専門実践教育訓練給付金とは?福祉資格の学費が最大80%支給される条件と申請手順

専門実践教育訓練給付金とは?福祉資格の学費が最大80%支給される条件と申請手順

結論:社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を目指す養成課程には、専門実践教育訓練給付金の対象となる講座があります。雇用保険の加入期間などの要件を満たすと、受講中に教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が支給されます。修了後に資格取得・就職などの条件を満たすと合計70%(年間上限56万円)、さらに賃金上昇などの条件を満たすと合計80%(年間上限64万円)になります。受講開始日の2週間前までに、住所地を管轄するハローワークで受給資格確認の手続きが必要です。

 

この記事は誰のための記事か

  • 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の資格取得を考えている社会人
  • 養成課程の学費をできるだけ抑えたい方
  • 「教育訓練給付」という言葉は聞いたことがあるが、自分が使えるのか分からない方

福祉資格の養成課程では、講座によって学費が異なります。「資格は取りたいけれど学費が壁」という方に向けて、給付金の仕組みと申請手順を整理しました。

専門実践教育訓練給付金とは?

専門実践教育訓練給付金は、雇用保険を財源とした制度で、厚生労働大臣が指定した講座を受講する際に、受講者本人が支払った学費の一部をハローワークから支給してもらえる仕組みです。

一般的な「教育訓練給付金(一般教育訓練給付金)」の給付率は受講費用の20%(上限10万円)ですが、専門実践教育訓練給付金は条件を満たせば最大80%・年間上限64万円と手厚い点が大きな特徴です。

給付率の内訳

段階 給付率 上限額(年間) タイミング
受講中(6か月ごと) 50% 40万円 受講期間中に半年ごとに申請
資格取得・就職後の追加給付 20%上乗せ → 合計70% 16万円上乗せ → 合計56万円 受講修了後1年以内に資格取得し、被保険者として雇用された場合
資格取得・就職などの条件を満たし、修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合 さらに10%上乗せ→合計80% さらに年間8万円上乗せ→合計年間64万円 資格取得・就職後、賃金上昇の条件を満たして申請

※追加の20%は、修了日の翌日から1年以内に対象資格を取得し、かつ被保険者として雇用されている(または雇用された)場合に支給されます。
※80%の給付は、2024年10月1日以降に受講を開始した人が対象です。

対象となる福祉資格と講座

厚生労働大臣が指定する講座は定期的に更新されます。福祉分野では主に以下の養成課程が対象です。

  1. 社会福祉士養成課程(一般養成施設・短期養成施設)
  2. 精神保健福祉士養成課程(一般養成施設・短期養成施設)
  3. 介護福祉士養成課程(実務者研修を含む)

通信制・通学制のどちらにも指定講座があります。自分が受講したい講座が指定を受けているかどうかは、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で講座名や資格名から検索できます。

確認方法:厚生労働省「教育訓練給付制度 検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で「専門実践」を選択し、資格名で検索してください。

自分は対象か? 受給要件チェック

給付金を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。

初めて利用する場合

初めて教育訓練給付金を受ける場合は、受講開始日までの雇用保険の支給要件期間が、当分の間、2年以上必要です。離職中の場合は、これに加えて、原則として離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。

2回目以降の利用の場合

過去に教育訓練給付金を受けた場合は、前回の受講開始日以降の支給要件期間が3年以上必要です。また、今回の受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けていないことも条件です。

よくある誤解:「パートだから使えない」は間違い

雇用保険に加入していれば、正社員・パート・契約社員といった雇用形態は問いません。週20時間以上の勤務で31日以上の雇用見込みがあれば、原則として雇用保険に加入しているはずです。給与明細で「雇用保険料」が天引きされているか確認してみてください。

申請手続きの流れ(7ステップ)

専門実践教育訓練給付金は、受講開始前の手続きが必要です。「受講してから申請すればいい」と思っていると給付を受けられなくなるため、スケジュールに注意してください。

ステップ1:受講したい講座が指定講座か確認する

厚生労働省の検索システム、または講座を開設しているスクール・養成施設に問い合わせて確認します。

ステップ2:訓練前キャリアコンサルティングを受ける

住所地を管轄するハローワークに連絡し、「訓練前キャリアコンサルティング」の予約を取ります。ジョブ・カードを作成し、キャリアコンサルタントとの面談を受けます。

  • 持ち物:ジョブ・カード(様式は厚生労働省のサイトからダウンロード可能。事前に記入しておくとスムーズ)

ステップ3:受給資格確認の手続き(受講開始日の2週間前まで)

ここが最大の注意点です。受講開始日の2週間前までに、ハローワークで「教育訓練給付金受給資格確認票」を提出する必要があります。

・窓口:住所地を管轄するハローワーク

・持ち物:

  1. 教育訓練給付金受給資格確認票(ハローワークで入手または厚生労働省サイトからダウンロード)
  2. ジョブ・カード(ステップ2で作成したもの)
  3. 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  4. 個人番号(マイナンバー)確認書類
  5. 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm、6か月以内に撮影したもの)。以降の支給申請時にマイナンバーカードを提示する場合は省略できます。
  6. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード

ステップ4:講座に申し込み・受講開始

養成施設やスクールに正式に申し込み、受講を開始します。

ステップ5:6か月ごとに支給申請

受講開始日から6か月ごとに、ハローワークで支給申請を行います。

・持ち物:

  1. 教育訓練給付金支給申請書
  2. 受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書(講座の実施者が発行)
  3. 領収書(受講料の支払いを証明するもの)
  4. 本人確認書類
  • 期限:受講中は、各支給単位期間(6か月)の末日の翌日から1か月以内。講座を修了した期間は、修了日の翌日から1か月以内。

ステップ6:講座修了

養成課程を修了します。最終の支給申請では「修了証明書」を提出します。

ステップ7:追加給付(20%上乗せ)の申請

追加給付の申請期限は、原則として雇用された日の翌日から1か月以内です。ただし、既に雇用されている場合や資格取得より先に就職した場合は、資格取得日の翌日から1か月以内です。
さらに、資格取得・就職後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合は、残る10%分を別途申請できます。申請時期と必要書類はハローワークで確認してください。

費用感のシミュレーション

以下は学費を仮定した計算例です。専門実践教育訓練の対象講座を受講し、資格取得・就職後の追加給付まで受けて合計70%が支給される場合を示します。賃金上昇による追加10%は含みません。実際の学費と講座の指定状況は、受講前に確認してください。

例 学費を仮定した計算例 50%給付(受講中) 20%追加給付 自己負担の目安
社会福祉士(通信・一般養成1年6か月) 学費が約30万〜50万円の場合 15万〜25万円 6万〜10万円 9万〜15万円
精神保健福祉士(通信・一般養成1年6か月) 学費が約30万〜55万円 15万〜27.5万円 6万〜11万円 9万〜16.5万円
介護福祉士実務者研修(6か月) 学費が約8万〜20万円 4万〜10万円 1.6万〜4万円 2.4万〜6万円

※上限額(年間40万円+追加16万円)を超える分は自己負担です。表の学費は計算のための仮定です。実際の学費と講座の指定状況は、受講前に確認してください。

よくある質問

Q1:離職中でも使えますか?

使えます。離職中でも、必要な雇用保険の支給要件期間を満たし、原則として離職日の翌日から1年以内に受講を開始すれば対象になります。さらに、妊娠・出産・育児・病気などやむを得ない理由で受講できなかった期間がある場合は、最長20年まで延長できます。延長の手続きは離職後早めにハローワークで行ってください。

Q2:「一般教育訓練給付金」と何が違うのですか?

一般教育訓練給付金は給付率20%・上限10万円で、比較的短期間の講座が対象です。専門実践教育訓練給付金は給付率が条件を満たせば最大80%・年間上限64万円と手厚く、国家資格の養成課程など中長期的なプログラムが対象です。申請の流れも異なり、専門実践の場合は受講前のキャリアコンサルティングと受給資格確認が必須です。

Q3:障害者手帳を持っていると優遇されますか?

専門実践教育訓練給付金の制度自体には、障害者手帳の有無による優遇措置はありません。ただし、障害のある方が職業訓練を受ける場合、ハローワークの障害者窓口で別の支援制度(公共職業訓練の受講あっせんなど)を案内してもらえることがあります。まずはハローワークの総合窓口で相談してみてください。

手続きで失敗しないための3つのポイント

  1. 受講開始の2〜3か月前に動き始める。キャリアコンサルティングの予約が混み合うことがあるため、余裕をもったスケジュールが大切です。
  2. 受給資格確認は受講開始日の2週間前までに行う。これを過ぎると給付を受けられません。
  3. 6か月ごとの支給申請を忘れない。各支給単位期間の末日の翌日から1か月以内に申請しないと、その期間分の給付金を受け取れなくなります。

問い合わせ先

  • ハローワーク(公共職業安定所):住所地を管轄するハローワークの「教育訓練給付」担当窓口に問い合わせてください。管轄のハローワークは厚生労働省サイトの「全国ハローワークの所在案内」から検索できます。
  • 厚生労働省 教育訓練給付制度 検索システム:https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/

制度を知っているかどうかで、数十万円の差が出ます。福祉の資格取得を考えている方は、まず自分が受給要件を満たしているか、ハローワークで確認してみてください。

参照元(出典)

専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10 月1日付け指定) mhlw.go.jp特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定) mhlw.go.jp
厚生労働省「教育訓練給付金」
厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」

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