入れてみてはいかがでしょうか。

【参考】ペアレント・トレーニング実践ガイドブック|厚生労働省発達障害支援におけるペアレントトレーニングはじめの一歩|厚生労働省ペアレントトレーニングに関する研修|発達障害ナビポータル

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