発達性協調運動障害(DCD)とは?特徴や支援方法についても解説

発達性協調運動障害(DCD)とは?特徴や支援方法についても解説

発達性協調運動障害(DCD)とは、知能や筋力などに問題がないにもかかわらず、日常生活に必要な動作や運動に著しい不器用さが見られる状態を指します。

お箸やはさみなどの道具が上手く使えない、何もない場所でもよく転ぶなどの身体の不器用さが目立ち、日常生活や学校生活にも支障が見られます。発達障害と併存する場合も多く、早期発見と適切な支援が必要です。

この記事では、発達性協調運動障害の特徴や適切な支援方法について解説しています。発達性協調運動障害について知りたい方は参考にしてください。

発達性協調運動障害(DCD)とは

発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder)とは、知能や筋力、けがなどの問題がないにもかかわらず、日常生活に必要な動作や運動に著しい不器用さが見られる状態を指します。

はさみやお箸が上手に使えなかったり、よく人や物にぶつかったりするなどの症状が見られ、学校生活や日常生活に支障が出てしまいます。身体の不器用さによる失敗が続くことで自己肯定感が育たず、情緒が不安定になったり、うつ状態に陥ったりするなどメンタル面にも悪影響が出てしまうケースも少なくありません。

また、発達性協調運動障害は、発達障害と併存するケースも多いです。これまでの研究によると、自閉症スペクトラム症(ASD)の79%、注意欠陥多動性症(ADHD)の55.9%に併存していると報告されています。

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発達性協調運動障害の症状

発達性協調運動障害の子どもには、手や足、目と手などの身体の複数の部位や筋肉を同時に連動させて行う協調運動に極端な不器用さが見られます。

協調運動の種類は、粗大運動、微細運動、目と手の協調運動の3つです。

どんな動作 具体例
粗大運動 体幹や腕、足などを全身の大きな筋肉を使って動かす大きな動作 階段の上り下り、スキップ、ケンケン、ジャンプ、自転車に乗る
微細運動 手や指先などを使う細かい動作 箸やスプーンを使う、文字を書く、ボタンを留める、靴紐を結ぶ
目と手の協調運動 目で捉えた視覚情報に合わせて正確かつスムーズに身体を動かす能力 ボールをキャッチする、飛んでくるボールを蹴る、指で物を数える

発達性協調運動障害がある場合は、これらの協調運動が年齢不相応にできない様子が見られます。そのため、着替えや食事などの日常生活に必要な動作が上手くできず、生活や学習に支障をきたしてしまいます。

発達性協調運動障害によく見られる特徴

発達性協調運動障害のある子どもには、以下の特徴が見られます。

乳児期 母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食を食べるとむせる、寝返りがうまくできない、はいはいがうまくできない
幼児期 はいはい・歩行・お座りが出来るのが遅い、寄りかからずに座るのが不安定、ボタンやファスナーがうまくできない、平坦な場所でも転ぶ、食べこぼしが多い
学童期 体育(球技、体操、走るなど)が苦手、紐が結べない、箸が上手く使えない、文具や工具の使用が苦手、文字をマスに合わせて書けない

(引用:DCD支援マニュアル|厚生労働省

乳児期には、口の動きの不器用さや寝返り、ハイハイが上手くできないなどの兆候が見られます。集団生活が始まる幼少期では、ボタンが上手くできなかったり、食べこぼしが多かったりするなど日常生活に必要な動作に対するつまづきが顕著です。

学童期になると、学校生活が始まり、生活や学習面でより複雑で細かな動作が求められます。しかし、身体の不器用さから失敗を繰り返し、自己肯定感の低下から不登校やうつ状態になるケースも見られます。

発達性協調運動障害の子どもへの支援方法

粗大運動や微細運動などの協調運動を促す遊びを取り入れることで、日常生活に必要な動作をスムーズに行えるようになってきます。また、使用する道具を工夫するなど環境を調整することも効果的です。

ここでは、3つの協調運動の発達を促すための具体的なサポートについて解説していきます。

粗大運動の発達を促すための支援

粗大運動は、立つ・歩く・ジャンプするなど全身の大きな筋肉を使う動きを指します。

粗大運動を促す遊びとして挙げられるのは、バランスボールやトランポリンです。バランスボールの上に座ったり、お腹をつけて反らせたりすると体幹が鍛えられます。トランポリンは、ジャンプと着地を繰り返すことで筋力がついたり、不安定な地面の上で姿勢を保つことでバランス感覚の向上が期待できます。

なわとびやすべり台、ブランコなども身体を大きく使って遊べるため、粗大運動のトレーニングとして効果的です。

微細運動の発達を促すための支援

微細運動は、手や指先を使った動作を指します。指先が上手に使えるようになると食事や着替えなど日常生活に必要な動作をスムーズに行えるようになります。

例えば、洗濯ばさみを開閉する動きやお箸やトングを使ってものをはさむ動きを行うと効果的です。洗濯ばさみを同じ色の台紙にはさんだり、最初はトングで大きなものをはさみ、慣れてきたらお箸で小さなものをつまんだりするなど、取り組みやすく少しずつステップアップしていける課題がおすすめです。

また、つまむ箇所が太いコンパスやバネ付きのはさみなど子どもが使いやすい道具を活用することで、身体の不器用さをカバーできます。

目と手の協調運動を促すための支援

目と手の協調運動を促すためには、型はめパズルやひも通しなどが有効です。

型はめパズルは、ピースを正しい位置に合わせようと試みることで手先を使います。また、ピースをつまんだりはめたりすることで、手や指の力加減を調節する練習にもなります。ひも通しは、目で穴の位置を確認し、正確にひもを通すことで目と手の連動性が高まります。

また、キャッチボールや風船バレーなどを取り入れるのも効果的です。ボールを扱うのが難しい場合には、風船から始めてみるとよいかもしれません。

発達性協調運動障害の子どもの相談先

他の子どもよりも身体に対する不器用さが目立つなど少しでも気になる点がある場合には、一人で抱え込まずに早めに相談することが大切です。

発達性協調運動障害に対する相談先は以下の3つがあります。

  • 保健センター
  • 発達障害者センター
  • 専門の医療機関

保健センターは、市町村が設置している健康づくりや病気予防を目的とした公的施設です。子どもの発達に関する相談にも応じてくれます。

発達障害者センターでは、発達障害のある方やその家族をサポートしてくれます。発達性協調運動障害は、発達障害と併存する割合も多いため、発達障害の疑いもある場合には相談してみるとよいでしょう。

また、専門の医療機関(小児科・児童精神科など)に相談する方法もあります。自分で探す方法もありますが、保健センターや発達障害者センターに相談すると、医療機関を紹介してもらうことも可能です。

スモールステップで少しずつ進めよう

発達性協調運動障害による身体の不器用さは本人の努力不足ではありません。しかし、日常のあらゆる場面で失敗を経験しやすく、自己肯定感が低い傾向にあります。

発達性協調運動障害の子どもを支援する際には、「できた!」「楽しい!」と感じられるようにスモールステップで取り組みやすい課題を設定しましょう。また、結果だけをほめるのではなく、過程にも注目し肯定的な声かけをするようにします。

また、すべり止めがついた定規やバネ付きはさみなど子どもが使いやすい道具を活用して環境を調整することも効果的です。必要に応じて学校や医療機関と連携し、子どもが過ごしやすい環境を整えてあげるようにするとよいでしょう。

【参考】発達障害ナビポータル発達性協調運動症(DCD)にかかる実態調査|⽇本 LD 学会研究委員会DCD支援マニュアル|厚生労働省

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